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被災当日は寄せ鍋が正解。災害時の家族を助ける「食べつなぎ方」をチェック #知り続ける

  • 2023年3月7日
  • レタスクラブニュース


地震や災害を乗り切るために、抜かりなく備えておきたい「防災食」。
でも、たくさん買い込みすぎて賞味期限が切れてしまったり、普段食べ慣れないものだから被災時には役に立たなかったり...。本当に役に立つものを備えるのは難しいですよね。いざ被災したときにどう食べつないでいけばいいかも気になるところ。
長男が1歳のときに東日本大震災を経験し、防災士の資格も持つイラストレーター・アベナオミさんにお聞きしました。

「今どき防災食のリアル」今回は、アベさんが被災体験をもとに提案する「長く食べつなぐ方法」をご紹介します。

*  *  *

食べる順番を工夫して食の不安をクリア

いざ災害が起こったとき、重要になるのが食材の食べ方です。家にあるものを上手に食べつないでいけば、物流がストップしている間も食べ物の心配をすることなく、安心して家で過ごすことができるとアベさんはいいます。
「3〜4日たつ頃には、徐々に被災地に救援物資が届き始めます。その間をしのぐためには、まず日もちのしないなま物から食べ始め、冷凍食品を保冷剤代わりにしつつ消費するなど、食べる順番を工夫することが必要です。そうすれば食材をムダにせず、長く食べつなぐことができますよ」
気になる栄養バランスの偏りは、栄養補助食品でカバー。
「1〜2週間ほどして物流が復活しても、しばらくは生鮮食品が手に入りにくい状況が続きます。わが家では粉末のプロテインや青汁など、常温で長期保存できるものを常備。定期購入すれば、ストックを補充する手間も不要です」

食べつなぎ方アドバイス

■被災当日:生鮮食品で大胆に寄せ鍋を作る


まずは冷蔵庫の中にある、肉や魚などの傷みやすいものから食べ始めます。「一度に食べてしまうのはもったいないなどとは思わずに、とにかくなま物は初日に調理してしまいましょう。初日に栄養をしっかりとっておくことは、そのあとの被災生活を乗り切るためにもとても重要なこと。洗い物に使う水を節約するためにも、鍋1つで調理できる寄せ鍋がおすすめです」

▶︎おすすめの行動&準備
災害発生直後にお風呂に水をためよう
「飲料水は避難所などでもらえますが、食器洗いなどに使う生活用水は自分で確保しなければなりません。災害発生直後は水が出る可能性があるので、すぐにお風呂に水をためておくと安心です」。ただし、配管が破損している場合があるので、キッチンやトイレの水を流すのは避けて。


■2日目:冷凍食材を保冷剤として使いつつ消費する


「震災時はまだ寒かったこともあり、停電3日目でも冷凍室内の食材は凍っていました。ただし、保冷時間は気温などに左右されるので、食材が凍っているうちに少しずつ冷蔵室に移動。保冷剤として利用しながら自然解凍し、解凍できたものから加熱して食べるようにしましょう。便利なのは、お弁当用の冷凍食品。自然解凍で食べられるものなら、調理不要です」

▶︎おすすめの行動&準備
保冷剤にも飲料水にもなる氷を作っておく


冷凍可のドリンクボトルで氷を作っておけば、保冷剤代わりになるし、溶かせば飲料水にも。買い物時に保冷剤として使うなどし、定期的に中の水を交換しましょう。「飲料水の確保には、ウォーターサーバーもおすすめ。水を出す際に電力が不要なタイプなら、停電時でも使用できます」


■3日目以降:冷蔵庫の中が空になったら缶詰やレトルト食品を
「食欲が落ちてくる頃なので、缶詰やレトルト食品の中でもまずは食べやすいもの、例えば汁けのあるカレーや中華丼などから食べるのがおすすめです。ふだんから缶詰を買う際には、調理や味つけをしなくても食べられるものを。魚、肉、野菜、果物系と、バランスよくストックしておくと○」

▶︎おすすめの行動&準備
生の食材と日もちする食材をバランスよく持つ


「私にとって、3日以上日もちするものはすべて防災食。ハムやソーセージ、納豆にチーズ、果物や根菜類も防災食です。そういったものと生鮮食品をバランスよくストックしておけば、物流がストップしてしまったときでも対応できます」


■それ以上長引いたら:戻した乾物や非常食を食べる


「非常食は最後のとりでとなるもの。まずは高野豆腐を戻して煮物にしたり、春雨でスープを作るなど、乾物の活用を」。非常食として備えるのは、乾パンでなくてもOK。カップラーメンやクッキーなど、好きなものの中で日もちするものをストックしておきましょう。

▶︎おすすめの行動&準備
ご飯のお供は強い味方になるので常備
災害時は食事がお握りだけになることも。「そんなとき、ふりかけやそぼろなどのご飯のお供があれば、食べる楽しみが復活。食欲も湧いてきます。お菓子などのしこう品も心の安定剤になるので、『これがないと耐えられない!』というくらい好きなものは、しっかりストックを」

防災食関連で備えておきたいマストアイテム

■水


飲用+調理用だけでなく、生活用水も必要不可欠。ウォーターサーバーを導入すれば、定期的に水を届けてもらえるという利点も。

■カセットコンロ&カセットボンベ


お湯を沸かせるかどうかで、生活の質に雲泥の差が生まれます。バーベキューコンロや、1人分ならチーズフォンデュセットも可。

■消臭袋


災害時はゴミの収集がストップ。生ゴミも家で保管しなければならないため、消臭&防臭性の高いゴミ袋を準備しておきましょう。

経験者が強く伝える「食べ物以前の大事なこと」

災害に備えて食料を備えておくことは、もちろん大切です。しかし、それは家族の安全を確保したうえでのこと。ふだんから住んでいる地域の災害リスクを確認し、家の中にある危険物を取り除くなどの備えは忘れずに行なって。

■1:ハザードマップの確認
「ハザードマップを確認することは、とても大切なこと。自分が住んでいる家の付近ではどんな災害のリスクがあるかを確認し、避難が必要な場所なら、住居に被害がなくても速やかに避難しましょう」

■2:キッチンの片づけ
「写真は、2022年3月に起こった震度5強の地震直後のキッチンの様子。東日本大震災時の反省を生かして片づけをし、家電も固定したので、床に落ちたのはみかん1個のみ。家の中でも特にキッチンの片づけは大切」



■3:トイレの準備
「空腹は我慢できても、トイレは我慢できません。トイレの使用回数は、大人の場合、1日平均5回といわれているので、非常用トイレは1日で1人5個必要。最低3日分、できれば1週間分はストックを」

*  *  *

「3日以上日もちするものはすべて防災食」という考え方に納得。これならムダなくバランスよく食材のストックができそうです。みなさんの家の防災食も、今一度見直してみてはいかがでしょうか。

取材・文/恩田貴子 イラスト/アベナオミ 
 
【レタスクラブ編集部】

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