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中田英寿がシェアしたい“日本の新たな価値”「静岡で最古のお茶の産地、袋井市から発信する新たな日本茶文化『安間製茶』」

  • 2021年6月18日
  • Walkerplus

中田英寿氏が47都道府県を旅して出会った日本の「わざ」と「こころ」。日本のことを知るために47都道府県を巡る中田氏の旅は6年半におよび、移動距離は20万キロになった。その間、訪れた地は約2000に。そこで中田氏は、現地に行かなければわからない、素晴らしき日本があることを知った。

ウォーカープラスでは、中田氏の「に・ほ・ん・も・の・」との共同企画として、珠玉の“にほんもの”をお届けする。

中田英寿
「全国47都道府県の旅で出会ったヒト・コトを、”工芸芸能・食・酒・神社仏閣・宿”に分けて紹介。日本文化を多くの人が知る『きっかけ』を作り、新たな価値を見出すことにより、文化の継承・発展を促していきたい。」

今回訪れた安間製茶代表の安間孝介さんは、高校の国語教師からWebライターに転身し、結婚を機に妻の実家の家業を継いで茶の道へ。

「妻は中学時代の同級生なんです。もともと二人とも地元の出身なので、僕自身も茶畑に囲まれて育ちました。とはいえお茶はペットボトルくらいしか飲んだことがなかった(笑)。妻が淹れてくれたお茶を飲んだときにすごく驚いて、これをもっと多くの人に体験してもらいたいと思ったんです。もちろん最初は茶農家としてやっていけるだけの技術も知識もまったくなかったので、まずは静岡県立農林大学校で勉強してから就農しました」と安間さんがお茶づくりのきっかけを話してくれた。

静岡といえば、牧之原市、島田市、菊川市にまたがる牧之原台地に広がる大規模な茶畑を想像する人が多いと思うが、安間製茶があるのは袋井市。静岡県の南西部に位置し、太田川とその支流の原野谷川が形成した平野と、南東部と北東部に分布する丘陵からなる地域だ。

全国有数のメロンの産地としても有名だが、山間の丘陵地では戦前から茶の栽培もおこなわれてきた。静岡県内で最も古いお茶の産地のひとつとも言われている。安間製茶は昭和21年に初代である安間五兵衛が創業し、孝介さんで3代目。規模は決して大きくないが、栽培から加工、販売まで、家族で行う創業70年を超える老舗だ。

家の目の前に茶畑が広がり、製茶工場も敷地内にある。呼吸をするたび、茶の爽やかな香りが鼻をくすぐるような錯覚を覚える。

「茶摘みをやってみますか?」

そんな安間さんの誘いに乗って、中田が初めて茶摘み用のトラクターに乗った。「これは気持ちがいいなあ。少し高いところから見る茶畑もきれいですね」と中田は広大な茶畑に見惚れた。

ひと仕事終えたら、お茶を一服。やさしい味わいで体に染み込んでいった。

安間製茶のお茶はさまざまなコンテストで受賞してきたが、通常の緑茶に加え白葉茶(はくようちゃ)の生産も行っている。白葉茶とは、特定のタイミングで99.99%以上の遮光率で茶畑を被覆してできるお茶のこと。そうすることで葉が白くなりアミノ酸の含有量が一般的な煎茶に比べ3倍、高級茶で知られる玉露と比べても約2倍にまで高まる。また、苦味成分であるカテキンが大幅に減少するため、濃厚な旨味とさわやかな甘みがあるのが特長だ。栽培・製造が難しく手間もかかるため作り手も少なく、希少性の高いお茶として知られ、安間さんはこの白葉茶の研究発表では農林水産大臣賞も受賞している。

「僕のようにお茶の本当の味を知らないで育っている若者も多いと思います。そういう人たちにどうやって魅力を知ってもらえるか考えるのがこれからの自分の役割だと思っています」(安間さん)

パッケージを工夫したり、オリジナルの急須を作ったり、安間さんはさまざまなチャレンジを行ってきた。急須は、同じ袋井市にある瓦工事店で独自開発した瓦製の食器製造・販売も行う株式会社瓦粋と共同開発。瓦素材を使用することでお茶の苦味を極限まで取り除き、旨み・甘みを大幅にアップさせる機能を持たせた「粋月」を完成させた。コンセプトは「機能を追求した新しい価値の提供」。新しいことに挑戦していくことでお茶という文化を後の世代に伝えていきたい。さまざまな職業をたどってきた経験がここにきて活きているようだ。

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