だるさや疲れを感じると、仕事や家事に集中できずにモヤモヤする方も多いのではないでしょうか。東洋医学の考えでは、梅雨時期は過剰な湿気による体調不良が起こりやすい季節だとされています。そこで今回は、梅雨にだるくなりやすい原因や、だるさ解消におすすめの食材などについて解説します。
梅雨に重だるさや気分の落ち込みなどを感じる原因には、主に自律神経の乱れや、東洋医学の考えでいう「湿邪(しつじゃ)」の影響などが考えられます。
梅雨時期は低気圧が続くことにより、自律神経のなかでも副交感神経が優位に働く状態となります。そのため、からだが休息モードになってしまい、だるさを感じやすくなるのです。
雨が多く、湿度が高いことも気分が晴れない原因のひとつです。
東洋医学の考えでは、過剰な湿気を「湿邪」と呼びます。
湿邪は体内の水分を過剰に増やすことによって、だるさやむくみ、めまい、食欲不振などを引き起こすといわれています。
梅雨の不調解消には、体内の余分な水分を外へ出したり、胃腸を温めて元気にさせたりするような食材の摂取がおすすめです。
きゅうりやスイカ、ワカメなどの食材には、体内の水はけをよくしてくれる働きがあります。
きゅうりとワカメの酢のものをつくったり、デザートにスイカを選んだりすれば、ジメジメ暑い梅雨時期でもさっぱり食べられるでしょう。
冷たい食べものや飲みものを摂りすぎると、胃腸が弱ることで栄養がうまく吸収できなくなる可能性があります。そうなると、食材からエネルギーをつくれずに余計にだるくなることも。
蒸し暑い梅雨時期は冷たいものを欲しがちですが、なるべく常温のものや温かいものを選ぶようにしましょう。
ショウガやネギなどの香味野菜は、香りで胃腸の動きを活発にし、湿邪を外に出してくれる働きがあります。
胃腸のことを考えて、温かい味噌汁やスープに入れて食べるといいでしょう。
梅雨のだるさを解消したい方には、からだの水はけをよくしたり胃腸の働きをよくしたりする食材に加えて、根本からの体質改善を目指せる漢方薬もおすすめです。
梅雨のだるさ改善には、以下のような働きをもつ漢方薬を選びます。
・気圧や気温の変化で乱れた自律神経を整える
・体内の水分代謝を改善して余分な水分を排出する
・消化・吸収の働きをよくして必要なところに栄養を届ける
仕事で毎日忙しくて毎回の食事になかなか気を使えない方でも、漢方薬なら自身の症状や体質に合ったものを毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できるでしょう。
重だるさが改善すれば、仕事や家事も今より効率的に進むはずです。
ここでは、梅雨のだるさ対策におすすめの漢方薬を2つ紹介します。
・五苓散(ごれいさん):体内の水分のバランスを整え、からだにたまった余分な水分を排出する働きがあり、吐き気や嘔吐、頭痛、むくみに効果があります。
・防已黄耆湯(ぼういおうぎとう):胃腸の働きを高めて水分循環を改善する働きがあり、疲れやすく汗をかきやすい傾向がある方の、肥満やむくみに効果があります。
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*漢方薬は比較的安全だといわれていますが、きちんと合ったものでないと十分な効果を得られないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。どの漢方薬が適切か見極めるには、専門家のアドバイスに従いましょう。
文・監修/稲嶺千春(いなみね・ちはる)●薬剤師。製薬企業や調剤薬局に勤務する中で、根本治療の大切さを広めたいと考え、精度の高い漢方の情報発信を行う。