ちょっと遠出してキャンプやハイキング、身近な自然でバーベキューやピクニック……そんなアウトドアの時間をいっそう楽しくしてくれるのが、機能的で素敵なアイテムたち。でも数多く発売されているアウトドアグッズの中からどれを選べばいいのか迷ってしまう。そこで外遊びの達人である、アウトドアブランドの社員に、おすすめを聞いてみよう。
連載第31回は、女性ハイカー目線の“あったらいいな”をカタチにしたアウトドアアイテムを手がける「Okara / ai nitta」から、ブランドディレクターでモデルの新田あいさんが登場。ホームマウンテンの神戸・六甲山をはじめ、各地で山登りを楽しむ新田さんが愛用するギアとは?
ゴビチェルシー/Vivobarefoot
https://vivobarefoot.co.jp/products/gobi-chelsea-womens
「薄くて幅広いソールが特徴で、足の本来の力を引き出してくれるビボベアフットの靴。最初は、足の筋肉が少しびっくりしましたが、慣れてくると本当に心地いいんです。商品は登山モデルだけじゃなくライフスタイルモデルもすごく充実していて、いまではビボしか履いていないっていうくらい。
最近は、会社員の方にも大人気みたいです。山登りのときは、ソールが薄いぶん、岩や木の幹を感じられて、足さばきも丁寧になりました。ブーツ型のゴビチェルシーは、普段使いしていますが、ちょっとした低山なら全然問題なく登れます」
サイレン ブラキャミ/icebreaker
https://www.goldwin.co.jp/ap/item/i/m/IUW22370
「(素材の)メリノウール、ラブです。山登りをはじめたころ、メリノウールがいいと聞いて試してみると、着心地がいいし、長く着ていても匂いにくくて、大のお気に入りになりました。登山やスキーへ出かけるとき、私は1週間くらいだったら1枚をずっと着続けますよ。荷物も少なくてすむし、帰宅してからの片づけもとてもラク。アウトドアだけだともったいないと思うようになって、日常でもブラカップがついたブラキャミやタンクトップを愛用しています」
ミッテン/Okara
https://okara-ainitta.jp/?pid=175259036
「ミッテンとは、スウェーデン語で真んなかという意味で、大きすぎず小さすぎず30リットルの中型バックパック。荷物多めになりがちな冬の日帰りや夏山の小屋泊など、いろんなシチュエーションで使いやすいです。製作のうえで工夫した点は、まず荷物を整理整頓しやすいように、フロントに大容量のメッシュポケットをつけて、背面にも複数の小さなポケットをつけました。
デザインは、カッコよくなりすぎず、少しころんとした女性らしいシルエットに。私が好きなロールトップのかたちに加えて、UL(ウルトラライト)製品のなかでは比較的しっかりした生地(エコパックEPX200)を使用しているのでパッキングもしやすくなっています。こだわりを詰め込み、フィールドテストも重ねて完成させました」
レクタン/Okara
https://store.yamap.com/products/okara-rektan-dcf-unisex-24ss
「シンプルなかたちのポーチです。軽くて防水性も高いUL素材のDCFと、撥水加工をしたナイロンの2タイプをつくりました。私は、山で泊まるときには、ひとつのポーチにエチケット用品や化粧水、メイク道具を、もうひとつにカメラやヘッドライトなどのガジェット類を入れています。『サイズ感が使いやすい』と言ってくださる女性の方が多くて、とてもうれしいです」
「コンパクトで持ち運びしやすく、撮りたいときにスッと取り出せるところがお気に入りです。あと、富士フイルムの色味がとても好きです。山では、一緒に行った子の写真を撮ったり、アイテムのフィールドテストのときは三脚を立てて自分が使っている様子を撮影したり。なので、仕事道具でもありますね。直近だと、一時預かりをしていた保護犬がかわいすぎて、撮りまくっていました(笑)」
ヴィアーレ/OMBRAZ
https://ombraz.jp/products/viale-ombraz-armless-sunglasses?variant=44990367826203
