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モノが散乱、服の山の上で寝ていた…【元・超汚部屋住人】不運続きの平野ノラが突如バブったワケ【ラヴィー・ヒトミ対談】

  • 2022年4月28日
  • レタスクラブニュース


赤のボディコンに身を包み、携帯電話を提げた「バブリー芸人」として大ブレイクした平野ノラさん。最近は、少ないモノですっきりした部屋に暮らす片づけの達人として、自分の経験から生まれた「片付けのコツ」をブログなどで発信しています。

そんな平野ノラさんに、モデル・インタビュアー・通訳・占い師として活躍するラヴィー・ヒトミがインタビュー。芸人を目指したきっかけ、もがき続けた20代、やりたいことに突き進んだ30代についてうかがいました!

芸人を夢見るも挫折の日々…。バブル生活とはほど遠い模索続きの20代


ラヴィー「ノラさんは幼いころから人を笑わせることが好きで、みんなの盛り上げ役だったそうですが、ずっと芸人さんを目指していたんですか?」

ノラ「もともとはミュージカルスターになりたかったんです。中学1年生のときに見たミュージカル映画『アニー』に衝撃を受けて。高校卒業後はミュージカルの専門学校に行きたいなと思って授業を見学しに行ったんですけど、小さな女の子が演技も歌も踊りも完璧にこなしていたのを見て、『今からじゃ遅いんだな』と挫折して早々にあきらめました。その後はフリーターをしながら、自分の道を模索する毎日でした」

ラヴィー「そのころはまだ芸人さんになろうとは思っていなかったんですね」

ノラ「次にダンサーになろうと思ったんですけど、それも挫折して…。今度は何をしようかなと思っていたら、友人が立ち上げた劇団に客演として出演する機会に恵まれて。芝居もできないのに、アドリブばかりしていたら、それがめちゃくちゃウケたんですけど、『台本どおりにやって! キミの独り舞台じゃないんだよ!』ってすごく怒られちゃって。
このとき、『私は団体の中でやるのは向いてないんだな、自分で考えて何か演じればいいのかな』って気づいたんです。ウケたことも頭から離れなくて『ウケてもウケなくても誰にも迷惑をかけずに自分で責任を取ればいい。それって、もしかして芸人という職業なのかも!?』って初めて意識しました。23歳のときです」


ラヴィー「その後、28歳までつらい時代が続いていて…」

ノラ「芸人になろうと決めて、フリーターをしながら相方を探したり、ネタを作ったり、オーディションを受けたりして1人で頑張っていたんですけど、うまくいきませんでしたね。結局、絶望感に包まれながら、芸人を25歳であきらめたんです」

ラヴィー「ノラさんは、生年月日からみた気質としては、センサーがすごく働いている方。自分が『この道を行く!』と決めたらとことん進める人ですが、それを見つけるまで人の3倍から4倍もかかるんですよ」

ノラ「そのころ、バンドマンとしてメジャーデビューしたばかりの彼と一緒に住んでいたんですけど、彼と顔を合わせるのもつらかったですね。夢を叶えて輝いている彼に『お笑いのほうはどう?』と聞かれるから。自分が何に向いているかもわからなくなって、家で好きだった絵を描いてばかりいました」

風呂場で食事、曲がった眼鏡も気にせずかける! 涙を流しながら住んでいた汚部屋


ラヴィー「今でこそ片づけのコツをブログで情報発信されていますが、著書を拝見したら、そのころは汚部屋の住人だったとか。汚部屋とはどの程度の…?」

ノラ「荒れてましたねー。床にモノが散乱して足の踏み場はもちろんないし、布団なんか見えないから洋服の山の上で寝る、眼鏡を何回も踏んづけてましたけど、曲がった眼鏡で出かけるのも全く気にならない。テーブルもどこにあるかわからないから、お風呂でカレーを食べてましたね。湯船につかりながら、お風呂のふたにお皿をのせて。『コレ、大発明じゃん!』って思ってたんですよね。体はあったかいし、お皿も冷めないし(笑)」

ラヴィー「完全にまひしちゃってますね(笑)」

ノラ「終電を逃した友達に『汚いけど、うちに来れば』って言って、友達が先に私の部屋に入ったんですけど、『泥棒が入った!』って驚いてましたからね。『ホントに汚いね、よくこれで人呼べるね。メンタル強いわ~』って言われても平気でしたね」

ラヴィー「そのころはどんな毎日を送っていたんですか?」

ノラ「とにかくやりがいのある何かを見つけることに必死でしたね。色彩検定、水墨画、タイマッサージ、鍼灸、海外青年協力隊…、次々と違うものに目が向いて、集めたパンフレットやら資料やら教材やらでモノがどんどん増えていって。派遣社員や正社員のOLとして働いてはいたんですけど、何をやっても満たされない日々を過ごすうちに結局やめてしまいました。
一晩中、自己啓発本を読みあさっては、またモノが積み上がっていくという。昼夜も逆転していて『私は社会とつながっていないんだ、これからどうなっていくんだろう』と無意識のうちに涙があふれていたこともありました。たぶん、あれは病気の一歩手前だったと思います」



