見れば見るほどハマる『ソンジェ背負って走れ』 / (C)CJ ENM Studios Co., Ltd. U-NEXT独占配信中
世界109か国で6週連続1位を収め、2024年最高のKドラマと絶賛された『ソンジェ背負って走れ』。2024年5月の放送終了から1年。さらにファンは拡大中で、「第61回百想芸術大賞」では、主演のピョン・ウソク、キム・ヘユンがそろって人気賞を受賞し、1年たった今でも『ソンジェ背負って走れ』熱は継続中!
3月9日発売 『ソンジェ背負って走れ』日本公式脚本集!豪華特典が満載です / Amazonより
そんな世界的大ヒットドラマ『ソンジェ背負って走れ』の日本公式脚本集が3月に世界文化社より発売されました。
今回、日本での脚本集発売を記念して、『ソンジェ背負って走れ』の脚本家であるイ・シウンさんが特別にレタスクラブのインタビューに答えてくださいました!
世界的大ヒットドラマ『ソンジェ背負って走れ』あらすじ
15年前の事故で下半身不随になったイム・ソル。希望を見つけられずにいた彼女を救ったのは、大人気バンド「ECLIPSE」のメンバー、リュ・ソンジェのラジオでのひと言だった。ソルはその日からソンジェの大ファンに。大晦日、「ECLIPSE」のライブの帰り道、雪の中困っていたソルを助けてくれたのは、まさかのソンジェだった。推しに助けられ、夢見心地で家に帰ったソルだったが、ソンジェが亡くなったというニュースが飛び込んでくる。運命に導かれるようにタイムスリップしたソルは、ソンジェの悲しい未来を変えようと奮闘する…。(U-NEXTで独占配信中)
「なぜこの俳優を先に思い浮かばなかったんだろう。うらやましく惜しい気持ちになった」ピョン・ウソクキャスティング秘話
——日本で『ソンジェ背負って走れ』の脚本集が発売されました。脚本集が翻訳されて発売されることは意義深いことですが、どのような心境ですか?
イ・シウンさん: 日本版の脚本集を出版社から送っていただき、見ました。外国語に翻訳された脚本集を見て、すごく光栄ですし、とても感動しました。私が書いた文章が遠い日本まで届いたなんて。作品だけでなく脚本まで愛してくださって、本当に感謝しています。
——ソンジェのキャスティングは難航したそうですが、ピョン・ウソクさんがソンジェを演じて大成功を収めましたね。映画『20世紀のキミ』での演技を見て、ピョン・ウソクさんがソンジェ役にピッタリだと思われたとのことですが、実際にピョン・ウソクさんが演じるソンジェを見ていかがでしたか?
イ・シウンさん: ソンジェというキャラクターは19歳の青年らしさと30代の大人っぽさを全て表現しなければならないキャラクターです。それで、15年という期間を誰が演じられるだろうかと考えた時、思い浮かぶ俳優が多くありませんでした。
ピョン・ウソクは『ソンジェ背負って走れ』で大ブレイクし、Instagramフォロワー数は激増、現在フォロワー1200万人超!ドラマ放映から1年たった今、百想芸術大賞で人気賞を受賞しドラマの圧倒的人気は継続中! / (C)CJ ENM Studios Co., Ltd. U-NEXT独占配信中
そんな時に『20世紀のキミ』を見ました。ピョン・ウソクさんは30代で、以前はずっと成人の役を演じられていましたが、この作品の中では、高校生として青年の若くてピュアなまなざしを見せていました。"ソンジェ役が本当によく合いそう。なぜこの俳優を先に思い浮かばなかったんだろう"とうらやましく、惜しい気持ちになりました。
その時はキャスティング前でしたが、オファーをしたとしても、ピョン・ウソクさんが『20世紀のキミ』を撮った後だったので、また制服を着る19歳の高校生役はしないだろうと思っていました。ですが、ありがたいことに、台本を読んでソンジェの役を気に入って引き受けてくださり、本当に嬉しかったのを覚えています。
『ソンジェ背負って走れ』高校生の初々しいソンジェ / (C)CJ ENM Studios Co., Ltd. U-NEXT独占配信中
そうしてキャスティングが確定し、初ミーティングの日に確信しました。ソンジェが歩いてきたんです。私が文章で書いたソンジェの200%以上、ソンジェをうまく演じてくださるだろうと信じられました。実際のピョン・ウソクさんは、私が頭の中で思い描いていたソンジェそのものだったんです。
「脚本家として一番の幸運」キム・ヘユンキャスティング秘話
——ソルのキャラクターについては、執筆当初からキム・ヘユンさんをイメージしながら脚本を書かれたそうですね。実際にキム・ヘユンさんが演じる姿を見て、どう思いましたか?
