個人の体質によって、健康を維持するための食材は異なります。体質別のおすすめ冬食材を見ていきましょう。
個人の体質は、以下のように分類されます。
風邪をひきやすく疲れやすい人は、中医体質学では「気虚質」に分類されます。声が弱々しく、静けさを好む人が多いといわれています。
代謝が悪く、おなかに脂肪がたまりやすい人は、中医体質学では「痰湿質」に分類されます。汗をかきやすく、おでこが脂っぽいという特徴があり、性格は温和な人が多いといわれています。
また、「からだが重い」と感じる人も多いです。
落ち込みやすく、感傷的な性格をしている方は、中医体質学では「気鬱質」に分類されます。情緒不安定で緊張しやすく、ちょっとしたことにも驚いてしまう人が多いといわれています。
体質別におすすめの食材を、それぞれ紹介していきます。
消化機能を高める食材を選びましょう。栄養が豊富で、消化しやすいものを選ぶのがおすすめです。
とくに冬に旬を迎えるシイタケは、エネルギーの元になるビタミンB1や、消化を助ける食物繊維が豊富に含まれているので、風邪を引きやすい人に適した食材です。
さらにビタミンDになる「エルゴステロール」が豊富で、骨や歯を丈夫にします。
メタボタイプの人は、暴飲暴食や早食いを避ける食生活を意識しましょう。
おすすめ食材は長芋です。冬に旬を迎える長芋は食物繊維を多く含むみ、便秘予防の効果が。また、糖質の代謝を助けるビタミンB1も豊富に含まれているので、疲労回復にも効果があり、からだが重いと感じるときに食べるといいでしょう。
落ち込みタイプの方は、氷やアイスクリームといった冷たいものを避ける食生活を意識してください。からだを温める食材を意識的に摂るといいでしょう。
たとえば、鶏レバーの赤ワイン煮は冬の薬膳としておすすめのメニューです。鶏レバーはたんぱく質や鉄分・亜鉛・ビタミンAが豊富なので、血行をよくしてからだの冷えを防いでくれます。
食生活に気をつけていても、体調を崩してしまうこともありますよね。そんなときは、体質の根本改善を目指す漢方薬を服用することで、不調の改善にアプローチするのもいいでしょう。
それぞれの体調別に、備えておきたい漢方薬を紹介します。
・葛根湯(かっこんとう):風邪の初期などの頭痛、発熱、肩こりに用いられます。からだを温め、血流をよくしてくれます。
・大建中湯(だいけんちゅうとう):おなかを温めて腸を適度に刺激し、冷えや腹痛、膨満感を改善します。
・加味逍遙散(かみしょうようさん):肩がこり、不安やイライラなどの情緒不安定な方におすすめの漢方薬です。過剰な熱を冷ますことで自律神経を整えます。ホルモンバランスの変動に伴う月経不順や更年期障害にも用いられます。
普段から不調を感じやすい人は、自分の体質に合った食材を選んで食べることで、より健康な日々を過ごせるようになります。自分の体質を知り、それに合った食事を心がけてくださいね。
〈この記事を書いた人〉山形ゆかり●薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ。