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Vol.8 噛むことの重要性

  • 2008年10月23日

 みなさん、こんにちは。北山陽一です。

 今回も、前回にひき続き僕の食事制限のお話です。僕は元々、胃腸が弱いという自覚がありました。ステージ上でもある種のプレッシャーに胃が悲鳴をあげることがけっこうあって、それを抑えながらどうステージをまっとうするかというのが長年のテーマだったんですが、食事に気をつけるようになって、この問題もクリアすることができました。

 個人的にいろいろと試行錯誤を重ねるなかで辿り着いた僕のブレイクスルーは、噛むことの重要性に気づいたことです。それ以前は、試しに数えてみたら2回か3回しか噛んでなくて、どんな食事でも5分で終わるっていう。でも、本を読むと、だいたいどんなものでも30回は噛んでから飲み込むべしと書いてあります。飲み物も、理想はだ液と混ぜ合わしてから飲むといいっていう。それでよく噛んで食べることを始めたわけですが、僕は極端な性格なので、とりあえず100噛むことにしたんです。すると、5分で済んでた食事が1時間半かかるようになり、しかもお腹がいっぱいになる前にアゴが疲れて食べたくなくなるっていう感じでした(笑)。

 でも、それを続けたら、1ヵ月でびっくりするくらいの効果が出たんです。まず胃については、僕はすぐ吐き気がしてたんですが、それがまったくなくなりました。加えて、体重が減ったんです。食べる量を減らしたわけじゃないですよ。それでも、こんなに変わるんだって自分でも驚くくらいお腹周りの肉がなくなった感じで、おそらくは腸にたまっていたようなものがよく噛むことで外に出ていったんだと思います。“これはすごい!”と思ってさらにいろいろ調べていくと、生き物は歯並びを見ると食べるべきものがわかる、という説にも行き当たりました。

人間は、門歯が2対、犬歯が1対、それに臼歯が5対だから、肉=1に対して野菜=2、穀類=5という割合がいいんだっていう。僕は個人的には、こういう理論的にモデリングが美しいものが好きなので、すごく納得しちゃうんですけど(笑)。

 それから、最近は満腹中枢は4種類あると言われているということも知りました。舌が感知できる味覚が4種類あるのにそれぞれ対応したメーターがあって、その4つ全部が満腹ラインをクリアしないと完全に満腹だとは思えないということらしいんです。だから、「デザートは別腹」みたいなことがあるのは、<甘い>の部分だけ足りないまま食事を進めていくとお腹はいっぱいな感じなんだけどもの足りなく感じるってことなんですよね。つまり、アンバランスな食事をしているとずっと満腹感が得られないから、もうOKになった部分にもさらに足していくことになります。逆に、自分の体の声に耳を傾けてバランスのとれた食事をしていけば、少ない量ですぐに満腹感が得られるわけです。

 さて、前回の初めにも書いた通り、食事制限をしていると言うと、たいてい「大変ですね」という風に言われますが、人間は誰でも何かのルールに縛られて生きてるわけで、そういう意味ではみんなそれぞれに大変なんですよね。特に、与えられたルールに縛られて消極的に生きているという感覚の人も少なくないように思います。僕もそういう部分はたくさんありますが、でもこの食事のことは、自分でルールを定めてやってることだから積極的に楽しめるんです。例えて言えば、決まったおこづかいを持って夜店で買い物をするような感覚です。

 自分内ルールを決めて、限られた枠のなかでどれだけ楽しむかっていう。それに、人間は良くも悪くも慣れていく動物なので、どんなに面倒なことでも慣れていくんです。食事制限だって最初は面倒だと思っていても慣れるし、その後には違う世界が見えてきます。問題は、その慣れるまでのトンネルを、いつかは抜けるものだと思って進めるかどうかという話で、そこには目的意識がないとなかなかむずかしいですよね。僕の場合は、自分の体をよりいい楽器として鳴らしたいという目標があるから、そこに辿り着くための戦略として食事を考えているだけで、決して我慢を重ねてるんじゃないんですよ。

 で、僕は経験的に食べるものが変わるだけで性格が変わると思っているし、食べ方が変わるだけで体の作りがずいぶん変わってくることも実感しています。実際、よく噛むと頭の中もすっきりするんですよね。だから、みなさんにも、ゴハンを食べるということについてちょっと考えるだけで、自分の体がどんどん変わっていく、自分の性格も変わっていくということを知ってほしいし、そのことがうれしいと感じてもらえれば、それは僕もうれしいですね。
次回も“食べる”ことについて、もう少し書いていきます。どうぞ、お楽しみに。


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