ある日突然届いた「お葬式の招待状」。4人の同級生が招かれた葬儀を描く『べつに友達じゃないけど』著者インタビュー

  • 2025年4月19日
  • レタスクラブニュース
 『べつに友達じゃないけど』より

ある日突然、特に親しかった記憶もない高校の同級生から「あなたを私のお葬式に招待いたします」と書かれた招待状が届いたら…あなたならどうしますか?

人気漫画家・やまもとりえさんの新作コミック『べつに友達じゃないけど』は、そんな招待状を受け取った40代の男女の物語です。なぜ自分がお葬式に呼ばれたのかわからないまま葬儀場へと向かうと、そこには同じ招待状を受け取った同級生が集まっていました。特に親しかったわけでもなく、同じ高校だったということ以外には共通点がない4人が呼ばれた理由は…?

高校時代の空気感を懐かしく思い起こさせるこの作品について、作者のやまもとりえさんにお話を伺いました。

あらすじ


『べつに友達じゃないけど』より
『べつに友達じゃないけど』より / (C)やまもとりえ/KADOKAWA

大場ミホは一人娘がいる既婚者で、化粧品売り場で働いています。高校時代はみんなの憧れの存在、若い頃は読者モデルをやっていてモテモテだったけど、今は陰で「おばさん」と呼ばれている…。そんな現状に悶々としながらも、日々をなんとかやり過ごしていました。

『べつに友達じゃないけど』より
『べつに友達じゃないけど』より / (C)やまもとりえ/KADOKAWA

『べつに友達じゃないけど』より
『べつに友達じゃないけど』より / (C)やまもとりえ/KADOKAWA

そんな大場ミホの元にお葬式の招待状が届きます。差出人の名前は水原すみれ。それが誰だったのか思い出せずに戸惑いつつも、お葬式に参列することにします。

葬儀場にいたのは高校時代の同級生たち。お互いにほとんど話したことのない4人でしたが、少しずつ当時のことを思い出していきます。そして、水原すみれが彼女たちを招待した理由と4人の接点が明らかになって……。


「あなたを私のお葬式に招待いたします」突然届いたお葬式の招待状


『べつに友達じゃないけど』より
『べつに友達じゃないけど』より / (C)やまもとりえ/KADOKAWA

――登場人物たちのもとに高校時代の同級生から「あなたを私のお葬式に招待いたします」という招待状が届く…という冒頭のエピソードから、一気に物語に引き込まれます。この設定はどんなところから思いついたのでしょうか?

やまもとりえさん:私と同年代の同級生たちが集まって、高校時代を思い出しながら人生をちょっとずつ変えていくというあらすじは最初に決めていました。それで、普段接点がない人たちが集まるにはどうしたらいいかなと考えて、高校の同級生からお葬式の知らせが届くという設定にしたんです。でも、ほとんど記憶にない子のお葬式に全員が参列するのは考えにくいですよね。そこで思いついたのが、結婚式の招待状のようなおしゃれな封筒に入ったお葬式の招待状です。しかも、積極的に「あなたを私のお葬式に招待いたします」という文面が書かれていたら、何か意味がありそうじゃないですか。私だったら行きますね。

――確かに、サスペンス風というか、何か事件が起こるんじゃないかというドキドキ感がありました。

やまもとりえさん:サスペンスやミステリーの風味も交えて、どっちに話が転んでいくのかわからないように演出したつもりです。怖い終わり方なのか、ハッピーエンドなのか。それは読んでみてのお楽しみにしてください。


最初は俳優さんの当て書きだった!? リアルにいそうな登場人物に共感


――お葬式の招待状を受け取った4人の登場人物は、それぞれどのようにして生み出されたのでしょうか?

『べつに友達じゃないけど』より
『べつに友達じゃないけど』より / (C)やまもとりえ/KADOKAWA

やまもとりえさん:主人公の井上美里は完全に私がモデルです。微妙な性格の悪さとかどこにも所属してない感じとか、まさに高校時代の自分をそのまま描いているようでした。具体的なエピソードだと、井上さんが校庭で絵を描くシーン。あれは、当時美術部だった私が、教室じゃなくてあえて外で絵を描くことで、部活中の好きな男の子をベストポジションで見ようとした手口です(笑)。横を通った男の子に「何してんの?」って声をかけられるのが嬉しくて。自分から話しかけるのは無理だったので、話しかけられ待ちをしていました。

『べつに友達じゃないけど』より
『べつに友達じゃないけど』より / (C)やまもとりえ/KADOKAWA

――めちゃくちゃ微笑ましいエピソードじゃないですか(笑)。他のキャラクターはどうでしょう?

やまもとりえさん:藤井百合子もちょっと私に似ていて、美術部にいそうな子をイメージして描きました。大場ミホは、当時クラスにいたコギャルの女の子がモデルですね。その3人はすぐ決まったのですが、一番悩んだのは唯一の男子である伊藤亮介です。最初は、私が高校生のときに好きだった男の子に寄せて描いていたのですが、だんだん全く違う人物像になってきて。少女漫画に出てきそうなファンタジーな感じじゃなくて、ちゃんと地に足をつけて“生きている”感じの男の子にはなったんじゃないかなと思います。


『べつに友達じゃないけど』より
『べつに友達じゃないけど』より / (C)やまもとりえ/KADOKAWA

――登場人物がみんなすごくリアルで、「こういう人いるよね」とか「自分にもこういうところある」と、共感できる部分が多々ありました。

やまもとりえさん:実は、最初は担当編集さんに「俳優さんの当て書きで描いてみませんか」と言われて考えたキャラクターでもあるので、“リアルにいそうな感じ”がするのかもしれません。主人公は池脇千鶴さん、大場ミホは野呂佳代さん、藤井百合子はくわばたりえさんかな〜とか。伊藤亮介は、顔がすごく好みな坂口健太郎さんがいいなとか(笑)。でも、結局気づいたら自分自身や周りにいた同級生を融合させたようなキャラクターが生まれていましたね。

『べつに友達じゃないけど』より
『べつに友達じゃないけど』より / (C)やまもとりえ/KADOKAWA

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お葬式の招待状を受け取った4人の登場人物たち。うまくいかない日々をなんとなくやり過ごしている40代の日々は、どこか自分と重なる部分があるように感じられるかもしれません。


取材・文=宇都宮薫

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