イ・シウンさん: キム・へユンさんが演じるソルを見るたびに、ただただ感動しました。脚本家にとって一番の幸運は、脚本を書いている間にイメージしていた俳優が、実際にキャスティングされた時だと思います。
イム・ソル役を演じたキム・ヘユン / (C)CJ ENM Studios Co., Ltd. U-NEXT独占配信中
私の前作『女神降臨』を演出してくださった監督がキム・へユンさんの前作である『偶然見つけたハル』の監督だったんです。その縁でキム・へユンさんが『女神降臨』に少しだけカメオで出演してくれました。その時も漠然と、次の作品はキム・へユンさんとやってみたいと思っていました。その時、既に彼女のファンになっていたので、 キム・へユンさんを思い浮かべながら『ソンジェ背負って走れ』を書いたんです。
ソル自身が推しであるソンジェと初めて会った時と同じ気持ちではないでしょうか?"私が書いたソルをキム・へユンさんが演じてくれるなんて!"というふうに。
キム・ヘユンの演技でより魅力的なソルに! / (C)CJ ENM Studios Co., Ltd. U-NEXT独占配信中
——『ソンジェ背負って走れ』の中で、お気に入りのキャラクターはいますか?
イ・シウンさん: 脚本家としては私が作った全てのキャラクターに愛着を持っています。ヨンスすらも! それでもあえて選ぶとしたら、やっぱりソルとソンジェではないでしょうか? 2人がどうか幸せになることを祈りながら、3年間脚本を書いたんです。
『ソンジェ背負って走れ』生みの親イ・シウンさんにインタビュー。キャラクター誕生秘話も! / (C)CJ ENM Studios Co., Ltd. U-NEXT独占配信中
原作との違いと、テソンを生み出した理由
——『明日の一番』というウェブ小説の原作がありますが、それを脚本として完成させるのにどれくらい時間がかかりましたか?
イ・シウンさん: 偶然、原作を読みましたが、"ファンが自分の推しを救いに過去に行く"という設定が気に入り、制作社にお願いして版権を買うことになりました。
そのあとは原作を脚本の形にしていくというよりは、私が新たに生み出すソルとソンジェの物語に、より集中する時間だったような気がします。脚本は2021年の夏から書き始めました。
—— 原作にはないキム・テソンというキャラクターをドラマに登場させた理由は何ですか?
視聴者をときめかせる第2話の最後のシーン / (C)CJ ENM Studios Co., Ltd. U-NEXT独占配信中
イ・シウンさん:実は、原作はソル、ソンジェ、イニョクを中心とした短い物語なので、これを16話のドラマとして作るためにはほとんどのキャラクターを一から作らなければなりませんでした。家族や友達のキャラクターもそうですし、悪役であるヨンスの件を追加したのもその理由からです。
その中でもテソンのキャラクターが重要だった理由は、キム・テソンは2008年という時代を表現してくれる人物だからです。テソンは当時の韓国で流行していた「サイワールド」というSNSのオルチャン(※=顔が最高、美男美女のことを指す)です。
また、その当時流行していたインターネット小説から飛び出てきたような人物でもあります。このドラマは基本的に2008年頃の時代の雰囲気を出しているので、その時代の香りを刺激するキャラクターが必要でした。
それから、ソルが未来から過去にタイムスリップしますよね。多くの人は10代の頃の理想のタイプと30代の頃の理想のタイプが違うので、過去へと飛んだソルが"私は19歳の時、こんな子を好きだったの?"と衝撃を受けるような初恋の人がいたら、ドラマがより面白くなると思いました。
——ソルより先にソンジェの方が彼女を知っていたという設定もドラマオリジナルですが、この設定を追加した理由は何ですか?
