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土星の衛星には氷の下に海があるかも

  • 2024年2月15日
  • Gizmodo Japan

土星の衛星には氷の下に海があるかも
Image: NASA/JPL/Space Science Institute|探査機カッシーニが捉えた土星の衛星「ミマス」

土星の近くを公転する風変わりな小衛星「ミマス」。たくさんのクレーターがある地表の下に海が隠れている可能性が明らかになりました。

デス・スターのような見た目の衛星「ミマス」

半径が198kmに満たないミマスは完全な球形となるにはあまりに小さく、その氷の殻は天体が衝突してできた大量の大きなクレーターに覆われています。

ミマスの直径3分の1に及ぶ衝突クレーター「ハーシェル」が目立つ外見は『スター・ウォーズ』に出てくる帝国の巨大宇宙要塞にそっくり。そんなわけで、「デス・スター」というあだ名がついています。

ミマスはクレーターだらけなので地下海を探すには極めて可能性の低い場所だと思われていましたが、その軌道運動の解析によって氷の殻から20〜30kmの深さに海があると判明したのです。

カッシーニの観測データを解析

この発見の詳細を説明した論文は、先週の科学ジャーナル『ネイチャー』に掲載されています。最新研究に携わった科学者たちは、2004年から2017年まで土星を周回していた土星探査機「カッシーニ」からのデータを活用し、ミマスの軌道のかすかな変化に注目。土星を周回する際の運動と回転を根拠に、そのデータは最近形成されて今もなお進化を続けている海をミマスが有すると示唆しています。

この海は約500〜1500万年前に出現したと推定されました。比較すると土星の衛星「エンケラドゥス」の内部海の形成は約10億年前、木星の衛星「エウロパ」の海は約40億年近く前から存在しています。

液体の海をもつ氷衛星たち

これでミマスはエンケラドゥスとエウロパだけでなく土星の衛星「タイタン」と木星の「ガニメデ」と共に、内部海を持つ太陽系の氷衛星のリストに加わりました。しかし宇宙にはこのような衛星がもっと多く存在する可能性があります。

主に氷で構成されている衛星は潮汐力によって加熱され、内部の氷が溶けます。ここに挙げた衛星たちは太陽系内の生命が存在する天体の最有力候補で、液体の水は地球の生命の必須条件となっています。

比較的新しい地下海だからこそ、得られる知見

「最近形成された液体の水の海が存在することで、ミマスは生命の起源を調べている研究者たちの研究対象の主要候補になります」と、論文の共著者でロンドン大学クイーン・メアリー校にある物理とケミカルサイエンス研究所天文学ユニットの研究者Nick Cooper氏は声明にてコメント。

今回の研究のシミュレーションによれば、ミマスにある海が現在の深さに達したのは200〜300万年前とごく最近にあたるそう。そのタイムスパンではまだ生命が生じていなかった可能性があるかもしれず、生命居住可能な環境や海形成の初期段階を垣間見る滅多にない機会となるかもしれません。

氷衛星と生命の居住可能性

火星は地球と似ている点を多く持つため、地球外の居住可能性を探るうえではホットスポットかもしれませんが、地球外生命体の探索のこととなると、注目されているのは太陽系の氷衛星たちです。

幸いにもJUICEミッションが生命居住可能な環境の手掛かりを探すべく、木星の氷衛星の研究へと向かっています。カッシーニが土星の大気圏に突入して以来、土星とその衛星のエンケラドゥスに探査機を送る計画はあるものの、それらにゴーサインが出るのはしばらく先になりそうです。

Source: Nature, Queen Mary University of London,

木星の衛星エウロパには水が存在、生命体発見への期待が高まる ウェッブ宇宙望遠鏡の観測で、木星の衛星エウロパに二酸化炭素の存在を示す証拠データを入手。水と二酸化炭素の存在から生命体発見の期待が高まる。 https://www.gizmodo.jp/2023/10/carbon-dioxide-on-europa.html

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