深大寺(調布市深大寺元町5、TEL 042-486-5511)の秘仏「元三大師像(がんざんだいしぞう)」の修理が完成し、これを記念して4月26日から特別開帳される。(調布経済新聞)
丁寧に傷みを直し弱ったところを補強した「令和の大修理」
同像は、平安時代中期の天台宗座主(ざす)で比叡山延暦寺(えんりゃくじ)の復興に尽力した慈恵師良源(じえだいしりょうげん)の肖像彫刻。命日(1月3日)にちなみ「元三大師」とも呼ばれ、その姿を拝めば外敵や飢饉(ききん)、疫病などを退けると広く信仰された。同寺の坐像(ざぞう)は鎌倉時代に造られた寄せ木造りで、肖像彫刻としては日本最大の2メートルを誇る。他の元三大師像より顔立ちが精悍(せいかん)で表情も生き生きとしている。
本来は50年に1度、扉を開く秘仏だが、2021年の東京国立博物館特別展「最澄と天台宗の全て」で205年ぶりに寺外で公開した。2022年から奈良国立博物館文化財保存修理所美術院工房で江戸時代以来となる「令和の大修理」を行い、完了した今年1月~3月に東京以外で初めての出開帳を行った。同館では6月15日まで、特別展「超 国宝」で深大寺の国宝・釈迦(しゃか)如来倚像(いぞう)を展示している。
広報担当の大川志保さんによると、「秘仏のため厨子(ずし)内に立ち入ることが難しく容易に点検できず痛ましいお姿だったが、東京都指定文化財として多くの合力により無事に修理が完了し感謝している。併せて構造を強化し未来に受け継ぐことができ、新たな発見もあった」という。
今回得た知見を踏まえ、武蔵野美術大学の奥健夫教授と成城大学の岩佐光晴教授による講演会「なぜ日本一大きな肖像彫刻はつくられたのか」を5月16日、調布市文化会館たづくりくすのきホールで開催する(13時30分~16時20分、無料)。参加申し込みは、調布市郷土博物館(TEL 042-481-7656)の窓口と電話で受け付ける(定員500人、5月15日まで)。
大川さんは「厄よけ本尊として力強い目や分厚い唇などの表情は、美術館や博物館で見るのとは違う寺ならではの迫力と神秘を感じていただけるのでは。像本体の大きさはもちろん、持物(じもつ=手に持っている数珠と密教法具)の大きさも間近でじっくりご覧いただきたい」と話す。
公開時間は10時~16時。拝観料は1,000円。6月2日まで。