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(Boulder)vol.11 世界が注目する“スマート・グリッド”(次世代電力網)は、ボールダーから

  • 2009年7月16日

スマート・グリッド宣伝カー
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 20世紀の配電網を21世紀のテクノロジーでアップデートしたらどうなるだろう。そう、あの「スマート・グリッド」を手に入れることになるだろう。スマート・グリッドは、私たちが電力を使うたびに「いつ」「どのような種類のエネルギー源から」を自分で選択することを可能にしてくれる最新のテクノロジーだ。

 1882年9月4日、「発明王」トーマス・エジソンはローアー・マンハッタンにパールストリート・ステーションという発電所をオープンした。このステーションでは蒸気を電力に転換するために6つの巨大な発電機を使っていた。100,000フィート(約30km)におよぶ電線が敷かれ、ニューヨーカーたちにアメリカで初めて電力が送られたのだ。


電力網は127年前のまま?

 あれから127年経った今、送電システムには大きな変化は見られない。もちろん、発電機は小さくなり性能も向上し、エネルギー源も石炭、石油、蒸気、水力などの従来のものに、原子力、風力、太陽光などが新たな種類が加わった。しかし、これら様々なエネルギー源から得た電力を送配電する肝心のシステム自体はエジソンが127年前に構築した状態からほとんど変わることなく今日に至っている。
スマート・グリッド宣伝カー
現在のアメリカ国内の配電網マップ ※クリックで拡大
Photo by wikipedia.com
 現在、アメリカには157,000マイル(約25万km)の電線が敷かれている。1990年から電力需要は25%も伸びているが、逆に過去25年間、新しい発電所に投資される金額は減る一方だ。伸び続ける需要に対して新しい発電所建設が追いつかず、それぞれの既存の発電所と配電網にかかる負担は増すばかりである。(http://www.energy.gov/参照)
 2003年にアメリカ東北部で起きた大停電は記憶に新しい。アメリカ-カナダ国境付近に住む1千万人の生活に影響を及ぼし、トータル経済損失は70億ドル〜100億ドル(約7千億円〜1兆円)にものぼりアメリカ経済に打撃を与えた。発電所と配電網にかかる過度の負担が引き起こした停電だった。

 ゼネラル・エレクトリック社によると、アメリカのカーボンフットプリントの40%近くを占めているのが今日の電力網だ。アメリカ国内で深刻だと思われている自動車からのCO2排出量のほぼ2倍に相当する。もし現存する配電網をあと5%でも効率化することができるのなら、2500億パウンド(125百万トン)ものカーボンフットプリントを減らすことができる。これは3千万エーカーの土地に植林を施すのと同等の価値、または車2100万台分のCO2排出量を削減するのと同じ効果が得られるのである。


スマート・グリッドとは?

スマートメーター等、スマート・グリッドのデバイス
スマートメーター等、スマート・グリッドのデバイス
各家庭でオンタイムの電力消費状況が確認できる
各家庭でオンタイムの電力消費状況が確認できる
 既存の配電網に「インテリジェンス(知性)」を与える、これがスマート・グリッド計画である。電力の一方向供給しかできなかった従来のメーターを取り外し、「スマート・メーター」と呼ばれるデジタルコミュニケーションシステムを設置することで、電力会社と一般利用者間の電力双方向供給が可能になる。

 今現在どのくらいのエネルギーが自宅で使用されているのか、そしてそのエネルギー源はなんであるのか、さらに使用中の電力価格についても利用者がリアルタイムで情報を得ることができる。計画に参加する「スマート・ハウス」と呼ばれる各家庭では、洗濯機や食洗機など日常生活で使用頻度の高い家電を電力価格が安い時間帯を選んで使用することが可能になるため、利用者にとっては大いなる節約に繋がる。電力会社はスマート・メーターを通じて各スマート・ハウスの電力消費の激しい家電への送電を遠隔操作で拒絶することもできるので、配電網にかかる負担の偏りを正し、地域の停電を未然に防ぐことが可能になる。スマート・グリッド・シティでは電気自動車を送配電システムに繋いで直接充電できるようになるだけではなく、車の余剰電力をシステムに戻してそれを蓄えておくことも可能にする。

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