
「コミュニティ=地域、人と人とのつながり」+「事業として継続・発展を目指す」ことがコミュニティビジネス(CB)です。つまりCBとは、市民がボランティアではなく、利益をあげ、報酬を取っていくことが真に素晴らしい活動を維持継続、発展させていくものと考えるものです。
市民が地域の主役として期待されている代名詞なのです。CBは資格、法人格などを示すものではありません。「市民の、市民による、市民のためのビジネス」を実施するための手法や考え方です。
志を実践へと転換し、さらにその活動により生活を支えることによって本当の意味で人を豊かにします。CBは、これからのライフスタイルの一つとして広まっていくことでしょう。「楽しみながら働く」「地域で喜ばれることを仕事にする」がキーワードで、CBは自己満足度、経済自由度、社会貢献度、地域連携度の四つの要素によって成立しています(下図)。
この4点が重なるとCBは「楽しく+自立・継続して+地域で喜ばれ+地域の支え合いによって」成立するものと言えるでしょう。
地域課題解決型CB・・・
都市型でサービス系が多い。人口に比例したニーズがある。高齢化、保育所の待機児童など、地域の課題をCBによって解決しようというもの。介護、保育、レストラン、空き店舗活用(まちづくり)などが多い。
地域資源活用型CB・・・
郊外や田舎に多く見られ、自然や資源を活用して実施するCB。過疎地でも1人の使える資源や自然が豊かであり、地域の資源を活用した町おこしがキーワード。農業、地域資源活用、ものづくり、観光などの事例が多い。
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CBが注目され、CBの広まりとともに見えてきた成果や、期待されている理由は三つあります。
- 市民にとって
シニア、学生、主婦、サラリーマンなど、誰もがボランティアではない「創業」に関心を抱き、職住接近で「好きを仕事にしたい」市民が増えています。食べるために働くのではなく、本当の豊かさと充足感を得られる人生を求めているのです。そして地域の良さ、問題を議論して「わが町はこうありたい」と市民が真剣に考えるきっかけになっています。
- 行政にとって
地域が主役の社会が進められている中で「地域の良さを生かしたまちづくり」が期待されています。主役は市民、さらに一過性ではなく継続した事業をするCBを「公共サービスのパートナー」「市民が地域経済、雇用の担い手」として期待しているのです。
- 地域にとって
地域全体が地域課題をビジネス的に解決したり、または魅力ある地域の資源を生かし、そして市民プライドをもてるまちづくりをしたいと考えています(囲み)。そして金融機関(とくに信金・信組)も企業も大学もNPOも、みんなで連携して地域を活性化したいという声があがってきています。
このようにCBをキーワードとした新しい社会づくりが期待されているのです。

では市民が主体となって活動するCBにはどんな活動があるのでしょうか。全国各地でさまざまなビジネスモデルが出てきていますが、一例を紹介します。
- 福祉、保健、医療
高齢者福祉(介護サービス、グループホーム、配食サービス、介護予防)、障害者福祉(障害者介護、障害者の就業支援)、保育(保育施設、家庭内保育、ベビーシッター)、健康支援(医療サービス、メンタルケア)
- 青少年教育
青少年教育サポート(野外活動支援、フリースクール、学習障害児教育、カウンセリング)、生涯学習(民間教育塾の運営、地域人材による教育サービス)
- 環境
環境(空き缶・ペットボトルリサイクル、廃油再利用、リユース食器、ビオトープ、太陽光発電)、農業(有機農業、レンタル農園)、地域資源活用(河川浄化・緑化、ケナフ、深層水)、再生(リサイクルショップ、再生紙、生ゴミリサイクル、雨水リサイクル)
- まちづくり
商店街活性化(空き店舗活用、地域通貨、ボックスショップ、チャレンジショップ)、地域資源活用(特産物の販売、新産業・新商品の開発)、地域おこし(お祭り、地域ブランド化、地域ポータルサイト)
- 災害支援
安全対策(防犯対策、セキュリティ保護)、災害支援(地域の緊急時情報ネットワーク、災害マップ作り)
- 観光・交流
観光(グリーンツーリズム、観光資源活用)、交流(交流イベント、国際交流・外国語講座)
- 文化、芸術、スポーツ
文化事業(地域の文化資産活用、歴史教室、市民大学)、芸術(地域コンサート・イベント、陶芸教室、絵画教室、音楽療法)、スポーツ(地域スポーツクラブ、スポーツコミュニティ)
- サポート事業
生活サポート(家事代行業、便利屋、コミュニティレストラン・カフェ、IT学校)、地域サポート(専門家相談、人材バンク、地域のたまり場)

CBが広まってきた大きな成果の一つとして挙げられるのは、地域で横の連携がつくられていることです。市民もNPOも自治体も企業も金融機関も商店街も同じ地域で生活しながら、あまり手をつながなかった人たちが集まって、一緒に地域を考えて動き出す場が広がっています。
いろいろな分野、属性の人が集まり、協力し、最近では地域版中間支援機関(インターミディアリー)がつくられ、みんなで具体的な地域のCB支援を始めています。幅広い関係性を持っているのがCBの特徴といえるでしょう。だからこそ誰もが一人ぼっちではなく、自分のできることで参加ができるのです。
あなたも地域の主役として、CBをキーワードにして何かを始めてみませんか?「私の好きを仕事にしたい」——それがコミュニティビジネスの芽になるのです。
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