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ADHDに悩む妹との日常漫画。「発達障がいの理解を深めるきっかけに」

  • 2021年4月23日
  • Walkerplus

「妹がADHDの検査を受けます」というタイトルで、自身の妹がADHDの検査を受けるまでや検査結果を受け取ってからの日々を漫画で伝えている桜田洋(@sakurada_you)さん。漫画に込めた思いや、3歳下の妹さんとの関係について聞いた。

■「悩んでいる人の気持ちを軽くしたい」と描き始めたADHDの漫画
注意欠如・多動症とも言われるADHD。不注意や多動性、衝動性といった特徴から、日常生活で困難をきたすことが多いと言われる。そういった障がいを知り、理解を深めるきっかけになればと漫画を描き始めた桜田さん。普段は、旦那さんとのやりとりなどを描いた日常漫画をアップしている。

ADHDに関する漫画を描くにあたり、最初は葛藤があったという。「妹の話を漫画にして発信したいと思ったとき、妹に『漫画にしていいか』と聞くことができませんでした。デリケートな問題ですし、妹が悩んでいるのを知っていたので。そんな時、妹の方から『同じように悩んでいる人たちの気持ちを、少しでも軽くしたいから漫画にしてほしい』と言われました。同じ気持ちだったのだと、とてもうれしくなったのを覚えています」。

ADHDや障がいについて描く際に意識しているのは「間違いのないように」すること。「専門的な内容も含まれるため、情報に間違いがないか、自分なりにいろいろ調べた上で描かせていただきました。また、妹との日々は、自分にとって日常の一部だったので、特別なできごとのようにならないようにしていました」と、あくまでも日常として、妹さんとADHDの漫画を描いていると話す。

妹さんと桜田さんは、付き合いの長い友人のような関係に近いそう。「妹としてかわいがっている部分もありますが、妹は、わたしと年齢差はないと思ってずっと接しているそうです。一度喧嘩になると、冷戦状態がめちゃくちゃ長いです(笑)。家族でいるときは、妹は父が大好きなので、めちゃくちゃ絡みます。母と妹といる時は、3人で延々と話しています」。

別々に暮らす今も、連絡はほぼ毎日とっているそうで、「家族のライングループもありますし、母とわたしと妹の3人だけのライングループもあります(笑)。個人的にラインや電話をすることも多いです」と、仲のよさがうかがえる。

しかし、同級生だったら絶対友達にならない、と思うくらい性格が違うと話す桜田さん。「妹はこだわりが強く繊細で、わたしはこだわりがあまりなく雑なので、一緒に暮らしているときはよく怒られていました…」というエピソードも。

■妹が検査を受けたことで、自分の気持ちにも変化が生まれた
妹さんが検査を受ける前までは、ADHDやASDについては、大学で学んだ程度の知識しかなかったという桜田さん。「具体的なサポートの方法や、支援については詳しく知りませんでした。しかし、ADHDの可能性があると妹自身が感じ、相談を受けたとき、そういった人たちがいかに生きづらさを感じていたかを、身をもって知りました」と振り返る。

「正直、妹に相談を受けるまで、ADHDと妹が関係しているとは思っていませんでした。恥ずかしい話ですが、ADHDにそこまで詳しいわけではなかったので、妹と結びつくことがありませんでした。また、妹と母が似ているので、忘れ物が多い人や、こだわりが強い人と生活をするのに体が慣れてしまっていたのも、大きかったと思います」

検査を通して一番の大きな変化は、妹さんに対して苛立つことがなくなったことだという。「妹は電車や集合時間に間に合わないことが多く、よくわたしや母に『車を出してほしい』と頼んできます。あまりにも頻度が高いので、『また?』と思ってしまうことが多かったのですが、妹がADHDの可能性があることに悩んでいる、と知ったときに『サポートが必要だったんだ』と感じました。それからは、妹に頻繁に時間の声かけをしたり、忘れ物がないか気にしたり、自然とできるようになりました。自分としても、イライラしなくなったので、とてもよかったです」と前向きな変化について教えてくれた。

妹さんは、検査の結果、ADHDのほか、コミュニケーションや表現の難しさ、こだわりの強さを持つASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)でもあることがわかった。桜田さんは、検査を受けるか悩んでいる人や診断を受けた人に向けて、「ADHDもASDも、こわいものではありません。心配ありません。知ることで、具体的にどうしていったらよいか、どんなサポートを受けることができるか分かります。分かると安心し、心が穏やかになっていきます。たくさんの人が、手助けをしてくれます。大丈夫です。あなたができることを、できる分だけすればいいのです」とメッセージを送る。

最後に、自分が投稿している漫画について、「わたしの漫画は『日常』です。わたしの見たこと、聞いたこと、感じたことのお話です。どこかに住んでいるわたしの日常を、楽しんでいただけたら幸いです」と話してくれた。

取材・文=上田芽依(エフィール)

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