病院に行くほどでもない体調不良や、急な不調には常備薬で対応しますよね。ただ、「私の家にはどんな常備薬が必要なの?」と思うこともあるでしょう。今回は、薬剤師の山形ゆかりさんに、常備薬の選び方や、買っておきたい常備薬を聞いてみました。
常備薬は各家庭で揃えるものが違います。常備薬を選ぶ際のポイントをご紹介します。
常備薬は、発症しやすい不調を網羅できるように選びます。
・頭痛
・胃痛
・発熱
・鼻炎
・下痢、便秘
このような症状に対応できる常備薬を家に置いておくと安心です。
また、季節や生活習慣に応じて以下のような常備薬も揃えておきましょう。
・花粉症
・乗り物酔い
・湿布
家族や自分のライフスタイルに合わせて購入してください。
常備薬は、家族構成に合わせて選ぶようにしましょう。たとえば、スポーツをする家族が多いなら湿布薬を多めに用意しておくのがおすすめです。
また、小さな子どもは大人と同じ常備薬が飲めなかったり、飲む量が違ったりすることもあるので注意してください。
妊娠中・授乳中も普段の常備薬が飲めないことが多いので、医師や薬剤師に相談するのがおすすめです。
ドラッグストアやスーパーで購入できる市販薬のなかから、薬剤師視点でおすすめの常備薬を解説します。
解熱鎮痛薬は、頭痛・発熱・生理痛・歯痛などに使えるので、常備しておきたい市販薬です。
解熱鎮痛薬に含まれている主な成分は、「アセトアミノフェン」と「イブプロフェン」という2つの成分です。子どもがいる家庭では、「アセトアミノフェン」が含まれた薬を常備しましょう。
「イブプロフェン」は痛みを抑える効果が強いぶん、胃への副作用が出やすいので空腹時を避けて服用してください。
咳や痰が続く場合は、鎮咳去痰薬がおすすめです。
咳に対しては、「デキストロメトルファン」や「コデインリン酸塩」という成分が含まれた市販薬を服用しましょう。
ただし、「コデインリン酸塩」は呼吸抑制などの危険性があるとして、12歳未満の小児への使用が禁忌となったため、子どもの服用は避けましょう。
痰が絡む場合は、「ブロムヘキシン」や「カルボシステイン」という成分がおすすめです。
花粉症や寒暖差アレルギーの症状が出やすい人は、鼻炎薬を常備しましょう。とくに、アレルギーに悩む方には「クロルフェニラミンマレイン酸塩」という成分がおすすめです。
鼻炎薬には、鎮咳去痰薬のように去痰作用を持つものもあるため、痰が絡まる方には去痰成分が含まれる鼻炎薬もいいでしょう。
ただし、鼻炎薬と鎮咳薬を併用する場合は、去痰作用を持つ成分が重複していないか確認してください。不安な人は、薬剤師や登録販売者に聞いてみましょう。
上記の常備薬の他にも、家族の生活習慣や季節に合わせて常備薬を購入しましょう。
たとえば、アウトドアが多い家庭なら「クロルヘキシジン塩酸塩」や「サリチル酸メチル」が含まれる虫刺され薬も常備しておくと安心です。
一般的に、常備薬は直射日光の当たる場所を避け、湿気の少ない涼しい場所に保存します。坐薬やシロップ剤のように冷蔵庫で保存するものもあるので、注意書きを確認してください。
子どもやペットがいる家庭では、手の届かない場所に保存することも大切です。
市販薬は、使用上の注意をよく読んでから使用しましょう。同じ常備薬を1か月程度飲んでも症状が軽減されない場合は、かかりつけ医師や薬剤師に相談してください。
不調を改善するだけではなく、不調の原因に働きかけて体質の根本改善を目指す漢方薬によって日々の健康を管理することも可能です。
漢方薬は医薬品として認められており、自然由来の治療薬として処方されています。
市販の漢方薬は薬局やドラックストアで購入することができるので、夜間や休日などの病院が閉まっている時間や、旅行先などで急な体調変化を起こした場合に役立つでしょう。
漢方薬は自然由来の成分でできており、一般的に西洋薬に比べて副作用が少ないといわれています。常備薬として、西洋薬だけではなく漢方薬も家に置いておくといいでしょう。
常備薬として漢方薬を購入する際には、以下のポイントを意識しましょう。
・風邪の諸症状に使える
・飲みすぎ、車酔いなどの生活習慣に対応する
・日常生活のけがに対応できる
・葛根湯(かっこんとう):風邪のひきはじめ、肩こりにおすすめ
・五苓散(ごれいさん):飲みすぎ、車酔い、むくみにおすすめ
・紫雲膏(しうんこう):やけどにおすすめ
このように、漢方薬で日常生活の不調を改善することもできます。
常備薬が家にあると、ちょっとした不調にすぐ対応できますし、安心感がありますよね。自分や家族の生活習慣に応じて、必要な常備薬を選んでみてください。
〈この記事を書いた人〉山形ゆかり●薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ。