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(Boulder)vol.6 自然界のバランスと存在

  • 2007年11月1日

 私たちにとって人間史が始まる以前から、太陽は現在まで地球の成長と共に当たり前に存在し地上に育ち生きる生物の命にエネルギーを与え、熱と共に降り注ぐように舞い降りる光が大地に様々な影響・効果を与えています。角度を変えて考えるならばそれらに順応し活かしているものたちが現存しているとも言えます。それらは深いところで微妙なバンラスをもって存在する「形」であり、総てが意味を持った存在であり、繋がり支えあっていると思います。

自然界の役割

野草
踏まれても花を咲かす野草の美しさ
(コロラド州キノーシャ峠)

 受粉を促す虫を呼び寄せる鮮やかな色やネクターを持つ花、そしてその花が咲く時期に蜜を求めるべく存在する虫。食欲をそそる味を施して種を包み、あちこちに運ばせて子孫を残そうとする植物、そしてその実を好んで食べる動物たち。受粉だけの役割を持つ虫もいるだろう。「役割」という言葉が、存在する動植物それぞれに与えられている。それは「何故」ではなく、それぞれの存在のバランスを保つための土壌のような意味があるからである。「雄と雌」が別体または機能的に分かれて存在することも考えてみても、それは論議の余地のない必然的なものと理解したほうがいいものであり、我々にも与えられている責任ある自然界の一つの各々に与えられた歯車である「役割」があると思う。

 動物には保温性と変温性のものがある。爬虫類は環境順応する過程で保温が出来ない身体を持ち生息しているため太陽光を浴びたり、水温、気温の上昇である程度まで体温を上げないと活動できないが、暑くなりすぎると日陰に潜んだり口をあけて体温調整をする。保温動物は体毛や皮下脂肪を蓄えることにより体温発散を防ぎ、また、エネルギー供給を補う。暑い時は汗を掻くことによって熱を外に逃がすものもいるし、舌を出して調整するものもいる。食物調達が困難な季節的環境に生息するものは食べ物があるうちに食べ続けて身体に脂肪として蓄えて冬眠したり、埋めて隠すことによって生き延びる術を身につけている。

 植物は球根にエネルギーを蓄え、また根に窒素分を貯めながら生き延びることもあるし、水分が不足する干ばつの年には日当たりの比較的悪い部分の枝への栄養補給を絶って枯らすものもある。窒素分を根から吸収できない植物は空気中から取り込む術を身につけている。驚くべきアダプテーション(適応)と呼ぶべきことかもしれないし、与えられた条件を満たせるもののみが存在の意味を自然界のバランスの中に与えられているとも理解できる。成長スピードの速さも繁殖地域や季節の条件(地形や天敵の有無など)に関係していることが多く胎児や卵の数は生存率と大きく関係を持っている。増え過ぎず、はたまた絶滅の危機をもたないバランスの中で持ちつ持たれつの食物連鎖的関係があるのも自然の摂理なのであろう。

野草
ロッキー山脈の夏を飾る野草たち

 宇宙から見下ろしたなら、地球の表面を滑るようにして移動し気まぐれに姿を現しては消え、時には巨大な渦となって各所に雨を降らせる雲は「恵みの雨」と賞賛され我々の生活の基礎である農耕や家畜の餌となる草に力を与えてくれることもあるが、高気圧と低気圧は風の流れの向きを相反するものにして、雲の役割を分担させる機能も果たしているように見える。それは地球という大きな生命体の大気圏内におけるバランスの動きである。大地は火山活動や断層がシフト(ずれる)することによって地表面を震わせるが、これも内側からのストレス発散であり調整である。

「形あるものは崩れる」という。また「生きている」ものは常に動いている。一つの生命体として新陳代謝をしていると考えればすべてに「命」があり常に意味のある動きをすることによってお互いの存在を支えているのである。

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