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「これホントに実話!?」「怖いけど止まらない!」SNSで話題『メンヘラ製造機だった私が鼻にフォークを刺された話』作者インタビュー

  • 2023年8月15日
  • レタスクラブニュース


ことし7月末に発売されたばかりなのに、すさまじい勢いで話題を集めている漫画があります。それが「メンヘラ製造機だった私が鼻にフォークを刺された話」。衝撃の実話をもとにした、前田シェリーかりんこさん(以下かりんこさん)による作品です。

20代前半の頃は「メンヘラ製造機」という異名を持っていたかりんこさん。当時付き合っていた彼氏が激昂し、かりんこさんを突き飛ばしてケガを負わせた上に、握りしめたフォークをかりんこさんの顔に向けて…。

というのがこの漫画のテーマとなった事件です。彼がこのような凶行に走るまでの経緯や、被害を受けたかりんこさんのとった行動など、その後の気になるあらすじをご紹介しましょう。




「メンヘラ製造機だった私が鼻にフォークを刺された話」あらすじ




当時、弓道にハマっていたかりんこさん。
弓道の練習中に当時の彼氏からの連絡に気づかずにいたところ、彼からのメッセージが徐々にヒートアップしていました。仕方なく彼の部屋を訪問し、謝罪することに。



「弓道って嘘なんだろ」「他の男のところにでも行ってたんでしょ?」と突拍子もないことを言い始めた彼に「んなわけないじゃん、急に何?」と問い返したかりんこさんでしたが、そのことで彼の怒りに火をつけてしまいました。


そして彼は、かりんこさん目掛けてテレビのリモコンを投げつけてきたのです! 運よくかりんこさんには命中しませんでしたが、人に物を投げつけたうえに話し合いにもならない彼に、かりんこさんは愛想を尽かし始めました。

「冷静な態度で話し合いができないなら帰る」と彼の家をあとにしようとしたその時です。


なんと、かりんこさんは彼から突き飛ばされ、後頭部を強打! 流血してしまいました…。しかし次の瞬間、激しい痛みをこらえながら、かりんこさんは思わぬ行動に出ます。





身長180cmを超える大男である彼に対し、タックルで応戦するとともに、言いがかりをつけるような彼の態度を非難したのです。しかし事態はこの後最悪の方向に向かいます…。


彼は、握りしめたフォークをかりんこさんの顔に突き付けてきました。そしてなんと、かりんこさんの鼻をフォークで刺したのです…!







命からがら彼の家を脱出したかりんこさんは、マンションの隣の部屋に助けを求めます。


こうして、隣に住むカップルの部屋に、逃げ込むことができたのでした。隣人の二人が警察に通報してくれたおかげで難を逃れた…ように思えましたが、彼氏はすぐそこまで迫ってきていたのです…。


前田シェリーかりんこさんインタビュー

――彼氏に鼻にフォークを刺されて完治するまでに6ヶ月かかった、という壮絶な実体験エピソードですが、これをマンガにしようとしたきっかけや心境について教えてください。

かりんこさん
「きっかけは、Instagramで育児絵日記を投稿していた時のお絵描き仲間たちと、2,000人弱のフォロワーさん方が後押ししてくれたことが大きいですね。

その頃ちょうど、妊娠出産レポート的なエッセイ漫画を、アカウント内で初めて続きものとして投稿し始めていて(それまでは1投稿で完結する内容がメインでした)、その漫画の途中で『負傷歴が多く痛みにかなり強いであろう私をもってしても、出産の痛みの具体的なイメージができず、それが恐怖心につながっている』と説明をするワンシーンを描いたことがありました。

そこの『負傷歴』のコマの一つに鼻にフォークを刺されたことがあり…と小さく描き込んだのですが、コメント欄やDMで思っていたより多くの方から『詳しく知りたいんだけど、描いてよ!』とありがたいご反響をいただき描き始めた次第です。それまでは書くタイミングが見つからず、自分の持ちネタの中でも弱いネタとしてずっと閉じ込めていた状態でした」




――かなり過酷な状況のお話のはずなのですが、漫画のテンポのよさと主人公・かりんこさんの気丈さのおかげで、悲愴感なく読めました。作品を描くうえで、特に意識したことや気をつけたことはありますか?

かりんこさん
「そう言って頂けると嬉しくて火星まで飛べそうです! まさに、最も大事にしていたのはテンポ感でした。読んで下さる方々に簡素に的確に、そして徹底して真実を伝えたかったんです。なので、『描きたいだけ』という欲には一旦フタをして、描くのは『最低限の必要情報』だけにしようと努めました。プラスαとして、読者の方にも好きになってほしい登場人物に関しては、少しだけ付属情報も入れたりと調整をしつつ、結末まで中だるみをしないようスピード感を重視しました。

あと作中、『クソ男』や『バカ女』といった強い言葉や、激しい流血シーンも多くあります。実はここら辺は特に意識して描いた部分でした。極限状態のやり取りというか…アドレナリンが出まくって心臓にターボが付いて、憤怒に取り憑かれたようになったあの感じは、体験した者じゃないと分からないと思ったんです。血のこぼれ落ちる様子や流れ方や量も、かなりリアルに当時のままに描くようにしていました」




――この作品はSNS上で発信を始められたと思いますが、連載を開始した当初のお気持ちはどのようなものでしたか? また、ストーリーが進んでいくにつれてSNS上での反響も大きくなっていったと思いますが、その時の率直な感想をお教えください。

かりんこさん
「連載開始当初はとにかく『今フォローしてくれてる方々と、後押ししてくれた同じ漫画を描いてる人たちに楽しんでもらいたい』という気持ちだけでした。なので、この経験が実は珍しいものであり、おもしろいと多くの方に思っていただけるとは考えてもいませんでした。

当時、1日平均で2~3,000人ずつフォロワーが増え、多い日では6,000人もの方にフォローしていただいていたんですね。連日いいねとコメントとDMが止まらず、まさに『通知欄がぶっ壊れた』状態になったので、夫と二人で『鼻にフォーク刺された話ってそんなに強い話じゃないよね・・・?』とよく話していたくらいです(笑)。その反面、ものすごく嬉しくて、餅つくうさぎの絵のように家の中でスマホ片手によく飛び跳ねてました」






――SNSでは読者の方からどんな感想やコメントが寄せられましたか? 印象に残っているものがあれば教えてください。

かりんこさん
「1番は『これ実話ですか?』というものが多かったです(笑)。最初の頃は、このご質問をいただくたびに不思議で仕方なかったのですが、今ではさすがに『まぁ…珍しいよね、あはは』と答えられるくらいにはまれな経験だと自覚しています…(笑)。
あとは『鼻って今どうなってますか?』『後遺症ってありますか?』といったご質問も多く、話の展開に関わるので深くは言及しませんが『この話を描いてしまって大丈夫ですか? 相手に見つからないか不安です』といった優しすぎるお言葉も頻繁にいただきました。

なかには、過去にDV被害を受けた方や、モラハラ行為を経験した影響で人との付き合いが難しくなってしまったという方から、感想とともに相談や悩みをいただくことも多く、この話が与えた影響は『おもしろい』『痛そう』だけではないんだなぁと自分で自分のエッセイに感銘を受け、連載を描く上での多大な活力に繋がりました」





    *     *     *

目を覆いたくなるようなシーンや数多くの暴言に心がひるみそうになりますが、怒涛のような展開に読み進める手が止まらなくなる本作。DV行為を加えられても、あきらめることなくその場から脱出したかりんこさんと、彼女を助けた隣人たちの勇気ある行動が印象に残る物語です。

取材・文=山上由利子


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