F1のライブ配信を支える裏側に潜入。テックとモータースポーツの意外な関係

  • 2025年4月8日
  • Gizmodo Japan

F1のライブ配信を支える裏側に潜入。テックとモータースポーツの意外な関係
Image: Lenovo

超豪速レーシングが繰り広げられるカースポーツ「F1(フォーミュラ 1)」。

先日、4月4日(金)から鈴鹿サーキットで開催された日本グランプリ。F1のグローバルパートナーであり、日本グランプリのスポンサーでもあるLenovo(レノボ)にご招待いただき、F1を見る貴重な機会をいただきました。

カメラが追いつかないくらいの車の速さや、会場に鳴り響くエンジン音、充満するタイヤの焼けた匂い、パドッククラブの華やかな世界はもちろん、そこには「生のF1」を世界中に届ける裏舞台がありました。

熱量を届けるF1のライブ配信

Image: Lenovo

F1は、各10チームにドライバー2人、そして100人ほどのエンジニアやメカニック、PRなどのスタッフがサーカス団のように世界各地のサーキットを回っていきます。

グローバルなスポーツであるがゆえ、180以上の国と地域から約7億5000万人のファンがレースやライブ配信を視聴しています。今回お伺いしたのはフリー走行(いわゆる練習走行)でしたが、世界中のファンが応援に来ていて、"F1ファンダム"の大きさを実感しました。

Photo: chisato kuroda フリー走行が始まる前の客席の様子

そんなF1の会場は、データが飛び交う「情報戦の最前線」。とはいえ、各チームの戦略データなどに限った話ではなく、ファンに提供されるデータも実はすごいんです。

F1の公式アプリ「Formula 1®」では、レース中のこんな細かいデータをリアルタイムで見ることが可能。

・ラップタイム(1周のタイム)

・ギャップタイム(1位とのタイム差)

・インターバル(前後とのタイム差)

・履いているタイヤの種類

・各ドライバーの走行位置

・ピットイン/アウトのタイミング etc

これらのライブ配信によって、ファンは世界中どこにいてもまるでドライバー席にいるような観戦が体験できるのです。

Image: F1/chisato kuroda 公式アプリ「Formula 1®」のドライバートラッカー

とくに注目したいのが「チームラジオ」。無線によるドライバーとチームのやりとりが聴けるので、レース真っ最中の緊張感のある会話や勝負どころでの戦略、ドライバーたちのキャラクターが見えたりと、なかなか面白い。このチームラジオからネットミームも生まれているんだとか。

シーズン中の過去レースの中継データも見ることができ、ファンの心をくすぐる工夫がたくさん詰まっています。

Image: F1/chisato kuroda チームラジオが実況のあいまに流れてきます

500TBものデータを支える裏舞台

世界中のファンへ届けられるF1のライブ配信。これを支えているのが、まさにF1の裏舞台であるETC(イベント・テクニカルセンター)です。

Photo: chisato kuroda 鈴鹿サーキットに設置されたETC

ETCは世界最大級の可搬型のテクノロジー施設。2セットで回しているものの、世界各地にあるサーキットへの移動と設置&撤収を繰り返しているため、スケジュール的にギリギリなこともあるんだとか。

Image: Lenovo ETC内の様子

まず、車に搭載される93台以上のカメラや最大150個のマイク、サーキットに設置された28台のUHDトラックカメラや、ガードレールなどに取り付けられた特殊カメラなどによって配信データが撮影されます。

そしてこれらの動画や計測されたすべてのデータがこのETCから、イギリス・ビギンヒルにある本部MTC(メディア・テクニカルセンター)に集められます。こちらはリモート処理やカメラ色補正などのシステムがETCから移管された施設。

Image: Lenovo イギリス・ビギンヒルにあるMTC

400台以上のモニターが設置されているMTCで素早い処理がされたのち、ドライバーの位置情報や測定されたタイムなど、すべてのデータが私たちの元にライブ配信される仕組みになっています。

1つのグランプリで、転送されるすべてのデータを合計すると500TBにもなるんだとか。たったの3日間のレースでこんなに大量のデータが生成されるなんて、F1の情報量の多さを物語っていますよね。

実際にサーキットでライブ配信を見ていると、やはり数秒の遅延は感じられました。それでも1000分の1秒を争うF1の世界で、このようなルートを経て届けられていることを考えると処理の速さに感動します。

Image: Lenovo MTC内の様子

そしてこれらのデータを動かしているのが、テクノロジーパートナーであるLenovoのノートPCやデスクトップ、モニター、タブレット、モトローラのスマートフォン。これらのIT機器がETCやMTCのスタッフだけでなく、経営層からトラックサイドのエンジニアまで600人以上のF1関係者をサポートしているそう。

世界中のさまざまな場所で使われるからこそ、IT機器に求められるのは安定性と耐久性。赤い丸ポチがアイコニックなLenovoのPC「ThinkPad」は過酷な環境下でのテストをパスしていて、熱や粉塵、運搬の際の衝撃に耐えられるようになっているんだとか。

Image: Lenovo MTCで使用されているLenovo製品

F1、「ただのカースポーツ」じゃなかった

F1は今後、さらに新しい顧客体験をつくり出すべく、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)の分野も模索していく予定。

Lenovoのインフラストラクチャー・ソリューションズ・グループ(ISG)アジアパシフィックプレジデントであるSumir Bhatia氏は取材のなかで以下のように述べていました。

F1はイノベーティブなスポーツ。テクノロジーも常に革新的なものにし続けていく必要がある。

Image: Lenovo

サーキットの中でも外でも最先端を走り続けるF1、「ただのカースポーツ」以上の魅力と価値をひしひしと感じています。

Source: Lenovo, FIA

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