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韓国・済州道は朝鮮半島の南端の海洋に位置する面積1,848km2の島で、その豊かな自然景観から年間500万人が国内外から訪れるリゾート地です。 しかし、住民が使用するエネルギーの100%を大陸に依存し、その搬入・供給は海上船舶によって輸送しなければならないというエネルギー面での脆弱点を持っています。これに反して、産業の発達および道民の経済水準の向上により、エネルギー使用量は日に日に増加していて、このまま行けばエネルギー供給施設が限界に達することが予想されていました。 済州道はエネルギーを大量消費する製造業等の業種が少なく、観光が主なので運搬輸送部門と家庭部門のエネルギー消費割合が高くなっています。このような地域に、大型のエネルギー施設を設けるのではなく、周囲に無限に存在する風力と太陽等の自然エネルギーを利用することが、最も現実的で未来志向的な代案であることに気づきました。 1980年から風力発電の試験事業を開始しました。オーストラリアの牧場で使用されていた2kW級の小型風力発電機4基を道の予算で導入し、12世帯に電気を供給しました。さらに、81年には「風力エネルギー開発モデル道」の指定を政府に要請し、当時の動力資源省がこれを受け入れたことで国家の支援と関心が集まるようになりました。また、ドイツとの自然エネルギーに関する国家プロジェクトを推進していた韓国科学技術研究院の誘致に成功したことから、地域内に風力発電の基盤施設を持つことができました。 これらの風力発電に関する技術・制度的基盤を整備してきた経験と、同地域が最も風に恵まれているという地形的条件から、中央政府の支援の下、地域エネルギー開発事業の一環として「済州杏源風力発電モデル団地」が建設されました。
97年に国費18億ウォン(1ウォン=0.12円)、および道費3億ウォンを投入し、北済州郡杏源地域にデンマークから600kW級の風力発電機2基を設置、98年8月に韓国で初めての商業運転に成功しました。さらに、2003年には総事業費203億ウォンを投入して、15基の風力発電機を拡張。生産される電力を安定的に韓国電力公社へ供給販売するために、変電所までの24kmの風力専用線を開通させ、韓国最大規模の10MW容量の風力発電モデル団地となりました。 98年8月から2005年9月末までの生産・販売電力は、累計9万1,546MWh(表)になり、今後は電力需要全体の1%に当たる年間2万1,900MWhを、風力発電で供給することを目指しています。 ▼済州道の風力発電販売実績
モデル団地の成功は、風力発電の全国への拡大普及の基盤となりました。以前、韓国の電力専門会社は、風力発電の電力品質が低いことなどの技術的問題を憂慮していましたが、モデル団地が成功し、行政協力と技術支援が定着するに従って、民間企業が進出してきました。韓国南部発電が済洲道西部地域において民間では初めて6MWの風力発電団地を建設しました。2005年からは14MWの風力発電機を増設し、現在稼動運転中です。2011年には150MWに達し、済州道全電力供給の10%に達しようとしています。他にも国内企業からすでに3〜4件の発電事業許可申請が出ており、地方住民との間で用地協議が進んでいます。 また、2002年1月26日には「済洲国際自由都市特別法」が制定公布されました。済州道を2011年までに国際自由都市に育て上げ、道民が主体となって郷土文化と自然・資源を保全し、地域産業を育成、快適な生活環境を造成することを目的としています。風力発電事業を電気事業法に優先させるというこの特別法が適用されることで、今後の風力発電団地開発において最も課題となる用地を確保することが、より容易になりました。 さらに、電気事業法、農地法、山林法などの法令による個別の許認可事項を道知事が一括処理することで企業の便益を図っています。また、済州道が済州大学校と韓国エネルギー技術研究院に依頼した道全域における資源計測調査事業が完了し、立地条件のための基礎資料の提供が可能となるなど、諸般の事業便宜と経営収益が保障されることで、済州地域での民間投資が今後活発に進行することが考えられます。 今後、済州道は風力以外にも、太陽、地熱、バイオマス、廃棄物、海洋エネルギーなどを多岐に渡って開発しようとしています。エネルギー利用合理化事業、教育、広報事業、技術開発、人材養成などの事業もいっそう活性化させるつもりです。今後は既存の脆弱なエネルギー基盤を改善し、環境にやさしいエネルギーの安定供給基盤を早期に構築できるよう研究・開発を進めていくつもりです。 |