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テーブルに神秘の川が流れる!?一枚板と樹脂を組み合わせたリバーテーブルが美しい

  • 2021年7月31日
  • Walkerplus

深い渓谷を流れる美しい川が目の前に出現したような、そんな驚きと感動を与えてくれるテーブル。木材と樹脂(レジン)を組み合わせた「リバーテーブル」と呼ばれるもので、写真の作品はTwitterで14.8万いいね(2021年7月現在)を獲得した。制作したのは、京都府京丹後市にアトリエを構える細見圭弥さん(Twitter:@Guruten11)。新進気鋭のリバーテーブル作家として注目を集める細見さんに、制作のきっかけやリバーテーブルの楽しみ方などを聞いた。

■コロナ禍の大学休校をきっかけに制作をスタート。独学で制作方法を確立
細見さんがリバーテーブルのことを知ったのは2018年、細見さんが大学1年生の頃。海外アーティストの作品がきっかけなんだそう。

「その当時は、樹脂が使われているということも知らず、ただ眺めているだけでした。制作を始めたのは2020年春から、コロナのことで大学が休校になってしまったことがきっかけです。木材に関しては、中学生の頃から父に扱いを叩き込まれてきました。父は宮大工を師に持ち、伝統的な建築技術を生業としてきたので、道具、機械の使い方、加工の方法、反りへの対応、材種の見分け方など、木に関してあらゆることを教えてくれました。ただ、樹脂を扱うようになったのは、リバーテーブルの制作を始めてからになります。制作方法もまったくの独学でしたので、上手くいかないことが多くて何度も辞めようかと思いました」

行き詰まりながらも完成させた細見さんの第1号作品は「歌姫」と名付けられたサイドテーブル。

「この『歌姫』を契機に、自分がいくつもの作品を生み出すことは理解していたので、自分の作ったものが歌のように人を魅了してほしいという願いと、すべてはこの子から始まったということを忘れないためにこの名前を付けました」

そしてこの「歌姫」からわずか2年足らずで40近い作品を生み出している。そのすべてをほぼ1人で作成しているのだそう。

「1人で持てない大型作品を持つ時は父の力を借りてはいますが、他人の感性が入ると自分の作品ではないと思ってしまうので、今後も含めて自分1人で作っていくと思います」

リバーテーブルの制作手順を大まかに説明すると、デザインに合わせて木を加工。そこに枠を作って樹脂を流し込み、水平にする。そして樹脂が透明になるまで研磨していく。

「1つの作品を作るのに、大体2か月くらい要しますが、研磨の作業が一番気力も時間もかかります。木やデザインにこだわったオーダーメイド品については半年から1年待っていただくこともあります」

細見さんのリバーテーブルには、「神代杉(じんだいすぎ)」と呼ばれる1000年以上水中や土中に埋もれていた木材や、現在は伐採を禁じられている台湾ヒノキなど、希少価値の高い一枚板が使用されている。そこに丁寧な樹脂の扱いが加わることで、リバーテーブルを単なるインテリア品ではなく、アート性を備えたものにしているのだろう。

■樹脂の中に眠る「木の耳」を楽しんでほしい
部屋に置くだけで様になるリバーテーブルだが、細見さん曰く注目してほしいのは“木の耳”だそう。木の耳とは、樹皮を剥がした年輪の一番外側にあたる部分のこと。その木がどのように育ってきたのかがわかる場所でもある。

「普通のテーブルでは“木の耳”は見られませんが、リバーテーブルでは樹脂の中に“木の耳”が眠っているところに注目してほしいです。しかし、購入してくださった方の楽しみ方に驚かされることも多々あります。下からLEDライトを当てて光る川のようにしたり、海に差し込む光を演出されたり。秘密基地のような空間にされる方もいらっしゃいました」

最後に、今後の目標を聞いた。

「認知度をもっと上げていくことが目標です。『正義』や『皇帝』などの作品は多くの方に見ていただけましたが、それでもまだリバーテーブルのことを知らないという人も多いと思います。自分の認知度があがることで、購入してくださった方への恩返しになればと思っています。個展もしてみたいですが、もっと工夫を凝らして活動していきたいです」

一点物あとあって、高価なものであることは間違いないが、唯一無二の空間を作ることができるリバーテーブル。今後、細見さんがどういう一枚板と出会い、作品として昇華していくのかが楽しみだ。

取材・文=西連寺くらら

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