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愛猫の旅立ちを描いてTwitterで大反響、12.9万いいねを集めたマンガ『ポッケの旅支度』著者インタビュー

  • 2022年10月9日
  • レタスクラブニュース



猫や犬を飼うと毎日が楽しく豊かになります。しかし、ペットを飼っている以上、避けられないのが最期の『看取り』ですね。
愛猫の最期の瞬間を描いた漫画がTwitterで話題になりました。それが漫画家・イシデ電(@IshideDen)さんの『ポッケの旅支度』です。

ペットの看取りをありのままに描いたこの漫画は、Twitterに投稿されるや広く拡散され、12.9万の「いいね」を集めました。書籍化されるなど大きな反響を呼んだその内容と、著者のコメントをご紹介します。





「診ていただくのはこれで最後にします」
「”死んだ”と、素人でも判別できる方法を教えて下さい」
15歳を迎えた猫の『ポッケ』の衰弱が止まらず、体温計も反応しなくなった時、イシデ電さんは動物病院の医師にそう告げました。

イシデ電さんが『ポッケ』の治療をやめて自宅で看取る決心をしたのには理由があります。前に飼っていた猫『こぜ』に、一分一秒でも長く一緒にいたい、と病院の檻の中で点滴を続けたこと、治療費を稼ぐ仕事の間に『こぜ』が亡くなって最期を看取れなかったことを、ずっと後悔していたそうです。

そして、イシデ電さんは自宅に戻って『ポッケ』との最後の時間を過ごします。自力でトイレに行けなくなった『ポッケ』の世話をする様子、激しく痙攣するポッケを抱きしめて泣きながら声をかけ続けたこと、動かなくなったポッケの亡骸の写真を撮り、火葬屋の手配をする様子やその時の心境も、イシデ電さんは飾らない筆致で丁寧に綴っています。

病気の飼い猫をどう看取るか、自分ならその時どうするか、何ができるかを、深く考えさせられる作品でした。この40ページのマンガを投稿したツイートには、多くのリプライや引用リツイートが付いてます。
「泣いた」
「号泣しました」
「ペットを飼うすべての人に読んで欲しい」
などのコメントのほか、読者が自分のペットを看取った時の思い出も数多く寄せられています。


大きな反響を読んだこの作品の著者、イシデ電さんにお話を伺いました。

『ポッケの旅支度』著者・イシデ電さんに聞きました


──12.9万もの『いいね』が付きましたが、この大きな反響についてどう思われましたか?

「投稿してすぐの拡散の勢いには驚き喜び『いいぞいいぞ!』と昂揚しましたが、12.9万までいくともう現実感がなく、『そう……』という感じでした。あれが『ぽかーん』というものなのかもしれません」

──印象に残っている読者からのコメントがあれば教えて下さい。

「漫画のツイートには読者さんからの『看取りの思い出』のリプライがたくさん届いていて、悲痛が渦を巻いているような物凄いツリーが連なっています。誰かひとりのコメントが印象的というより、『みんなこんなに思いを押し殺してきて、こんなに吐き出す場を求めていたんだ』と圧倒されました」

──ペットの介護や闘病をこれから迎える飼い主さんへ、メッセージやアドバイスはありますか?

「特にありません。私よりも、飼い主さんのほうがペットのことをわかっているでしょうし、ペットもまた飼い主さんのことをよく知っているでしょう。看取りに正解があるとは思えませんが、もし『正解に近い答え』があるとしたら、私の漫画ではなく、飼い主さんとペット、ふたりで築いてきた関係性から導き出すもののほうが精度がぜんぜん高く、フィットするのではないでしょうか。あ、休養は大事にしてください。介護はペットとの共闘で、消耗戦ですから……」

──作中でも「生前から火葬屋を探しておくこと」を薦めていらっしゃいますが、ペットの死を看取ることについて、飼い主さんへのアドバイスはありますか?

「これも前のご質問と同じで、どういう看取り、弔いを選ぶかはひとそれぞれなので気が済むようにすればよいと思います。そう簡単に済むとは思いませんが……。些細なことですが、私が火葬をお願いした霊園では安置室にきれいな祭壇を用意してくださっていました。そこに飾る写真を用意していけばもうすこし格好がついたかなあとすこし思いました。本当に些細なことです」

──最後に、作品の読者へのメッセージをひとことお願いします。

「『ポッケの旅支度』の紹介文には『共感を呼んだ…』と書いてあることがしばしばあります。呼んでいません。共感はいらない。理解されなくていい、起こったことをそのままかいておこうとかきました。呼びこんだのは読者さん自身で、読者さんの経験や感性や人となりに、私の漫画と共鳴する部分があったのではないでしょうか。そうであったらすごくうれしいです」




文=レタスユキ

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