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近視+老眼もこれ1本。人類の目に「オートフォーカス」を付与する、未来のメガネ

  • 2024年2月7日
  • Gizmodo Japan

近視+老眼もこれ1本。人類の目に「オートフォーカス」を付与する、未来のメガネ
Photo: 小暮ひさのり

見える! 近くも遠くも見えるぞ!

認めたくないものですが、最近視力の衰えを感じています。当然メガネで矯正はしているんですけど、スマホは顔から遠ざけないと見えないし、雑誌や新聞も遠くに構えて読んでいます。

ひょっとして老眼?

いやいや、40代も半ばになったけど、まだ早い。でも、本当に困っていたので、CESでも展示されていた、オートフォーカスでピントが合うという未来的なアイウェア「ViXion01」を借りて試してみました。

最初に言っておきますが、“完全な視界”はまだ遠くに見えます。

でも、“クリアな視界”は確かに得られます。

そして、「ピントを自動で合わせる」という人間の身体の精密な機能を、身体の外からアジャストする姿に、テクノロジーはどう人を助けていくべきなのか? を改めて考えさせました。

これ、未来へ続くすごく大事なプロダクトな気がするんだよね。

■ViXion01

Photo: 小暮ひさのり

これは何?:視力を「オートフォーカス」で補うアイウェア

価格:9万9000円

好きなところ:手元だって遠くだってこれだけでクッキリ見える

残念なところ:まるで双眼鏡を覗いているかのような視野の狭さ

メガネを使い分けなくてもあらゆる距離でピントが合うしくみ

Photo: 小暮ひさのり

まず、このアイウェアがピントを合わせるしくみを説明しますね。

眉間に備わっている距離センサーで距離を測定。距離に応じてレンズ形状を変化させてピントを調節しています。ピントが合う距離は5cm〜無限。

グラスの奥にある小さな円がレンズで、装着者はこの中を覗き込むことになります。

このレンズは左右に動かせるので、左右の瞳の中央に来るように瞳孔間距離を手動で合わせます。また、最初だけダイヤルでピントを合わせるといった初期設定が必要でした。

本当に近くも遠くも見える

Photo: 小暮ひさのり

装着してみると…近くから遠くを見る。逆に遠くから近くを見るともに高速にピントが合います。これまでメガネを外さないと見えなかった手元がバッチリ見えつつ、そのままで部屋の隅に落ちていたペンだってしっかり見えるのです。何だこれ…!

この「ピントの合い方」を文字で伝えるのは難しいのですが、イメージをお伝えしますと…

Photo: 小暮ひさのり

この距離でもスケールのメモリが読めるし…。

Photo: 小暮ひさのり

手を伸ばしたこの距離でもスケールのメモリが読めるんです。

何を当たり前な? とか思わないでくださいね。見えないんですよ、近視+老眼だと!(認めます、老眼です僕は)

こうした、物体を移動させた時でもオートフォーカスの速度は速く、フォーカス合わせのラグはほぼ感じません。

ワイヤーネットのようなアミアミを見ると、ちょっとフォーカスが迷うことがありました(カメラのレンズのフォーカス合わせのようにピントが合っていく感じでワクワクしましたけど)。

日常的に使える仕様

Photo: 小暮ひさのり

そして思っていた以上に軽いデバイスでした。

折りたたむとサングラスサイズですし、世の中のARグラスよりも遥かに軽く(重量55g)、テンプル部を開くと自動でONになるという使い勝手のよさもいいですね。

無論、レンズは電気制御なので、充電は必要です(連続使用時間は最大10時間ほどとのこと)。

でも、この会社最初のオートフォーカスプロダクトだというのに、電気で動いていることを感じさせないくらい「日常」で使うことが考慮されたデザインになっているのがすごいなって。

課題は「双眼鏡を覗いているような見え方」

Photo: 小暮ひさのり

これまでViXion01の新しい「オートフォーカスで視覚が整う体験」を紹介してきましたが、いいことばかりではなくデメリットもあります。結構クリティカルなやつも。

まず、視野は本当に狭くなります。

丸いパインアメサイズの穴を覗き込むようなカタチになるので、視野の中央しかクッキリ見えません。これは思っていたよりも遥かに狭く、まるで双眼鏡を覗くような感覚に驚きました。

装着時の「視界」をイメージで再現しますと…

Photo: 小暮ひさのり

視野には常に黒い◯のケラレが見えて、その中央だけが丸くピントが合い、他はぼやけている状態。

矯正がかかっていない領域の方が広くて、僕のような強い近視だと、顔をまっすぐに向けたまま手元をチラ見するといったことは不可能で、顔ごと見たい方向を向く必要があります。

また、極端に顔を近づけると、自然とより目になり、左右のレンズの◯ケラレがより目立ちますね。ここもストレスです。

この視野が限定されるのは、大きな課題。複数の画面を見比べたりといったマルチタスキングでは足かせとなってしまします。

一方で、完全なデメリットなのかというとそうでもなく、「見るぞという意志を向けている方向しかピントが合わない」状態は、集中力がギュンっとぶち上がります。

テキストやコンテンツに集中したいとき、思うように原稿が進まないときなども、アリ寄りのアリかも。

「自分でフィッティング」もやや手間

Photo: 小暮ひさのり

瞳の位置に合うようにレンズ位置を調整したり、鼻あての高さやテンプルの確度を調整したり…。と、メガネ屋さんだと店員さんにある程度任せられる調整を、自分でやらないといけません。

特に僕は左右の耳の高さがちょっとだけ違うので、かなり調整に手間取りました。この調整を店舗でやってくれるようになったら、もっとステキかも。

メガネのテクノロジー的進化、その第一歩なのかも

Photo: 小暮ひさのり

興味心から試させてもらったViXion01。

視界がオートフォーカス化されるこの体験は本当にユニークでした。現状は視野の狭さもあって、おそらくメガネの代わりに日常生活を快適に送れるものではありません。僕もちょっと購入には踏み切れません。

でも、距離を測ってピントを合わせるという、人間の身体の精密な機能。それこそ、目をいじらないとできないことを、身体の外で実現しようとする試みは、恐ろしさすら感じます…。同時に、医療からガジェットへと、ハンディキャップ解決の選択肢の広がりも感じられるんですよね。

もしかしたらこのプロダクトが、将来的にフォーカス自在な「メガネ2.0」へつながる可能性もあるのでは?とすら思えるのです。だってその方が絶対に便利だもん。

そんなメガネの進化の第一歩。名前は「ViXion01」。

(限定的なれど)視界をオートフォーカス化できるアイウェアです。

Source: ViXion株式会社

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