「見てのとおり、テンプルがなくて、ひもでかけるタイプのサングラス。私は鼻が低いので少し重さのあるサングラスだとすぐに下がってきちゃうんですが、これだとずり落ちることがめったにないんです。これは画期的だなと、感動。それと、使わないときにはひもを首にかけておけば、(しまった場所がわからず)“メガネ、メガネ”となる問題が解消されます。ちなみに私は、ヴィアーレの小さいサイズを使っています」
ミラクルすぱいす ふ〜塩/KIYORAきくち
https://www.kiyoraselect.com/items/47051971
「ふ〜塩は家でも使っていますし、アウトドアのごはんにちょっと加えるだけでグッとおいしくなるのでおすすめ。とはいえ、私は山でゆっくりしたいタイプで、あまりいろいろな調理はしません。最近では、簡単につくれて、すごくおいしいドライフードがいろいろありますし。たとえば、シェフによる山ごはんブランドの『マウンテン グルメ ラボ』は、水を入れて火にかけるだけでレストランのようなカレーやシチューなどが楽しめます。こちらもおすすめです」
ドライ明太子/やまや
https://www.yamaya.com/products/dry-mentaiko/
塩だけでつくる熟成ビーフジャーキー/NICKJERKY
https://shop.jerky.jp/?pid=165693610
「山でよく食べているおつまみをご紹介。まずは、ドライ明太子。山小屋やテントに泊まるときに、仲間とお酒を飲みながらちびちび。ちょっとあぶって食べるとすごくおいしいんです。
もうひとつが、私が暮らしている神戸発で推しているビーフジャーキー。肉と食塩だけでつくられているシンプルなジャーキーで肉肉しい味わいが好き。山で不足しがちなタンパク質もしっかりとれます。ともに酒飲みのおつまみという感じですが、私はビールひと缶で十分なタイプで、ちびちび食べて、ちびちび飲んでいます」
「以前、北アルプス・立山の五色ヶ原山荘で3シーズン働いたことがあって、そのときに見た朝日がとても印象的。暗いうちからお客さんの朝ごはんをひととおり準備して、そのあと、よくコーヒーを片手に朝の景色を眺めていました。その時間が、もう本当に至福の時間というか、大好きでした。
眺めているとだんだん朝焼けしてきて、太陽がのぼってくる。長い期間働いていると、朝日ののぼる位置が変わってくるんですね。その位置を見て、オーナーが『ああ、もう秋が来るね』って。昔ながらの山小屋で、登山者も少ない山域なので、とても静かな場所でした。いま思い出しても、特別な時間だったなって思います」
――そんな新田さんがアウトドア初心者に伝えたい、「アウトドア半径を広げるコツ」とは?
「アウトドアをしてみたいっていう気持ちが起こったら、そのときがチャンスだと思います。自然のなかへいくと心が豊かになるとよくいわれますが、一方で無心にもなれます。ただひたすら山を登って、疲れたなとかおなか減ったなとかしか考えなくなるので、日ごろ、考えすぎてしまっている人は、ぜひぜひ自然のなかへ行ってみてほしいです。
何から始めたらいいかわからないという方は、オカラのポップアップイベントへ。私なりのおすすめの山登りのスタイルだったり、女性の方には女性ならではの楽しみ方をお伝えできると思います」
Okara / ai nitta(オカラ/アイ ニッタ)
2019年にスタート。モデルでハイカーの新田あいさんがブランドディレクターを務め、「あったらいいな」というこだわりを細部に詰め込んだバックパックやポーチ、スカーフなど、山でも街でも使えるアイテムを製作。ブランド名の「オカラ」は、かつて飼っていたハリネズミの名前に由来。全国各地のイベントや販売店で、ポップアップイベントを開催していて、直近では5月23〜25日の「森、道、市場」(愛知県)などに出店予定。
https://okara-ainitta.jp/
一ノ瀬 伸(いちのせ・しん)
ライター。1992年、山梨県市川三郷町生まれ。立教大学社会学部卒業後、山梨日日新聞記者、雑誌「山と溪谷」編集者などを経て2020年からフリーランス。時事やインタビューのほか、旅や自然、暮らし、精神などに関する記事を執筆している。
文=一ノ瀬伸
写真=今井知佑