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「モモト」最新号は気楽に読める沖縄ジャズ特集!

  • 2021年8月9日
  • 沖縄島ガール

沖縄を1テーマで表現するビジュアルマガジン「モモト」の2021年夏号が発売中。今回は、「ウチナージャズノオト」と題して、沖縄のジャズを特集している。

巻頭は、沖縄ジャズ界の重鎮や、沖縄ジャズの将来の担い手になる若手の対談集。

トップバッターは、沖縄のジャズ界が誇る歌姫・与世山澄子(よせやま・すみこ)と与世山から歌の指導を受け、彼女を慕ってきたシンガー・西平和代(にしひら・かずよ)が登場。

対談の舞台は、与世山が営むジャズラウンジ「インタリュード」で行われた。実は西平はかつてこの店で働き、名手たちのレコードを聴くことでジャズと触れてきたという。

そんなある日、与世山から突然「歌って」と言われて戸惑った時の西平の心境、与世山が歌い始めた十代の頃の話、米軍基地内での音楽活動、そして、インタリュードの歴史など、話は多岐にわたった。

続いては、琉球古典音楽の師範でありながら、沖縄JAZZ協会の名誉会長を務める上原昌栄(うえはら・しょうえい)と、こちらも琉球古典音楽の師範で演奏家の澤井毎里子(さわい・まりこ)。

県外出身ながら琉球古典音楽に魅了され、県外出身者ならではの解釈で音を奏でる澤井は、「(自分の音楽を)受け入れてくれる人たちがいるのはありがたい」と感謝の気持ちを披露。そんな澤井に上原は「琉球古典音楽を通して、私とも仲間」と返し、ミュージシャン仲間として今度の交流を約した。

ラストは重鎮同士の対談。ジャズドラマーの金城吉雄(きんじょう・よしお)とサックス奏者・こはもとヨーダ正が、ステージに立った当初のこと、沖縄ジャズの今昔などを語り合うなど、ベテランならではの重みのある言葉が飛び交った。

続いては、沖縄を代表するジャズシンガー・安富祖貴子(あふそ・たかこ)とドラマーの中村亮(なかむら・あきら)のインタビューを紹介。

安富祖はジャズという音楽について「歌う上ではテクニックとしてのチャレンジもあるけど、精神的なチャレンジも大きい」と、ジャズの楽しさと共に厳しさを告白。

一方、中村は音楽を始めた頃、パーカッションを奏でていた。語学留学をした高校時代に視察したバークリー音楽大学で学生のドラム演奏を聴いた瞬間、「サイコロの目が変わる音がした」とドラマーとしての人生を歩み始める。

そんな中村だが、ドラムを始めて1年足らずで仕事を任された過去を振り返り、「叩きたいビートが最初から自分にあって、それを全力でやること以外、考えていなかったから」と分析した。

ほか、年表形式で紹介する「ウチナージャズと戦後史」、沖縄県内でジャズが楽しめるスポットをリポートする「Jazz Liveが楽しめるお店」、ジャズに関するさまざまなコラムなどが並ぶ。

登場するミュージシャンたちから共通して感じ取れるのは、自分の奏でる音楽をしっかりと“表現の場”としていること。「一曲でも、おのおの自分なりの表現ができる」(与世山)、「ジャズは(中略)コミュニケーションが楽しい。(中略)こういうのもできるかなとか、セッションの中で、その人が持っているものを楽しんで、音を作る」(安富祖)など、楽曲が生まれた時代背景などはあるにせよ、型にとらわれ過ぎず、自分なりの解釈で共演者との時間を楽しんでいる様子が伝わってくる。

この考え方は、観客側・聴き手にも共通することが、喜屋武綾菜(きゃん・あやな)氏による「真栄里英樹 BIG BAND Concert」のフォトレポートからも分かる。さらには、琉球王国、日本、アメリカ、さまざまな“世”を柔軟に生き抜いた沖縄の歴史にも通じてくるのではないだろうか。

そう考えると、今回「モモト」が“ウチナージャズ”として特集を組んだ理由が見えてくる。表紙の与世山の視線は、そんなウチナージャズの歴史を、そして、ウチナージャズの行く末を見据える眼差しのように感じる。いや、もしかしたら、「肩肘張らずに、まずは『モモト』を手に取って…」、そんなことを私たちに語り掛けているのかもしれない。どちらにせよ、難しく考えずとも、楽しく読める1冊に仕上がっている。

「モモト」(Vol.47)
発売中 1,100円(税込) 編集工房東洋企画

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