惑星、流星、月、星団。2025年5月の夜空は楽しみが満載だ。双眼鏡や望遠鏡を持って外に出てみよう。5月の夜空の見どころを紹介する。
日没後、西の空に天体の「群れ」が現れる。三日月のすぐ下に、プレセペ星団(M44)の星たちが群がっているように見えるはずだ。よく見ると、赤みを帯びた星に気付くかもしれない。火星が飛び入り参加しているのだ。
プレセペ星団は地球から約577光年の位置にあり、1000以上の星で構成されている。一部の星は肉眼で確認できるが、きらびやかな星団を堪能するには、双眼鏡や望遠鏡を使うのがおすすめだ。
みずがめ座エータ(η)流星群は4月20日頃から5月21日頃まで活発になる。国立天文台によれば、5月6日12時頃に極大を迎え、日本での見頃は6日と7日のいずれも夜明け前になるという。
この流星群はハレー彗星(すいせい)が放出した塵でできており、1時間当たり約10個の流星を見ることができる。南半球では、さらに多くの流星を見られる可能性がある。
2025年の最も活発な流星群ではないかもしれないが、夜空に輝く尾(流星痕)を残す超高速の流星で知られる。数秒から長ければ数分にわたって輝く尾が見られる。
5月7日、土星は分点(春分や秋分となる点)に達する。これは約15年に一度しか起こらない現象だ。このとき、土星の赤道に真横から太陽の光が当たるため、土星の有名な環がほとんど見えなくなる。
驚くほど薄い土星の環を見ることができるめったにないチャンスだ。
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5月の満月は「フラワームーン」と呼ばれ、2025年は13日に見られる。年鑑「Farmer’s Almanac」によれば、満月はしばしば、その時期の自然現象を反映した名前で呼ばれる。北米では5月、春の花が咲き乱れている。
2025年4月の満月と同様、5月の満月も、平均的な満月よりわずかに小さく暗く見える「マイクロムーン」となる。マイクロムーンは、月が地球から特に遠ざかったときになる満月だ(「スーパームーン」の逆)。
土星を探している? ならば、5月23日の夜明け前、東の空にある下弦の月のすぐそばで見つかるはずだ。望遠鏡で観測すると、土星は5月7日に分点を過ぎたばかりなので、環はかなり薄く見えるだろう。
ただし、望遠鏡で土星と月を同時に見ることはできない。双眼鏡を使えば、同時に観測できるが、土星は十分に拡大されない可能性がある。
天気が良ければ、5月で最も天体観測に適した日だ。新月で、月明かりがないため、暗い星や銀河、星雲までよく見える。