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公民館を通じて地域の未来を語り合う1冊が誕生

  • 2021年12月30日
  • 沖縄島ガール

沖縄・那覇市の繁多川(はんたがわ)公民館の館長・南信乃介氏らがかかわった書籍「公民館のしあさって」(ボーダーインク)が発売中。

「公民館のしあさって」は、町の公民館の未来について真剣に考えるチーム「公民館のしあさって・プロジェクト」の活動や考えを1冊にまとめた書籍。

沖縄・那覇市の繁多川公民館の紹介からスタートし、繁多川公民館を手本にエジプトに公民館を作ったグローバル公民館の代表、モハメッド・アブデルミギード氏の話、公民館について研究をする東京大学大学院・牧野篤教授のインタビュー、そして、公民館の近い未来を考える“公民館のしあさって”について、1冊全体で町の公民館について考えている。

本書誕生のきっかけとなったのは、母国の課題は“教育”が変えると考えたエジプト人のミギード氏が、その鍵を握る施設として「公民館」に着目したこと。ミギード氏によると、「地域のすべての人々が集まり、ともに学び、つながる場所」、そんな公民館の特徴がエジプトの教育に必要だったと語る。

日本全国の公民館を訪ね歩いたミギード氏が沖縄の繁多川公民館にたどり着いた時、「公民館は“建物”でもそこにある“モノ”でもない(中略)大切なのは公民館のスタッフ、公民館を利用する人、地域の人々」だと考える。

そして、2020年、ミギード氏のリードにより、エジプトに「ター公民館」がオープンする。試行錯誤で運営をするター公民館の様子などを写真やイラストと共に紹介する紙面も楽しい。

「公民館のしあさって・プロジェクト」のチームには、公民館の当事者や研究者だけでなく、さまざまなメンバーが所属しているのも特徴。建築家としてチームに参加するツバメアーキテクツのスタッフのインタビューも掲載され、建築から見たこれからの公民館という視点も面白い。

さらに、公民館同様、“自治のルーツ”ともいえる沖縄の共同売店の存続を考える「愛と希望の共同売店プロジェクト」のメンバーのコメントにも“公民館のしあさって”のヒントが詰まっている。

ちなみに、“しあさって”のネーミングの本質を牧野教授がズバリ言葉にしている。「『公民館のあした』だとすぐにやらなければいけないし、『公民館の未来』だと遠すぎる」「しあさってって考えると、少しぐらい置いておいてもいいかなと」、公民館の未来を考えるには、このくらいの時間の感覚がいいのだろう。

そんな感覚を持つ「公民館のしあさって・プロジェクト」のメンバーの絆や、ワクワクする未来について語る姿勢が、うらやましくもあり、まぶしくもある、そんな思いを抱かせる気持ちのいい1冊となっている。

「公民館のしあさって」
発売中 2,420円(税込) ボーダーインク

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