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「みりん」と「料理酒」の違いと正しい使い方って?未成年は買えない!?2つの調味料の謎をプロに聞いてみた

  • 2022年1月3日
  • Walkerplus

「みりんや料理酒ってなんのために使うの?」。料理を始めた人にとって、わりと初期のほうに出てくる疑問ではないだろうか。

みりんも料理酒も、だいたい“レシピに書いてあったから”というのが購入のきっかけで、同じ液体調味料であるしょうゆやお酢などに比べ、いまいち使いどころがわかりづらいイメージ。なんとなくはわかるのに、人に正しく説明はできない…。一体どんなときに、どのように使うのが正解なのだろうか。

今回はみりんと料理酒の違いや使い方についてハッキリさせるべく、「日の出みりん」ブランドを展開するキング醸造株式会社 マーケティング開発部の竹山慎一郎さんに話を聞くことに。主婦や料理上級者だけがきちんと扱えると思っていたみりんと料理酒は、実は“入れるだけ”でいい調味料だった!?春から新生活が待ち受けている人や、コロナ禍に料理を始めた人は必見!

■“味”が“淋しい”と感じた時に入れるのが「みりん」!
まず「みりん」とは、モチ米から作られるアルコール系の調味料。煮物に甘味を足したり、焼き魚などにテリツヤをつけるために使われることが多いが、料理初心者は甘いみりんを入れる時に「入れ過ぎたら甘くなってしまうのでは...」と躊躇してしまうこともあるかもしれない。そんな人に向けて竹山さんは、みりんの使いどころを「味が物足りないなと思ったとき」だと話す。

「諸説ありますが、みりんは漢字で『味が淋しい(味淋)』と書きます。文字通り味がさみしい時にいい感じに味を足すことができるので、『なんとなく味がさみしい、物足りない』と感じたら、とりあえずみりんを入れてください!」

料理がおいしくなる鍵は、みりんに含まれているアルコール成分。アルコールがみりんに含まれるアミノ酸などの旨味成分を一緒に食材に染み込ませるため、味なじみが良くなり、味のバラつきがなくなっておいしくなるという。

また、甘味成分が表面に出るのもみりん特有の効果で、煮崩れを防いで長時間テリツヤを保つことができる。料理をよりおいしそうに見せることができるのも大きな役割だ。さらに加熱すると、アルコールの効果で食材の臭みを飛ばすことも。みりんは料理のおいしさと見た目がワンランク上がる調味料だ。

■未成年でも買えるのが「みりん風調味料」!
実は、未成年はみりんを購入することができない。理由はみりんに含まれるアルコール度数が14%ほどあることから、酒に分類されてしまうためだ。この事実は意外と知られていないという。

そこでキング醸造が製造しているのが、アルコール度数1%未満の「新味料」。これはみりんではなく「みりん風調味料」だ。この商品は酒税法や未成年者飲酒禁止法に引っかからず、未成年でも購入できることが販売されている理由だが、実は料理初心者にもおすすめの調味料だという。

「みりんを使う時は、アルコールを飛ばすために火を通さないといけません。またアルコールが残ると苦味が出るので、お子さんが食べられなかったりします。ですが、みりん風調味料はほぼアルコールを含まないので、少し味を足したい時に気軽に使うことができます」

火をかけてアルコールを飛ばす必要がないため、サラダや煮物の後がけにもぴったりだそうだ。また、みりん風調味料は火を使わないデザートに使うこともできる。竹山さんイチオシのレシピは「簡単フルーツポンチ」。グレープフルーツをみりん風調味料に漬けておくと、ほど良い甘さになり、さらにサイダーを注げばでき上がりという簡単なものだ。みりんをデザートに使えるということ自体がなかなかの衝撃だが…。

■“失敗しない調味料”ドバッと入れても大丈夫なのが料理酒!
そして「料理酒」。料理に旨味とコクを付ける役割と臭み消しの効果があるが、とりあえず「酒」であり、みりんとはまた違うものだということはわかるのに、いまいち使いどころを説明できない。竹山さんは「実は料理初心者には、みりんより料理酒のほうがおすすめなんですよ」と話す。

「料理酒を入れることで深みのある味になり、味が“整い”ます。また、料理酒はたくさん使っても料理の味をあまり崩さないので、『分量の調整が苦手』という方や、初心者の方でも安心して使うことができます。まさに『失敗しない調味料』ですね」

料理酒は水より早く蒸発するので、その際に臭みも一緒に消してくれる効果がある。さらに、アルコールは食材を柔らかくするほか、旨味成分を食材に染み込ませるのを手助けしてくれるので、みりんと同じように「味がさみしいな」と思ったときにも入れることができる。

「料理酒は料理の味を邪魔しないので、甘い味のみりんよりも使い勝手がいいんです。なので、まずは料理酒から使い始めてみてください。火をかければアルコールは飛ぶので、思ってる以上にドバドバ入れちゃっても大丈夫ですよ!」

また、みりんは1リットルあたり20円の酒税がかかるが、塩が加わった料理酒は酒として扱われないため酒税がかからず、消費税8%のまま販売が可能。もちろん未成年でも買うことができるのでご安心を。

■「基礎調味料をうまく使って料理を楽しんでほしい」
2020年より続くコロナ禍で普段料理をしなかった人が自炊をするようになり、みりんと料理酒の売り上げは、竹山さんが「もはや事件でした」と話すほど爆増したという。巣ごもり生活も相まって自炊派の人口は増え続けているが、実はコロナ禍以前からも男女問わずユーザーが増え始めていたという。

「理由として、1つ目は経済的なことを踏まえて自炊をする方が増えたからだと思われます。2つ目は、料理をする男性が増えたこと。男性は物事にハマりやすい傾向にあるので、一度料理にハマると調味料からこだわりを持って買い続けるようになるのでは、と考えています。ただし若い世代になればなるほど、性別は関係なくなっていますね」

キング醸造は若い世代にみりんや料理酒を使った料理を楽しんでもらおうと、Instagramにおしゃれな料理の写真を載せたり、自炊をがんばる女性を応援する「#日の出自炊女子部」という企画を行ったりと、日々の料理がより楽しくなるような取り組みに力を注いでいる。

「当社は基礎調味料を主力にしている会社だからこそ、料理を作る楽しさをしっかり伝えていかなければならないと思っています。時代的に『簡単』『時短』の風潮が強くなっていますが、作る人が食べる人のことを考えて料理するという、作り手の思いがこもった手料理の楽しさや大切さをこれからも伝えていきたいです」

実はみりんも料理酒も、どちらも初心者に優しい調味料だったことが判明した。特に料理酒はドバドバたくさん使っても大丈夫だということに、取材中、一同騒然。料理歴10年ながら未だに使い方がよく分かっていなかった筆者も、思わず「もっと早く知りたかったな…」とつぶやいてしまった。この記事を読んだ人も筆者と同じ気持ちの人がいるかもしれないが、ぜひ明日からの料理に生かしてみてほしい。

自分のため、家族のため、恋人や友人のため、お客さんのために作る日々の料理。その人それぞれの料理のおいしさを、みりんや料理酒は陰でそっと支えてくれている。この2つの調味料を使いこなして、今まで以上に料理を楽しんでみよう。

取材・文=福井求

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