イ・シウンさん:片方だけが一方を救う原作とは異なり、双方が救う物語にしたかったからです。
それから、見落として過ぎてしまった過去の中に、大切なものがあったかもしれないというテーマをこめたかったんです。そのような考えから自然と、ソルが見落として過ぎてしまった時間の中に、自分を知っていてくれた、自分を救ってくれた1人の青年がいたという設定が生まれました。
見落として通り過ぎてしまった過去に気づくソル / (C)CJ ENM Studios Co., Ltd. U-NEXT独占配信中
——原作ではソンジェとソルは18歳から23歳の年齢幅ですが、ドラマでは19歳から34歳とかなり広がっています。年齢幅を変更した理由は何ですか?
イ・シウンさん:タイムスリップというものをより分かりやすく見せるためには、時代的な特色が目立つようにしなければならないと思いました。2008年はスマートフォンが出る前の最後のアナログ時代でした。ですから、現代と過去を行き来する場面を演出する時にドラマ的な面白さを与えられると思ったんです。
そして2008年は私が高校を卒業してからそれほど時間が経っていない時期なので、その時代の雰囲気をより上手に表現できるという確信がありました。それで2008年を過去に設定したら、15年の年の差が出る34歳に自然と設定されました。
過去に戻ってソンジェを救おうとするソル / (C)CJ ENM Studios Co., Ltd. U-NEXT独占配信中
これに加えて、ヨンスという人物が絡む事件を新たに作りました。警察に捕まったあと、刑務所で服役して出所します。そのあとに復讐心からソンジェの前に現れ、しつこい悪縁が始まります。殺人事件で捕まったヨンスが出所するまでに15年の月日が必要だったことも年齢の設定に影響を与えました。
印象的なドラマタイトルの秘密
——『ソンジェ背負って走れ』はソルがソンジェがボーカルを務めるバンド「ECLIPSE」を応援する時に使っていたファンネームですが、これをドラマのタイトルにした理由はありますか?
イ・シウンさん:原作のタイトルも叙情的できれいですが、ドラマのタイトルとしては記憶に残りづらいと思いました。そして、ソルがソンジェを救いに行くという物語を表現するには『ソンジェ背負って走れ』がより明確だと思ったんです。もちろん、タイトルの候補にはこれ以外にもいろいろありました。
ドラマの後半にソルが書く脚本のタイトルが「記憶を歩く時間」ですが、韓国では有名な曲のタイトルでもあり、2008年当時に流行した曲でもあります。このタイトルと『ソンジェ背負って走れ』のどちらにするかでたくさん悩み、多くの会議を重ねて、多数の意見に従って『ソンジェ背負って走れ』に最終決定しました。
「ソンジェ背負って走れ」というファンネームでソンジェを応援するソル / (C)CJ ENM Studios Co., Ltd. U-NEXT独占配信中
子どもはアトラクションより京都の温泉が好きということに驚いた
——イ・シウンさんは日本にいらっしゃったことはありますか? 日本でお気に入りの場所や食べ物などあれば、教えてください。
イ・シウンさん: 日本へは何回も旅行したことがあり、東京、福岡、湯布院、大阪などに行きました。
一番記憶に残っているのは、子どもと一緒に行った京都です。私の子どもは遊園地のアトラクションよりも、京都の温泉のほうがはるかに好きだということを知り、本当に驚きました。いつかまた、子どもと行ってみたい場所です。
——座右の銘や好きな言葉などはありますか?