ラヴィー「そんなノラさんがどうやって片づけに目覚めたんですか?」

ノラ「28歳のある日、整理術が書かれた1冊の本に出合ったんです。読んでみたら衝撃でした。部屋と心の悩みは親密に繋がっている事に気付き、『使われてない放置されているモノはガラクタで、そのガラクタを捨てていくと、本当の自分が見えてくる』と書いてあって。『もしかしたら、私が住んでいるこの部屋のモノは全部ガラクタなのかも』と気づいたんですね。そのころの私は幸せになりたい一心で、できることはまずやってみようという心境だったので、少しずつ片づけを始めました」

部屋がきれいになるにつれ、心もクリアに。本当の自分がようやく見えてきた


ラヴィー「28歳で気づけたのはすごくよかったと思います。先ほどお話ししたように、ノラさんはやるべきことに気づくまでに人より時間がかかる気質なんですけど、きちんと見つけられたから、それからは自分の感じるまま、考えるまま実現していける流れになっています」

ノラ「片づけていくうち、教材とか資格試験の本とか趣味のモノとか、やりかけのものが次々と出てきたんですね。それを捨てていくうちに、どんどん自分の気持ちが軽くなって、見えてきました。
やりかけのものって家にあると、見るたびに『やらなきゃ。読まなきゃ。なんでできないんだろう』って自分が嫌になるんです。
でも、読んでいないから捨てられないし…と、どんどん気持ちが沈んでいくんですね。それを捨てたら、単にモノだけじゃなく、やりかけの思考も全部手放すことになって、本当に好きなものや本当にやりたいことが明確に見えてきました。好きじゃないものや大事じゃないものをたくさん抱え込んでいたことに気づいたです。昼夜逆転していた生活のリズムも変わって、朝はカーテン開けて、夜になったら閉めてと人間らしい毎日になりました」

ラヴィー「そのとき見えた『本当にやりたいこと』というのが芸人のお仕事?」

ノラ「はい。『私はやっぱり芸人になりたいんだ』という火種が消えていなかったことに気づきました。当時はテレビでもお笑い番組とか見られなかったんですよね、悔しくて。自分で自分の気持ちにふたをしていたんです」



ラヴィー「生年月日から見ていくと、ノラさんは29歳から苦しみから逃れる時期に入っています」

ノラ「まさにそうですね! 28歳でその本を読んで、29歳ごろにもう1度、芸人を目指そうと決めています。『部屋が汚いから片付けよう』ではなく、人生に行き詰まって、どうしたら自分らしく生きていけるんだろうと迷いに迷って、大事なことに気づかないまま汚部屋に住んで。ふとしたきっかけで片づけを始めたら、自分のやりたいことが見えてきたのがこのころですね。
『一度はあきらめているし、30歳も近いし…』と挑戦しない理由はいくらでもありましたけど、もう一歩踏み出す勇気を『片づけ』がくれました。

ラヴィー「こんな自分は何か違うとずっと感じていながら、まさかその原因が部屋にあるとは気づいてもいなかった?」

ノラ「そうですね。資格を取るとか、パワースポットに行くとか、幸運を呼ぶグッズを買うとか、外にばかり目が向いていましたが、大事なのは外ではなく内、結局自分を見つめ直すこと。すなわち部屋を片付ける事だったんですよね」

彼のプロポーズを断り、別れを決意して見つけたバブリーキャラ


ラヴィー「ノラさんは、31歳のときにまた転機が訪れています。すごく愛されていながら、別れを選ぶという年です」

ノラ「そのとき、ずっとお付き合いして一緒に住んでいた彼にプロポーズされたのですが、今度こそお笑いの道をめざそうとしていたときだったので、お断りをして思い切ってお別れしたんです。家を出て、全ての退路を断って1人暮らしを始めました。人生における初めての大きな断捨離でしたね。これまでの生き方も生きてきた場所も全て手放して、コメディスクールに入学しました」

ラヴィー「ノラさんは、32歳は『スタートの年』と出ていますよ」

ノラ「スクールを卒業してデビューした年ですね。最初はシスターとかヘルメットの女とかいろんなキャラをやっていたんですよ。少しづつテレビに出れるようになってきたキャラが“バブルな女”でした。このバブリーキャラで行こうと決めたのも、片づけがきっかけでした。
いまいちブレイクしきれなかったとき、部屋にいろんなキャラの衣装や小道具を全部部屋に出して整理したんです。そこで気付いたのは、腹が決まってなかったという事。ピン芸人としていろいろなキャラがあることは、ある意味正解だし、武器になっていたと思います。でも、武器が足かせになること、手放さないといけないものがあることに気付きました。
そこで、バブルと心中する覚悟を決め、保険だったキャラの衣装や小道具を全部捨てました。
捨てたら自然と覚悟ができました。そして36歳でブレイクすることができたんです!」



ラヴィー「片付けてスッキリとした部屋に住むようになったことで頭がクリアになり、やりたいことにしっかり突き進めるようになったんですね!」

バブリーキャラではじける笑顔が印象的なノラさん。
ブログでは片付いたお部屋で暮らしている様子が見られるのですがまさか元・汚部屋住人の方だったとは…! 「片づけ」をきっかけにいまの芸風を見つけ出すことができたんですね。




インタビュアー=ラヴィー・ヒトミ
編集協力=岡田知子(BLOOM)

※このインタビューは換気のよい部屋で撮影時以外マスクを着けて行ったものです


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