雑誌や単行本、テレビなどで、簡単でおいしくできる家庭料理のレシピを提案し続けている料理家の飛田和緒さん。家族のために、訪れてくる友人たちのために、と日々もまた、本作りをするときと同じように、気づけばいつも台所に立ち、誰かのためにごはん作りをしているそう。
新刊『台所の相談室』では全国から寄せられた料理の“お悩み”に答えていますが、ここでは特別にCREA WEB編集部からのご相談にも答えてもらいました。新生活を始めた方にもおすすめのコツが満載です!
まずは、家族全員が大好きで、リクエストも多い鶏の唐揚げをどうぞ。
――子どもたちからのリクエストが多く、唐揚げをよく揚げています。揚げたてはおいしいのですが、冷めるとサクサクじゃなくなってしまうんです。冷めてもおいしい唐揚げのコツを教えてほしいです!
本にも書いていますが、揚げ物はとにかく何度も揚げて慣れることが一番です。から揚げの場合は、いくつかポイントがありますので、そこをていねいにすれば、おいしくできるはずです。頑張って!
鶏肉にはくさみの原因となるドリップがついているので、キッチンペーパーでしっかりと拭きとりましょう。
どんな本にも「鶏肉の余分な脂や筋を除く」と書いてあるでしょう? これをおざなりにしていませんか。肉をよく見て筋や黄色っぽい脂身、はみ出した部分をカットしていきましょう。
もったいないって思わないで! 切り取った脂や筋はお茶パックに入れて沸騰したお湯に入れて煮るととってもおいしいスープができます。処理したものも無駄にせず、おいしく活用!
鶏肉はひと口大に切って食品用のポリ袋に入れ、そこに調味料をどんどん入れてもみ込みます。
なじんだら、冷蔵庫に20分ほど入れておきましょう。
揚げ衣は片栗粉だとカリッと、薄力粉だとふわっとします。
片栗粉と薄力粉を半々にすることでサクッと感が持続します。片栗粉は竜田揚げのようにサクッとするけれど、時間が経つと油っぽくなりがち。薄力粉だけだと最初のサクッと感があまりありません。両方合わせて使うことで、揚げたてはカリッとして、冷めてもフワッと軽い衣になります。
また、薄力粉に水を加えた、ドロッとした衣も、フライドチキンみたいにザクザクした食感になります。
――あとは揚げるだけ! ですが、やっぱりそこが自信がなくて……。生揚げもイヤだし、生を怖がりすぎてつい揚げすぎてしまったりします。
いろいろな本にも「音が高くなったら」とか「持ち上げて軽くなったら」などコツが書いてありますが、その変化がよくわからないというお悩みも聞きます。
なので、慣れないうちはまずひとつ揚げてみるのが大事。泡の様子や箸でさわった感じで「そろそろかな」と思ったら引き揚げます。油をきっている間も火が通るので少しおくのもお忘れなく。
最初にも言った通り、揚げ物は場数。慣れて感覚をつかんでください。日々のごはんにはもちろん、お弁当のおかずにもしてみても。粉の割合はお好みで調整してみてくださいね。
・鶏もも肉:2枚(約500g)
※鶏手羽のスペアリブで作ってもおいしいです。
醤油味用の下味
・酒、しょうゆ:各大さじ1
・おろしにんにく、おろししょうが:各小さじ1
塩味用の下味
・塩:適量(肉の重量の1%)
・片栗粉・薄力粉:各適量(同量ずつ)
・揚げ油:適量
(1)鶏肉はペーパータオルでしっかり水けをふきとる。余分な脂と筋を取り除き、ひと口大に切る。
(2)半量の250グラムを食品用保存袋に入れ、醤油味の材料を入れる。袋の上から手でよくもみ、冷蔵庫で20分ほどおく。
(3)残りの半量も食品用保存袋に入れ、塩を加えて同様によくもみ、冷蔵庫で20分ほどおく。
(4)バットに片栗粉と薄力粉を同量ずつ合わせ入れる。
(5)(2)と(3)に(4)をていねいにまぶしつけ、余分な粉を落とす。
(6)鍋に揚げ油を2.5センチ深さくらい入れ、170度(菜箸を入れると大きめの泡がゆらゆらと上がる)に熱する。(5)をまずは1つずつ揚げてみる。コツがわかったら残りを揚げる。スペアリブの場合も同様に揚げる。
飛田和緒(ひだ・かずを)
料理家。東京都生まれ。神奈川県葉山で海と山に囲まれ、家族とともにのんびり暮らしている。地元の野菜や魚など、地域の産物と季節のものをこよなく愛し、おいしくいただくことに専念している。日々の暮らしが楽しくおいしくなる常備菜、保存食作りが得意。ライフワークともいえるみそ作りは年々熱が入っている。主な著書に『みその本』(KADOKAWA)、『ごはんできたよ!今日、何作ろう!?何食べる!?ある日の献立、つまみとおかずとごちそう、〆も一五〇品』(朝日新聞出版)、『お餅の便利帖』(東京書籍)などがある。
台所の相談室
定価 1,870円(税込)
KADOKAWA
文=赤澤かおり
撮影=榎本麻美