イ・シウンさん:座右の銘というよりも、「今日を忠実に生きよう」という気持ちで一日一日を過ごしています。
私自身、遠い未来のために生きることよりは、今日一日を幸せに締めくくれた喜びのほうが大きいような気がします。そうしてそれなりに幸せに過ごす今日が積もり積もれば、将来振り返った時に、幸せに生きてきた人生になるのではないかと思うからです。
——最近はどのように過ごされていますか?今後、また新たなドラマを執筆される予定ですか?
イ・シウンさん:最近は次回作を一生懸命執筆中です。新たな愛の物語に没頭しています。
今後も多くの物語を書いたとしても、長い間忘れることのできない作品
——ドラマの放送終了からかなりの時間が経ちましたが、いまだに愛され続けている作品です。イ・シウンさんにとって『ソンジェ背負って走れ』はどのような作品ですか?
イ・シウンさん:ありがたい作品です。そして今後も多くの物語を書いたとしても、長い間忘れることのできない作品になるような気がします。身に余るほどの愛をいただいたと考え、今後も他の作品を書くたびに、初心を思い出しながら振り返る作品になると思います。それほど愛情深い、すごく大事な作品です。
多くの人の記憶に残り続けるであろうソンジェとソル / (C)CJ ENM Studios Co., Ltd. U-NEXT独占配信中
——脚本集が日本で発売されたばかりということで、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。
イ・シウンさん:『ソンジェ背負って走れ』を愛してくださって心から感謝します。ファンの皆様の大切なお気持ちをずっと忘れずにいます。いつも皆様が幸せであることを願いながら、もう一度真心を込めてお礼申し上げます。今日も幸せでいてください!
最高のK-ドラマ『ソンジェ背負って走れ』 / (C)CJ ENM Studios Co., Ltd. U-NEXT独占配信中
【イ・シウンさん プロフィール】
2010年放送『まるごとマイ・ラブ』、2011年放送『ハイキック3―短足の逆襲―』の最年少作家としてキャリアをスタートし、『ブッとび! ヨンエさん』など数々のシットコムを執筆。その後、アニメ『シンビアパート』シーズン1~3の脚本を担当。2018年、『トップスター・ユベク~同居人はオレ様男子~』で共同脚本を書き、2020年『女神降臨』、2024年『ソンジェ背負って走れ』を執筆し両タイトルともに大ヒット! 今最も注目を集める人気脚本家。
『ソンジェ背負って走れー日本公式版ー』
イ・シウン (著)、JKLink (翻訳)
大ボリュームの2冊セット / Amazonより
イ・シウンさんのスペシャルコメント(日本語訳)
イ・シウンさんのスペシャルコメント(韓国語)
脚本家イ・シウン氏による全16話を完全収録し、字幕では表現されなかった詳細なセリフの数々が楽しめる全1072ページ! 全てのセリフが日本語に訳されているので、それぞれの俳優がどんな感情で演じているのかがよくわかります。さらに主演俳優ピョン・ウソクとキム・ヘユンの独占インタビュー、配信未放映のシーンや、出版決定後に加筆した追加シーンや各キャラクターの心情描写、ヒロイン・ソルの詳細な履歴書や劇中ドラマの脚本なども掲載。
イ・シウン氏の濃密なインタビューも見ごたえあり。ドラマファンが推測していたことも自ら回答しており、脚本集を見ながらドラマ『ソンジェ背負って走れ』を視聴すれば、ソンジェの世界により没入できるはず。
貴重なお話をたくさん聞かせていただいた今回のインタビュー。
次回作を執筆中ということで、今から楽しみですね! イ・シウンさん、ありがとうございました!
『ソンジェ背負って走れ』
(C)CJ ENM Studios Co., Ltd. U-NEXT独占配信中
テキスト=Kudo Momoko