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借りたブランドバッグを質店に売り飛ばし、「盗まれた」と嘘をつくママ友。これって犯罪? 弁護士さんに聞きました

  • 2023年10月29日
  • レタスクラブニュース


少額のお金を借りて返さなかったり、なんでも人のものを欲しがったり…そんな「クレクレ」行為をする人、あなたの周りにもいませんか?

今回ご紹介する千夏さんの場合は、よかれと思って一度お茶代を貸してあげたことから、ママ友のクレクレ行為がエスカレート。身の回りのものを貸してとせびられるどころか、貸したバッグを勝手に質店に売り飛ばされていて……。そんな千夏さんの実体験を通して、このようなトラブルに巻き込まれた場合の対処法を、弁護士さんに伺いました。

トラブルに巻き込まれた千夏さんのエピソード



保育園探しをするママ友たちとの情報交換会に参加した千夏さん。たまたまその時に持ち合わせがなかったというママ友の桜木さんに、彼女の飲食費1800円を貸すことになりました。

後日、桜木さんとベビー用品店に出かけた時、このときも持ち合わせがないという桜木さんに、千夏さんは1000円くらいならとお金を貸しますが、前回のお金も返ってきていないことが少しひっかかっていました。



さらに桜木さんはちょくちょく千夏さんからものを借りていくようになりました。最初はボールペン程度のものだったのが、マニキュアや香水、花瓶など、だんだん遠慮がなくなっていきます。そしてついには千夏さんの大切にしているハイブランドのバッグを借りていくのでした。

千夏さんは月曜日にバッグを返してと念を押していましたが、その前の日曜日、夫婦で通りかかった質店で大切な自分のバッグが売られているのを見つけてしまいます。


バッグの傷と内側の汚れに見覚えがあり、店員に確認したところ売りにきた人物の外見も桜木さんと一致しました。このバッグを大切にしていたことを知っていた夫は、25万円の値札がついているそのバッグを買い戻してくれたのでした。

千夏さんは桜木さんを呼び出し、他のママ友にも同席してもらいました。桜木さんは「借りていたバッグは盗まれた」といって泣き落とししようとします。




桜木さんはその日、新しいブランドバッグを手にしていました。千夏さんのバッグを売り飛ばしたお金で、自分は新しいバッグを買ったのだと千夏さんは勘づきます。



千夏さんはそんな桜木さんに、質店で買い戻したバッグを見せて桜木さんの嘘を暴き、ママ友たちの前でお金の返済を要求するのでした……。

人から借りたバッグを勝手に質店に売り飛ばす、このようなトラブルは犯罪にあたるのでしょうか。またトラブルに備えて借用書などを作る場合はどうしたらいいでしょうか、弁護士法人プロテクトスタンスの金岡紗矢香弁護士にお話を伺いました。


人から借りたものを勝手に売り飛ばす、これって犯罪?




──このエピソードで桜木さんは千夏さんから借りたバッグを、本人には「ひったくりに盗まれた」と伝えて返さず、実際にはブランド買取のお店に売却していました。これは犯罪にあたりますか?

金岡紗矢香弁護士:
横領罪に該当します。横領とは、他人の財物を占有する者が、故意に財物を自分のものとして所有者でなければできないような処分をすることです。

今回は、桜木さんは千夏さんから借りたバッグ(他人の財物)を、質店で売却(所有者でなければできないはずの処分行為)していますので、横領罪に該当します。



──千夏さんが質店でバッグを見つけた時、店員は「借用書などの証拠があれば盗難にあたるので警察を呼んでお返しすることはできます」と話しています。バッグなどの身の回りの持ち物を貸し借りする場合、どのような借用書を作成すれば良いのでしょうか? 金銭の借用書と違う点を教えてください。

金岡紗矢香弁護士:
金銭の借用書とは違い、貸したものを特定する必要がありますので、形状やブランド名、品番等を詳しく記載しておくことになります。他にも下記の項目の記載が必要です。

・借主を特定できる情報(名前、住所)
・貸主を特定できる情報(名前、住所)
・持ち物を貸した日付け
・持ち物が特定できる情報(ブランド名、色形、品番等)
・持ち物の貸し借りしましたという文言
・返済期日
・連帯保証人
・返済が滞った場合の処置
・双方の署名捺印



──桜木さんの売ったバッグを、千夏さんは質店に25万円払って買い戻し、桜木さんにその25万円の支払を要求しました。桜木さんが質店にバッグを売って手に入れたお金は25万円より低いはずですが、仮にそれを理由に桜木さんがバッグの売価しか払わなかった場合、どのように対応したらいいでしょうか。

金岡紗矢香弁護士:
桜木さんが千夏さんのバッグを質店に売ったことによって、千夏さんは25万円支払ってそれを買い戻さなくてはならなかったわけですから、桜木さんのバッグ売却という行為と千夏さんの25万円の支払いという行為の間に因果関係があることを主張して、損害の賠償請求を行うことになります。


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千夏さんは無事に大切なバッグを手元に取り戻し、買い戻すためにつかった25万円も少しずつ返済してもらっています。しかし「安易に他人にモノを貸しちゃダメだな」という後悔の念も残りました。
千夏さんの言う通り、トラブルに巻き込まれないためには安易に高価なものを人に貸すべきではないでしょう。またどうしてもその必要に迫られた場合は、きちんと借用書を作成して万が一に備えたほうが安心ですね。

【取材協力弁護士】
金岡 紗矢香(かなおか さやか)/弁護士法人プロテクトスタンス
弁護士・行政書士。国内大手飲料メーカーの勤務を経て、弁護士資格を取得。浮気・不倫といった男女トラブルや離婚問題、セクハラ・パワハラなどの労働トラブル、相続手続きなど、さまざまな分野に精通し、女性からの法律相談に幅広く応じている。現在、2児の母親として子育てにも奮闘中(第一東京弁護士会所属)。

漫画・イラスト=crono、千夏著『寸借ママ友』より/取材・文=レタスユキ

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