子供の頃見つけた、小さな黒い猫のような生き物。バレないようにこっそり育てたら、大人になる頃には人型の存在に成長して――。少女と謎の生き物のビフォーアフターを描いた漫画が、SNS上で大きな反響を呼んでいる。
■「耳あるから猫ちゃんかな…？」拾った謎の生き物が執事のように大変貌
話題となったのは、漫画家のくろたまさん(@krtmgpl)が自身のTwitterに昨年11月から今年2月にかけて断続的に投稿した「拾って隠れて育てた生き物が思ってたのと違った」シリーズ。ある日、怪我をして弱っている謎の黒い生き物を見つけた少女が、ペット禁止のため隠れて育てるところから物語は始まる。
本作はコマ割りなしで、各話ごとに少女時代と、大人になり謎の生き物が成長した現在とを1Pずつ描く形式。キューと鳴くことからに少女が「キューちゃん」と名付けた生き物は、大人となった今では自身の背丈を超え、「お嬢はか弱く優しい女性ですので一生私が守って差し上げます」と、成長した彼女を“お嬢”と呼び、主人に尽くす執事のように変貌。
小さい頃は心細そうに鳴き、少女の胸に抱かれ守られていた存在が、今ではストーカーを“生かしたまま”対処したと話すなど、妖しい雰囲気をまとわせながらも彼女を守る側となり、その言動にお嬢が翻弄されるという逆転現象や、1話ごとに断続的に描かれる少女とキューちゃんの成長で生まれるギャップが魅力の作品だ。
第1話には15.7万件を超えるいいねが寄せられ、日本国外のユーザーからもコメントがつくなど、Twitterユーザーの心を掴んだ本作。作者のくろたまさんは描き始めたきっかけを「仕事の息抜きでとにかく好きなものを描こうと思い描きました」と話す。
過去と現在とを1Pずつ進行させる形式は「それぞれのキャラクターの立場と見た目の変化を見せることがギャップ萌えの一つかと思い」試みたという。また、本作にはくろたまさんの趣味が大きく反映されているとのことで、中でも描いていて楽しかったポイントについて聞くと「キューちゃんとお嬢の関係性と、そこはかとなく妖艶に感じる絡み方とかですかね」とのこと。
Twitter読者からの多くの反響には「本当に自分の好きなものを詰め込んで描いたものなので、多くの方にも好きと言って頂いたりしてとても嬉しいです」とコメントしている。
1Pずつ時間が進んでいくからこそ想像が膨らむTwitterならではの作品。2月にTwitter連載をまとめて制作された無料のAmazon Kindle版では「続きを描きたいと思った時に一気に最後まで構想しました」と、にてキューちゃんが生まれた背景など本作の幕間を埋めるエピソードも挿入されている。
くろたまさんは本作の他、商業作品やオリジナル漫画を数多く発表している。本作が気に入った人はぜひ注目だ。
取材協力：くろたま(@krtmgpl)
