「このコンテンツは、FoE Japan発行の『green earth』と提携して情報をお送りしています。

Vol.9 「適応」の限界を超える被害~今年ヤマ場を迎える気候国際交渉!COP21@パリに向けて

  • 2015年7月16日

 地球の平均気温は今世紀末までに3℃以上上昇すると予想されています。気候変動の影響は、平均気温や海面の上昇、降水パターンの変化から森林火災の増大、海洋酸性化など多岐に渡っており、適応策への支援が求められています。その一方で、適応だけでは間に合わない被害が発生しており「適応の限界」が指摘されています。

 5年越しに続けられてきたポスト2020年の将来の気候変動国際枠組み交渉が12月パリで開かれる国連会合でクライマックスを迎えます。次期排出量削減目標づくりで他の主要国に出遅れた日本は6月ベルリンG7での発表に向けて政府内の検討を進めており、そのために5月頃迄に2030年の電源構成を決定しようとしています。これは、3.11以降4年間決着が着かなかった原子力の将来の役割を定量化して決めることを意味します。また危機に瀕している再生可能エネルギー推進も軌道に戻されなければなりません。FoEJapanは気候変動対策と脱原発が両立した野心的な国内目標と再生可能エネルギーへのシフトを求め、また国際交渉では途上国への支援、顕著化する損失や被害に対し日本の責任と貢献を求めて活動しています。

今世紀末までに今より3℃上昇!?

 気候変動は、化石燃料に基づくエネルギーや他の産業活動から排出されるCO2などの温室効果ガスが大気に蓄積されて引き起こされます。今のままでは今世紀末までに現状から3℃以上の地球平均気温の上昇が予想されているため、温室効果ガスの排出量を削減していくことが急務です。一方で、過去1世紀半にわたり排出されたガスの効果だけで産業革命前に比べ1.5℃前後の平均気温上昇は避けられません。このため、すでに起きている影響に適応する対策が必要になっています。

 気候変動の影響は、平均気温や海面の上昇、降水パターンの変化から森林火災の増大、海洋酸性化など多岐に渡ります。急激な寒暖の差や他の気象条件が変わるため、翌年の収穫が予想しづらく、渇水の次には洪水に見舞われるという具合です。またその変化は局所的で地域により異なります。

 適応策は、マングローブを植える、自然の防波堤であるサンゴ礁の保存で沿岸を守る、渇水に備えた地域の灌漑を改良する、より高温に耐える作物種へ移行するなど多岐に渡り、地域や国によってニーズが違います。こういった適応策への支援が求められる一方で、今、「適応の限界」を世界の科学者が指摘しています。

適応策だけでは間に合わない

 近年、連続して超大型の台風に見舞われるようになったフィリピンでは、2013年には6,000名以上の人命が失われました。米国の食糧生産の中核を担うカリフォルニア州では、4年以上にわたり歴史的な干ばつと水不足に見舞われており、科学者はこの傾向が、同州において長期間続くだろうと警告しています。1980年から現在までの約30年間で自然災害の数は倍増しており、その9割近くが気象条件により引き起こされるものだとされています。経済的な損失だけを見ても過去10年で大きく増大しています。

世界の自然災害と気象事象による災害の発生数【上】および損失額【下】比較
世界の自然災害と気象事象による災害の発生数【上】および損失額【下】比較
Source: 出典Muncheber Rockversicherungs-Gesellshaft,Geo Risks Research, NatCatSERVICE(2013.1時点)

 平均気温や海面の上昇、降水量の変化など長い時間をかけてゆっくりと起きてゆく影響には長期的な対策が必要とされます。同時に、すでに起きている被害に対する対応力の乏しい国への国際的な対応や支援の強化が必要です。このため2010年に設置された適応の国際体制に加え、2013年には適応の限界が認知され「損失・被害」国際メカニズムが設置されました。

 FoE Japanでは、アジアでの適応を超えた影響への対策の必要性を調査し、とりわけ影響に脆弱な層の人々へ実効的な支援が届くようになることを目指し、パリでのCOP21に向け各国政府および国際メカニズムに働きかけを行っています。(小野寺ゆうり)

国連気候変動枠組条約における適応と損失・被害の歩み
国連気候変動枠組条約における適応と損失・被害の歩み

(『green earth』vol.54 2015 springより抜粋)

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