THE RAMPAGEでボーカルを務める川村壱馬さんの2ndフォトエッセイ『PROMISE』(幻冬舎刊)が4月4日に発売された。本書には、自分自身との約束、ファンへのメッセージ、メンバーへの思い、そして未来の自分に向けた心の内が赤裸々に綴られている。
特筆すべきは、そのすべての文章を川村さんが原稿用紙57枚分、万年筆で直筆したということ。彼をそこまで動かした原動力について、インタビューした。
――本書を読ませていただき、まっさきに「自分に嘘をついていないんだな」という印象を受けました。そういった姿勢には、何か影響を受けたものはあるのでしょうか?
川村 母がもともとストレートになんでもいう性格で、その影響はやっぱり大きいのかなと思います。まっすぐ過ぎるがゆえに、人の気持ちが見えなくなるという可能性もあるくらいなんですけどね。
母に学ばせてもらいながらも、反面教師にしている部分もあって、バランスを取ってきた感じです。でも、そもそも自分の“初期設定”としての性格が、最悪だなって自分でも思っていて(笑)。自分で「嫌だな」と感じつつも、間違っていると思うことに対してはつい正そうとして発言してしまう。それは小学生の頃からうすうす気付いていたんです。
だから、他人に疎まれても仕方ない部分はある。でもそれでも、「いや、それはおかしいだろ」と思うこともあって、そのあいだで葛藤していましたね。
――そんな風に思うところもあったんですね。
川村 そういう思いも抱きつつも、自分の「こうなりたい」という理想像に向かって、ちゃんと改善しようとする気持ちを持てていたのは、よかったと思います。母の導きとして、「誠実に生きること」ということを教えられたのも大きかったですね。
――性格が“最悪”だとおっしゃっていましたが、小学生の頃はどんな感じだったんですか?
川村 本当にデリカシーがなかったと思います。小学生だからって許されるものでもなかったかもしれないですけど、考え方が周りとズレてるタイプだったんですよね。そうなると、当然周囲も受け止めきれないし、僕自身も浮いてしまう。
ただ、小さい頃からちょっと達観している部分もあって。担任の先生が母に、「この子は、周りの子が10日くらいかけてわかることを、誰よりも早く理解してるところがある」って話していたことがあったみたいなんです。そのときはピンとこなかったけど、今振り返ると、“先を行きすぎていて周りと噛み合わない”みたいなズレは、確かにあったのかもしれない。
ちょっと自分を買いかぶっているようにも聞こえるかもしれないですけど(笑)、実際にそういう部分と、デリカシーのなさが共存していたように思います。
――今になって、人との違いというのはどう受け止めてますか?
川村 やっぱり、自分は人と考え方が違うなっていう自覚はあります。たとえば、スポーツ選手の努力や習慣を聞くと、「特別なことをしている」と思われる方も多いと思うんですけど、僕はすごく共感できる部分が多いんです。
もちろん、努力の継続や試合での精神力の使い方が並大抵じゃないってことは理解しています。でも、その状態に至るまでのプロセスについては、「それって普通じゃない?」って思う感覚が、自分の中にもあるんですよね。
僕も、単なる息抜きとか、目的もなく飲みに行くことってないんです。僕にとってもそれが“当たり前”。何か目標があって、それにたどり着くための練習や努力の量、それが結果に繋がるという原理はすごく腑に落ちるし、自然とそう考えてしまうんです。“遊び”に行かないことも、それが「普通」。その時間にできることがあるんじゃないかって、常に考えてしまうんですよね。
――川村さんは、付き合う人は結婚する人だといつも書いていますが、どんなところでリスペクトを持って誰かと一緒にいたいと思うんでしょうか。
川村 あんまり「こういう人」というタイプもないし、これをいうことで、相手にこうじゃないといけないと思わせることも嫌だし、もともと明確なものはないんです。でも、ちゃんと話ができるほうがいいですよね。寄り添い合い、譲り合い、理解し合いということができたらいいと思いますね。
人と人って、似てる部分はあるかもしれないけど、どうしても違うものだと思います。だからこそ、ぶつかっても落ち着いて話せること、男女に関係ないことかもしれないけれど、それができる相手だったら、後は仲良くやっていければいいと思います。
――ご家族以外で、熱く話し合うことはありますか?
川村 メンバーとも朝まで飲みながら話すことはありますし、地元の友だちとオンラインでゲームしてると、途中から熱い話になって朝まで語り合ってた、みたいなこともあります。もちろん、真剣な話ばかりじゃなくて、おもしろい話になることもありますけどね。
そういう話ができる相手じゃないと、僕にとっては距離が近いとは言えないかもしれないです。
――メンバーの中で、特に熱く意見を交わす人は?
川村 メンバーの中では、特にやましょー(山本彰吾)さんと陣さんですね。思いつきでなく、グループや人をどう動かすかを考えた上で、しっかりと大人の会話ができるんです。感情的にも理論的にも、バランスが取れているんですよね。
――事務所が違っても、同じように熱く話せる人もいますか?
川村 俳優の山田裕貴くんの純粋さは素敵だなと思います。彼のことは「魂の兄弟」だと思っています。最近は全然会えていないんですけどね(笑)。
川村壱馬(かわむら・かずま)
1997年1月7日生まれ、大阪府出身。2017年、THE RAMPAGEのボーカルとして1stシングル「Lightning」でメジャーデビュー。2025年1月には、アーティスト名「零(レイ)」としてソロデビューも果たす。俳優としては、2018年に「PRINCE OF LEGEND」シリーズでデビュー。その後「HiGH&LOW THE WORST」のドラマおよび映画で、中心人物である花岡楓士雄役を演じ、続く話題作にも次々と出演。多彩な才能を武器に、活動の幅をさらに広げている。
文=西森路代
撮影=平松市聖
スタイリスト=吉田ケイスケ
ヘアメイク=oya(KIND)