今年の1月末、国際宇宙ステーション(ISS)へと打ち上げられた小型の医療ロボアームMIRA(Miniaturized In-vivo Robotic Assistant)。
地球から遠く離れた場所で、微重力空間で手術をしたら…をテストするのが目的です。
無事、ISSに到着したMIRAは、デモ手術を実施しました。メスをいれたのは、ISS滞在中の宇宙飛行士の腕…ではなくて、人間の皮膚にみたてた代替品でした。
…何を使用したでしょうか?
弾力のある皮膚の真皮に見立てられたのは、輪ゴムの束でした。
デモ手術が行われたのは2月10日の土曜日。地球にいる人間の外科医6人がMIRAを遠隔操作しての執刀となりました。
デモ手術は成功だったものの、課題も浮き彫りに。地球とISSとの距離は約400キロ。ロボットを操作する通信に0.85秒の遅れが生じました。
これがメッセージのやりとりなら、たかが0.85秒。しかし、手術という1分1秒が生死に関わる状況では大きなラグとなります。
MIRAのデモ手術を担当した外科医の1人、Michael Jobst医師は、ネタ元のCNNの取材にこうコメントしています。
「実際に目の前に患者がいるとして、もし出血がひどければ、私の仕事はただちに止血することです。血液量が低下していると認識してから0.8から0.85秒の遅れがあるというのは、私としては、手を動かす前に患者の前で『いーち、にーい』と数えているような感覚ですね。
手術の場において5秒は永遠です。1秒、0.5秒は非常に長い時間なのです。これは大きな課題になりますね」
今回はISSでの初めてのデモ手術。課題を見つけ、解決策を模索していってこそです。
一方で、地球とISSのデータやりとりによる行動の遅れは、ロボットが自動で動くことで解決できるかもしれません。
現時点では、地球にいる外科医による操作ですが、実はMIRAは自動運転が将来的に考えられています。地球にいるチームからの指示なしで動ければ、このラグ問題も乗り越えることができるはず。
人類が長期的に、より地球から遠い宇宙空間に滞在するならば、手術するシーンも出てくる可能性は確かにでてきますよね。
Source: CNN