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自分の身にも起きるかも…漫画「フォロワー様の恐怖体験談」のリアルな怖さ

  • 2021年3月31日
  • Walkerplus

「道を教えてもらいたかっただけなのに連れ込まれた」、「行きつけの喫茶店で知らない男性から声をかけられた」……。誰にでも起こりうる日常の中の恐怖体験をフォロワーから募集し、漫画としてInstagramに毎日投稿している稲(@inasan_mainichi)さん。フォロワーは6.9万人を数え、現在はWEBメディア「Lovely」でも連載中。読者から寄せられたエピソードはまだ漫画化されていないものも含めると200件を超えるという。投稿には体験談を読んだ人からの恐怖や、同様の出来事に遭遇した人から怒りや共感のコメントも寄せられている。

何気ない日常の導入からはじまる各エピソードだが、気付けばストーカーに付きまとわれたり、逃げ場のない場所で押し売りされたりと、いずれも知らず知らずのうちに危険が身に迫る状況に至る恐ろしさが描かれている。ゆるやかなタッチだからこそ、思わぬところに潜む恐怖への落差が見事に演出されている。今回は稲さんに創作のきっかけやフォロワーからの体験談を漫画化するスタイルに至った理由を聞いた。

■漫画による疑似体験で注意喚起と心の救いを

――SNSで作品投稿を始めたきっかけを教えてください。

「投稿は2020年2月から始めました。もともとは仕事で、会議の議事を文章だけではなく絵や図などで記録していく『グラフィックレコーディング』という手法を練習していました。だんだんと素早く書けるようになってきたタイミングで、私の経験をこのやり方でInstagramに発信できないかと考えました。手術中に目覚める『術中覚醒』という経験を2019年にして以来、そのことをアウトプットしたいとずっと考えていたので」

――フォロワーさんから募集した体験談を漫画化するスタイルを思いついたのは?

「『声をかけられついていったら怖すぎたはなし』という私の経験した恐怖体験を配信したとき、すごく反響があったことがきっかけです。内容は、知らない男性に声をかけられて、会話をしていくうちに食事に行こうと誘われて、ついていった先がカラオケ店。密室の中で男性に迫られてとても怖かったという話でした。これを配信した時に、私のDMに『同じような経験をしたことがあります』という内容でたくさんメッセージが寄せられました。しかも、安易に行動した自分に負い目を感じたり、自己防衛が足りなかったと自分を責めてしまっていて、家族にも友達にも話せておらず、ずっと抱えているとおっしゃっていました。その時、この漫画はそういった方の経験をアウトプットする場としても、さらに、見る人が疑似体験をすることで注意喚起の場としても活用できると感じました。そのため、皆さんの経験を募集することにしました」

――恐怖体験をテーマにした作品が多いですが、このテーマを扱う理由はありますか?

「例えば『知らない人にはついていっちゃだめだよ』などの注意の言葉は、子供のころから今まで一度は聞いたことがあるフレーズだと思います。そうやって教わっている人がたくさんいるのに、毎日たくさんの人が被害にあっています。つまり、そういう言葉だけでは、包括しきれないケースがたくさんあるのだと思います。被害者側の自己防衛が足りなかったとかそういうことではなく、加害者側の手口の狡猾さや、微妙な心理の隙をついていることや、自分の身に危険が迫ったとき、パニックになったり冷静になれなかったり、などだと思います」

「いろんな方のエピソードを漫画にし、そういう狡猾な手口などを疑似体験してもらうことで、もし似たようなことが自分の身に起こった時に、あれで見たやつだ……と俯瞰してもらえるんじゃないかと考えています。テストのときに、全く見たことのない問題に出くわしたらびっくりしますが、昨日参考書読んだ時に書いてあった問題が出たら『これ昨日見たやつ!』と冷静になれるイメージです。かつ、似たような経験をすでにしている人の、心の救いになればと思っています。自分だけじゃないと思ってもらえるだけでも、心が楽になればと思っています」

――漫画を描く時に気を付けていることや、こだわっていることがあれば教えてください。

「なるべくですが、Instagramでは私からの意見を出さないようにしています。『稲さんの意見が正しい!』という形で誘導してしまう可能性があるかもしれないと思っているからです。なので、『みなさんはどう思いますか?』という問いかけのつもりで漫画を投稿しています。コメント欄は議論の場になれば良いと思って開けているのですが、みなさんが活発に意見を出してくれているのを全部見て、私も勉強させてもらっています」

――フォロワーや読者へメッセージがあればお教えください。

「みなさんのおかげで、ちょっとずつのスピードですが一年以上毎日投稿を続けることができています。これからも、誰かのためになる投稿を続けていきたいと思っていますので、応援よろしくお願いいたします」

取材協力:稲(@inasan_mainichi)さん


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