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コロナ禍でも強く、前向きに。フィギュアの名門、中京大学中京高校の新入生の頑張りが、ファンの希望に

  • 2020年9月13日
  • Walkerplus

スケートの名門として知られる中京大中京高校。今年もフィギュアスケート2名、ショートトラック1名の優秀な選手達が入学した。新型コロナ禍の影響により今年は各種の競技会が中止、また練習環境の悪化など、特に伸び盛りの若い選手達への影響は深刻なものがある。そんな中、新入生達がどのように過ごしているのか、フィギュアスケートの松生理乃選手、横井きな結選手についてご紹介したい。

■表現力と緻密なつなぎで高得点をたたき出す、松生理乃

松生理乃選手が注目されるようになったのは昨季のこと。それまでも全日本ノービス、全日本ジュニアへの出場経験はあったが、表彰台に絡むような活躍はなかった。それが昨年、ジュニアグランプリシリーズ(JGP)への派遣を決める選考会で素晴らしいパフォーマンスを披露し、一躍メディアから注目を集める存在となったのだ。

「それまではジャンプとか技に必死になっていたんですが、今は曲調を捉えて、表現をできるようになってきました。選考会前の練習がとにかく厳しくて、そこで鍛えられました」

大会後の取材でも短期間での急成長を自覚するコメントを残しており、周囲の期待通り、JGPラトビア大会で3位に入賞。ファイナルへの出場も期待されたのだが、その後は怪我による不調に苦しみ、派遣が決まっていた2戦目は棄権、全日本ジュニアでも不本意な結果に終わってしまった。
しかしその後、12月の愛知県TP大会の頃には本調子を取り戻しており、今季も再び輝きを見せてくれるものと期待をしていた。4月6日、新型コロナ禍の中、厳戒態勢で開催された入学式での取材でも、ジュニアグランプリに2試合出場して活躍することを今年の目標として挙げてくれたが、周知のとおり、今季のジュニアグランプリは中止となってしまった。
目標としていた大会が中止となり、入学したばかりの学校での生活や練習環境にも多大な影響が出ているが、思いのほか、充実した学校生活を送れているようだ。

「マスクをつけ、換気をしっかり行っている状態で毎日授業を受けられています。友達をたくさん作る事ができました。早退して授業を休んでしまった時はノートを写真で送ってもらったりしています。競技は違いますが、同じ(スポーツクラスの)生徒として授業を受けたり、話したりするのはとても楽しいです」

目標としていた試合が中止になるという困難な現状だが、昨季よりも難度を上げる方向で調整できているようだ。

「試合がなくなった事で、練習に気持ちが入らなかった時もありましたが、今は試合に向けて、毎日一生懸命練習しています。トリプルアクセルを降りる事を目標に練習しています。フリーの新曲はボーカル入りの曲なので、歌詞をしっかり聞いて、理解して演技することを意識して練習しています」

今季のプログラムは、ショートプログラムは昨シーズンの「Color Purple」を継続、フリーは新プログラム、「Perhaps Love」を作ったとのこと。共に樋口美穂子コーチの振り付けとなる。最近でこそボーカル入りの曲を選択する選手は増えたが、松生選手にとっては新たな挑戦となる。エキジビション的な表現力を競技でも見せてくれる、今までとは違ったイメージのプログラムになりそうだ。

■全日本出場を目指すトリプルアクセルジャンパー、横井きな結

横井きな結選手は、中京大学に在籍する横井ゆは菜選手の妹として、そして姉と同様のトリプルアクセルに挑戦する選手として以前から名を知られた選手。横井ゆは菜選手は、トリプルアクセルがなかなか安定せず、近年はトリプルアクセルを外した構成でいかに得点を稼ぐかに注力することが多かったが、対照的に横井きな結選手は積極果敢にトリプルアクセルへの挑戦を続けている。
もっとも以前はトリプルアクセルで成功しても、その後にミスが重なることが多かったのだが、最近は安定感が飛躍的に向上した印象だ。特に足を痛めた状態で臨んだ今年2月の全国中学校大会で、フリーでトリプルアクセルに挑戦、惜しくも転倒したもののその後は素晴らしい演技にまとめ、3位入賞を果たしたことは、「結果が出せずに自信を失っていた」という横井きな結選手にとっては大きな糧となったことだろう。しかしそんなモチベーションが上がってきた最中に、新型コロナ禍による活動の中断。彼女も入学早々に難しい状況におかれているが、入学式の際、「勉強は苦手ですけど授業は好きです!」と笑顔で話してくれた通り、学校生活は楽しく送れているようだ。

「6月中旬にやっとクラス37人揃って、みんな気軽に話しかけてくれてすぐに友達ができました!授業は楽しいです。分からないところがある時はクラスの子が教えてくれたり、『大丈夫?わかんないところある?』って聞いてくれたりしていつも助けてもらってます!」

トリプルアクセルへの挑戦を続けることにこだわりを見せてきた横井きな結選手だが、新型コロナ禍にもめげず、今季もその方針を貫く様子だ。プログラムについても教えてくれた。

「ショートは昨シーズンと同じ『雨に唄えば』で振り付けはクラブの川梅みほ先生です。フリーは『ハリーポッター』で、振り付けは鈴木明子先生です。 トリプルアクセルは今シーズンの初戦、ブロック大会からしっかり入れるようにしたいなと考えています」

全国中学校大会の折にも、入学式の折にも、目標としてシニアの全日本選手権出場を掲げていた彼女。コロナ禍の難しい情勢の中でも、目標達成のための課題をしっかり設定し、練習に励んでいる。

「昨シーズンはプログラムを綺麗にまとめるってことができなくて、スケーティングの部分でもあまり点数が出せなかったので、今はプログラムをきれいにまとめること、そして振り付けを鈴木明子先生に細かくやってもらったので、その2つをしっかり試合で出せたらいいなと思います」

今回、両名ともコロナ禍に負けることなく、昨シーズンよりも高いレベルを目指してしっかりと練習を積めている状況を伺い知ることができ、率直にうれしく感じた。これはフィギュアスケートに限ったことではないのだが、長期間にわたり競技活動が止まってしまうことで、競技レベルが大幅に下がることが危惧される。特に伸び盛りの若い選手への影響は深刻だ。そんな中、こうして頑張っている選手達の姿は、多くのファンに希望を持たせてくれるものだと感じる。近づいてきた新シーズン、どうか無事に競技が開催されて、選手達の活躍を観られることを期待したい。

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