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「このコンテンツは、FoE Japan発行の『green earth』と提携して情報をお送りしています。

Vol.9 「適応」の限界を超える被害~今年ヤマ場を迎える気候国際交渉!COP21@パリに向けて

  • 2015年7月16日

気候変動による被害の現状

<スリランカ>

スリランカの気候区分  スリランカでは、ここ20年ほどで気候の変化がみられるといいます。特に最近2~3年で、降水パターンが著しく変化し、乾燥ゾーンでは干ばつ、湿潤ゾーンでは豪雨が増えています。

 FoE Japanは2014年10月中旬、内陸北東部のポロンナルワ地方で気候変動影響に関して聞き取り調査を行いました。通常、この地域では10月から翌年3月までが雨季、3月から9月までが乾季とされていました。ところが、今年9月下旬に突然の豪雨があり、畑で乾燥させていたたまねぎがダメージを受け、売り物にならなくなってしまいました。また、その後は2週間ほど日照りが続き、村の水路は干上がってしまったのです。

 10月は米の作付けの時期ですが、ため池の水位が低く、農作を始められない。農民組織のリーダーや地域の農民の話では、このような変化は特にこの2、3年で顕著だと言います。収入が減り、貯金を切り崩しての生活。政府からはわずかな食料・飲料水の分配があるのみということでした。(吉田明子)

気候変化と開発を憂う地元の医師(スリランカ・シギリヤ)
気候変化と開発を憂う地元の医師
(スリランカ・シギリヤ)
水位の低下したため池(スリランカ・ミネリヤ)
水位の低下したため池(スリランカ・ミネリヤ)

<インドネシア>

浸水で使えなくなった家(インドネシア)
浸水で使えなくなった家(インドネシア)
 FoE Japanは2007年にジャワ島農村部、沿岸部において気候変動がどのように人々の生活に影響を与えているかを調査し、その後適応プロジェクトを始めました。農村地ではアグロフォレストリープロジェクトによる水源の保全と零細農家の収入安定化を促進し、沿岸部の漁村では、マングローブ保全プロジェクトにより沿岸部の浸食防止とエコツーリズムの導入による代替生計手段創出を支援してきました。しかし、この期間にインドネシアの気候変動影響はますます深刻化し、多くの地域・分野で被害を及ぼすようになりました。

 中部ジャワ州プカロンガン市のバンドゥンガン村では、2006年まで稲作やジャスミン畑として使われていた農地が、たった数年間の間に海水に浸かってしまいました。行政は代替生計手段として養殖業への転換を促進しますが、数年間収入源を失っていた元農家にとって、初期投資や継続的なメンテナンスコストの高い養殖業を始めることには躊躇いがあります。また農村コミュニティと漁村コミュニティでは働き方や考え方にも違いがあり、住民たちはこの急速な環境の変化に戸惑うばかりです。さらに、家屋や生活道路も浸水し、衛生環境の悪化が心配されています。(柳井真結子)

(『green earth』vol.54 2015 springより抜粋)

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