サイト内
ウェブ

ニューヨークで大雨 雨雲は急発達 日本の秋の大雨 台風や秋雨前線だけじゃない

  • 2023年10月1日
  • tenki.jp

アメリカ・ニューヨーク州では、記録的な大雨になりました。今回の大雨はハリケーンの影響ではなく、暖湿気の合流により、雨雲が急速に発達したことによるものです。日本の秋の大雨も、台風や秋雨前線の影響だけではありません。

アメリカ・ニューヨークで記録的な大雨

画像A

アメリカ・ニューヨーク州付近では、現地時間9月29日を中心に雨雲が急速に発達し、大雨になりました。
ジョン・F・ケネディ国際空港では、現地時間29日の日降水量は8.05インチ(約204.5ミリ)を観測、記録が残る1948年以降、これまで1位の記録であった2011年8月14日の7.80インチ(約198.1ミリ)を上回りました。9月平年ひと月分のおよそ2倍の雨が、たった1日で降ったことになります。
ニューヨーク中心部のマンハッタンでは地下鉄の構内に水が溜まって路線が運休、ジョン・F・ケネディ国際空港では多くの便が欠航になるなど、影響が出ているようです。

大西洋には2つの熱帯擾乱が発生しており、ハリケーンシーズン真っ只中ですが、今回の大雨の要因はハリケーンではありません。
上の図は、29日0時(協定世界時)の実況天気図で、雨雲が発達する前です。
ニューイングランド付近に中心を持つ高気圧の周辺をまわる風は、元々は乾いていましたが、大西洋を吹くうちに雨雲の元となる水蒸気を含み、ニューヨーク州付近に流れ込みました。ニューヨーク州付近では、この風と、南から流れ込む暖かく湿った空気が合流、さらに、ノース・カロライナ州付近に中心を持つ高気圧から吹きだす風と、海上の風の境に、沿岸に沿って前線が延びていました。
次第に西から上空に寒気を伴った気圧の谷が近づき、前線付近の雨雲が急速に発達しながら北へ広がりました。ニューヨーク州付近には暖かく湿った空気が流れ込み続けたこともあり、記録的な大雨になったとみられます。

日本は台風・秋雨シーズン

画像B

日本では、台風シーズンです。
きょう10月1日、台風14号が、フィリピンの東を北上しています。台風14号は、今後、進路を西よりにとるでしょう。沖縄の南を発達しながら通り、台湾方面に進む予想です。南西諸島では、10月2日から3日にかけて、強風やうねりを伴った高波に注意、警戒が必要です。

春から南米ペルー沖で海面水温が平常より高くなるエルニーニョ現象が発生しています。エルニーニョ現象発生時の秋の台風の発生は、平常に比べて南東にずれる傾向があります。この秋も、その傾向になるとみられます。今後、対流活動が活発になるのは、日付変更線付近で、少なくとも10月の後半にかけて対流活動が活発な状態が続くでしょう。この海域を中心に、台風など熱帯擾乱が発生することがあるかもしれません。
エルニーニョ現象発生時の秋の台風は、寿命が長く、発達しやすいことも特徴です。今年は、南海上の海面水温がまだ27℃以上で、平年より高い海域もあります。台風が発生すると、発達する可能性があります。南の海上には、まだまだ注意が必要です。

この秋は西日本付近に南西から暖かく湿った空気が流れ込みやすいでしょう。
本州付近で秋雨前線の活動が活発になり、降水量が多くなる時期がありそうです。東北の日本海側など、普段は雨量が多くならない地域でも雨の降り方に注意が必要になることも考えられます。

秋は、2000年9月に発生した東海豪雨など、台風が持ち込む熱帯由来の暖かく湿った空気が、本州付近に停滞する前線の活動を活発にして大雨になるケースもあります。

晩秋〜冬 関東付近に局地的な前線が形成されやすく 2019年10月に大雨

画像C

日本の秋、大雨をもたらすことがあるのは、台風や秋雨前線だけではありません。

関東付近では、局地的な前線が形成されることがあります。関東の内陸で地表面が冷やされると、そこから風が流れ出します。内陸から海に向かって吹く冷たい風と、海から陸に向かって流れ込む暖かく湿った空気の堺で形成される前線です。この局地的な前線は、沿岸前線などとも呼ばれ、どの季節でもみられ、珍しいことではありません。ただ、晩秋から冬は、特に形成されやすく、場合によっては大雨をもたらすことがあります。

2019年10月24日から26日、低気圧が、西日本、東日本の太平洋側沿岸に沿って進み、日本の東では台風21号が北上しました。低気圧に流れ込む暖かく湿った空気や台風が持ち込んだ熱帯由来の暖かく湿った空気の影響で、関東や東北南部の太平洋側を中心に大気の状態が非常に不安定になりました。発達した雨雲がかかり、25日の日降水量は、千葉県市原市の牛久で285.0ミリと、10月として統計開始の1978年以降、1位になりました。佐倉市では248.0ミリで、1976年の統計開始以降、年間を通して1位になり、10月平年ひと月分を超える雨が、たった1日で降りました。

記録的な大雨をもたらした要因として、千葉県に局地的な前線が停滞し、前線に向かって、台風21号周辺などの暖かく湿った空気が、強風により流れ込み続けたこともあります。西から上空に寒気を伴った気圧の谷が近づいたことも雨雲を発達させた要因です。

この大雨で、土砂災害、浸水害、河川の氾濫が発生し、千葉県や福島県を中心に人的被害、停電や断水などライフラインへの被害、鉄道の運休などが発生しました。

たとえ本州付近に秋雨前線が停滞していなくても、大雨に注意が必要な時期になります。日ごろから側溝の掃除をして、水はけをよくしておくなど、大雨への備えをしておくとよいでしょう。

あわせて読みたい

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
tenki.jp