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惑星の“輪っか”は何モノかに支えられているらしい。その正体とは?

  • 2024年2月11日
  • Gizmodo Japan

惑星の“輪っか”は何モノかに支えられているらしい。その正体とは?
小惑星カリクロとふたつのリングのイメージ図。(Image: NASA, ESA, CSA, Leah Hustak (STScI))

見えぬけれどもあるんだよ。多分。

土星と天王星の間に位置する小惑星、カリクロ。土星のようなリングを持っていることは知られてたんですが、その環の存在を支える、謎の衛星がいるらしいことが裏付けられました。

カリクロは直径約160マイル(257.5km)で、「ケンタウルス族」と呼ばれる小惑星のひとつです。ケンタウルス族とは木星と海王星、天王星の間に軌道を持つ小天体の総称で、カリクロはその中でも一番大きな天体です。カリクロの周りには2本のリングがあることが、2013年のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡での観測でわかっていました。

その2本のリングに関する発見について、最新のThe Planetary Science Journalに掲載された論文が詳しく報告しています。論文によれば、2本のリングをリングたらしめているのは、カリクロの衛星かもしれないんです。

「惑星の環は時間とともに自然に拡散していくものです」この論文の主著者でPlanetary Science Institute(惑星科学研究所)の天文学者、Amanda Sickafoose氏はプレスリリースで言っています。

カリクロには2本の細い環があり、その幅は数kmほどです。この環がこれほど細くあり続けるためには、そこに物質を閉じ込めて、拡散を防ぐようなメカニズムがあるはずです。

土星探査機・カッシーニが撮影した、土星のFリングを支える羊飼い衛星のプロメテウスとパンドラ。(Image: NASA/JPL/Space Science Institute)

Sickafoose氏の研究チームは、衛星がカリクロの環を維持する様子をモデル化すべく、環を構成する無数の粒子の動きをシミュレーションしました。その結果、カリクロの周りを公転する衛星は半径約3.73マイル(6km)と推定されました。

このように惑星の環をキープしている衛星は「羊飼い衛星」と呼ばれ、たとえば土星の環のひとつもそんな衛星に支えられています。たしかに今までもカリクロの環には羊飼い衛星が作用しているのではと指摘されてはいて、Sickafoose氏らのシミュレーションがその仮説を裏付けた形です。

研究チームはまたカリクロ本体と環の距離について、天体同士が接近できる限界の距離「ロシュ限界」ぎりぎり(超えはしないけど)であろうと推定しています。その限界以上に近づくと、リングを構成する物質は重力で衛星に引き込まれてしまうんです。

Sickafoose氏は以下のように話しています。

惑星の環に関してはかなり研究されていますが、小天体の周りのリング形成・進化のメカニズムに関しては、よく理解されていません。

我々は、小天体の周りに細い環を存在させうる可能性のひとつは、衛星の力でその環を形成していることだと示したのです。

カリクロに本当に衛星が存在するのかどうかは今後の観測でわかるかもしれませんが、現在稼働している望遠鏡では、直接観測はできません。なのでカリクロの環の謎を完全に解くには、間接的な観測に頼るか、またはまったく新しいミッションを打ち上げるか、ということになりそうです。

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