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生前から温めていた久高幸枝さんの「闘牛女子。」最新シリーズ

  • 2021年4月4日
  • 沖縄島ガール

和牛の飼育家で“闘牛カメラマン”としても活躍していたが、2020年5月に急逝した久高幸枝さんの写真集「写真集 闘牛女子。3」(ボーダーインク)が発売された。

久高さんは1975年、沖縄・うるま市石川(当時は石川市)で、代々続く牛飼いの一家の長女として生まれた。小学5年生の頃から闘牛の写真を撮り始め、闘牛文化を広めるべく、2013年に初の写真集「写真集 闘牛女子。」(ボーダーインク)を発売。その後、2017年に「写真集 闘牛女子。2」(ボーダーインク)を出版し、今回が第3弾となる。

今回の写真集のテーマは、「牛愛」。牛と飼い主たちの“愛”が伝わってくる写真を中心に構成されている。表紙とトビラの写真は、久高さんと愛牛・ハートのカットが並ぶ。それに続く、牛を囲む飼い主や家族たちの写真を眺めていると、一頭の牛を取り巻く関係者の数が多いことと共に、かなりの飼い主たちがタオル、ポロシャツ、法被など、愛牛の名前の入ったグッズでそろえていることに驚く。

これほどまでに牛に愛を注いでいるのかということが伝わってくると同時に、闘牛場で見せる闘志剥き出しの表情ではない牛たちの穏やかな表情が印象的。中にはウットリとしているように見える表情もあり、違った一面が見られて面白い。闘牛文化が大事にされている地域ならではの1枚は、他県の人には新鮮に写りそうだ。

中盤には、闘牛の醍醐味である牛たちの闘いの表情を収めたカットのほか、久高さんが“闘牛パラダイス”と呼んでいた鹿児島・徳之島で行われた「全国闘牛サミット」のカットも掲載している。

久高さんは今回の写真集の発売を待たずに逝ってしまった。ただ、出版社であるボーダーインクと担当編集者の喜納えりかさんは、彼女の遺志を受け継ぎ、写真集を出版するだけでなく、久高さんが生前、写真集出版の際の推薦文を依頼していた人たちの言葉を巻頭に掲載した。その一人であるお笑い芸人・知念だしんいちろうのコメントのような写真が表紙に使われていて、ホッコリとさせられてしまう。

そして、後半には久高さんと仲間たちの写真をモノクロで紹介。そして、ラストの、子牛をなでる久高さんは、まさに今回の写真集のテーマである“牛愛”を象徴しているようなカットで、喜納さんの編集者としての久高さんへの愛が伝わってきて、ついつい心が温まる。

最後は久高さんと久高さんの妹・彩さんのコメントで締められているが、その中に久高さんの“夢”が綴られている。いつか、そんなことが現実になったら、那覇空港やうるま市石川がそんな場所になったら…そう思うと、思わずワクワクしてしまう。間もなく、久高さんが亡くなって1年。この写真集を眺めながら、久高さんの“牛愛”をしっかりと受け止めたい。

「写真集 闘牛女子。3」
発売中 1,650円(税込) ボーダーインク

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