気分も新しくなるお正月。思い切って買い換えたいものとは?【年末から年始のマナー】 / Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)
お正月は1年の始まり。大掃除をして家もすっきり片づいたことだし、この機会に新しいアイテムを迎えて、気分を新たにすがすがしく新年を迎えたいですよね。そこで、「現代礼法研究所」主宰の岩下宣子先生に、元旦に新調すると良いものについて解説してもらいました。
1年のスタートの日にはよく使う日用品の新調を
日常的に使っているものをお正月に新調すると、良い1年が過ごせると言われます。
確かに、身の回りの物が新しくなると、気持ちも引き締まりますよね。
お正月に新しくすると良いのは下記のようなものです。
・タオル
・肌着
・ハブラシ
・シーツ&枕カバー
・キッチンクロス
・財布
・スリッパ
・箸
箸で注意が必要なのは、お正月の三が日は、いつもの箸ではなく『祝い箸』『両口箸』と呼ばれる箸を使うこと。
祝い箸とは、よく「寿」の文字が書かれた箸袋に入って市販されているものです。
祝い箸の長さは八寸(約24センチ)で、箸の真ん中が太く、両側が細くなっており、柳の木で作られています。
なぜ祝い箸が八寸と決まっているかというと、「八」の漢字が末広がりで縁起がいいためだそうです。
日本や中国では「八」は幸運の数字でもあります。
「両端が細くなっているのは、片側は人間が食べるために使い、もう片方は神様が食べるために使うからです。昔の人は、神様がめし上がったものには特別な力が宿ると考えていました。このため、神様と同じ食事を味わうことによって、人間にも神様の力を分けていただけるというわけです」(岩下先生)
祝い箸は、大晦日に使う人の名前を箸袋に記入し、元旦から1月3日までは、自分で箸を洗って箸袋に戻しながら同じ箸を使い続けます。
反対側は神様がお使いになっているので、持ち替えて使ったりしないようにしてください。
また、ご利益が流れるので、反対側は洗わない方がいいともされています。
3日使い続けた後の祝い箸は、本来はしめ飾りなどと一緒に神社でお焚き上げをしてもらうものです。
それが難しいときは、取り分け箸などとしてしばらく使ってから、塩でお清めして処分しましょう。
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買い替えるタイミングが難しいものでも、新年という節目なら替えやすいはず。とくに、食べものを口に運ぶ箸は、命をつなぐ大切なものです。普段使いの箸も、この機会に質のいいものを新調し、大事に使っていきたいですね。
岩下宣子先生
教えてくれたのは…
▶岩下宣子先生
「現代礼法研究所」主宰。NPOマナー教育サポート協会理事・相談役。30歳からマナーの勉強を始め、全日本作法会の故・内田宗輝氏、小笠原流・故小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学ぶ。現在はマナーデザイナーとして、企業、学校、公共団体などで指導や研修、講演会を行う。『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(中経の文庫)、『相手のことを思いやるちょっとした心くばり』(三笠書房)など著書多数。近著に『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』(主婦の友社)。
文=高梨奈々