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「スペース・マウンテン」が7月31日 営業終了! “スぺマンとキャプテンEO” のループ世代が乗った“最後の宇宙旅行”

  • 2024年4月16日
  • CREA WEB

 東京ディズニーランドの「スペース・マウンテン」が7月31日で終了──。そんな噂を聞き、2027年からの再オープン期間に入る前に「何としても行かねば!」と、思いを募らせていました。

 クローズに伴って開催されるイベント名は、「セレブレーティング・スペース・マウンテン:ザ・ファイナルイグニッション(イグニッションは「発射」の意味)」。期待値の高さに比例するかのような長いネーミングに胸を躍らせながら、最後の宇宙旅行に出かけてきました。(全2本の1本目。後編を読む)


クローズ人気でいつもにも増して大混雑の「スペース・マウンテン」。後ろではすでに2027年開業予定の新「スペース・マウンテン」の建設工事が始まっている。

「スペース・マウンテン」は、東京ディズニーランド開園当初からあるアトラクションです。開園当時はまだ「トゥーンタウン」も「クリッターカントリー」もなく、「アドベンチャーランド」「ウエスタンランド」「ファンタジーランド」「トゥモローランド」の4エリアのみ。絶叫アトラクションは「スペース・マウンテン」のみという時代から、ずっと変わらずに、人々を宇宙旅行へと送り出してきました。

 言われてみれば確かに、シンボリックに存在し続ける「スペース・マウンテン」の施設や設備には40年超えの歴史の重みを感じます。

 筆者はこの「スペース・マウンテン」が大好きでした。東京ディズニーランドに行くと、真っ先にワールドバザールを右手に突っ切り、猛ダッシュで「スペース・マウンテン」に並んでいたものです。


開園当時の東京ディズニーランドのマップ(公式ホームページより)。

 今のように「ファストパス」も「プライオリティパス」もなく、ましてや、待ち時間の目安がわかるアプリが将来できるなどと予想すらできなかった時代には、とにかく並ぶ。これしかなかったのです。

 昭和世代が我慢強いと言われるのは、この東京ディズニーランド(もしくは東京ディズニーシー)での長蛇のウエイティング体験が基礎トレのようになっていたから、という理由もあるかもしれません。いや、ないか。

「スペース・マウンテン」と「キャプテンEO」のループ

 そんなわけで、満を持して最後の宇宙旅行へやってきた筆者。パークインして最短距離で「スペース・マウンテン」へと向かいました。

 今は昔、トゥモローランドに「キャプテンEO」というアトラクションがあった時代には、まず「スペース・マウンテン」に並んで乗り、降りたらすぐダッシュで再度列に並び直して2度目の乗船。休憩に「キャプテンEO」を観て、さらに3度目の「スペース・マウンテン」、最後に締めの「キャプテンEO」と、1回のインパークで「3S2C(3「スペース・マウンテン」+2「キャプテンEO」の筆者造語)」が定番コースでした。

 「キャプテンEO」というのは、マイケル・ジャクソンが主演・音楽を務める、3Dショートムービーです。フランシス・コッポラが監督を、ジョージ・ルーカスが製作総指揮を務めるという、今にして思えばとんでもなく贅沢な映像作品でした。

 当時はマイケル・ジャクソンの、月の上を歩いているような滑らかなステップ「ムーンウォーク」が大ブレイク。それまで見たことがないようなクールでエキサイティングな歌とダンスに日本中の若者が魅了され、夢中になって真似していました。

 そのマイケルが、当時最先端だった3D映像で観られることに、とてつもない未来感を感じたものです。あの映像と「スペース・マウンテン」の宇宙旅行はまさに、近未来の象徴ともいえるものでした。


「これから宇宙旅行!」という高揚感の高まる内観。©Disney

「Future(未来)」ではなく、「Tomorrow(明日)」の島、というネーミングもよかった。「ファンタジーランド」のお姫様は、何度通っても自分とは遠い物語の人たち、という感覚がついてまわりましたが、「トゥモローランド」の近未来世界は、訪れるたびに「いつかの遠い未来ではなく、手の届く『明日』、こんなにもわくわくする世界がやってくるかもしれない」という期待に胸が膨らみました。

 まさかそのほんの10数年後、手のひらに収まる「電話」ひとつで、買い物、カメラ、電車・バス乗車はおろか、世界中の人々との交流までできるようになるとは思いませんでしたけれど。

 さて、「スペース・マウンテン」。搭乗口へと向かうエスカレーターもまた、高揚感を高めるつくりになっています。このエスカレーターで下から撮影すると映え写真が撮れるので、「自撮り」という文化がなかったその昔は、後ろに並んでいるゲスト(知らない人)によく「写真撮ってください〜」と、頼んでいました。そもそも、シャッター式カメラでは自撮りはできませんしね。

 しかし、あまりにも混んでいると、写真撮影のために間隔を空けることが憚られます。そんなときは、「スペース・マウンテン」のエスカレーターに酷似している東京駅の中央線エスカレーターにて“「スペース・マウンテン」ごっこ”をしていたものです。

 ちなみに当時、「すみません、写真撮ってもらえますか〜?」と預けたカメラは、スマホではなく「写ルンです」という使い切りフィルムカメラでした。この「写ルンです」が、今また流行しているようで、時代は巡るものだと感慨深く思います。


2027年開業予定の「スペース・マウンテン」と周辺の広場。©Disney

 トゥモローランドでは、キャストがイベント限定のオリジナルシールも配っていました。しかし、アトラクション付近にいたキャストに尋ねると、もう規定枚数を配り終えてしまったとのこと。

 焦りましたが、「トゥモローランド内のキャストはみなシールを持っているので、ほかのアトラクションに行ったらあるかも」と言われ、「スター・ツアーズ」のキャストの方に聞くと、まだシールが残っていました! グッジョブ!

幼なじみのような「スペース・マウンテン」

 クローズが発表された後は常に60分以上の待ち時間が発生している「スペース・マウンテン」。筆者が訪れた日も、80分待ちがデフォルトになっていたため、さすがにエスカレーターでの写真撮影は諦めました。

 ところが、いざエスカレーターに乗り込もうとすると、よく遊んでいた幼なじみのような「スペース・マウンテン」がどこか違って感じられるのです。


苦労して手に入れたオリジナルデザインシール。家宝にします。(筆者撮影)

夢の国では、近未来ゾーンのキャストも親切でした。

 その原因は、アトラクション正面に飾られた「The Final Ignition!」のバナーデザインでした。施設に入ってからも「こんな感じだっけ?」と思い返すこと多数でしたが、冷静に考えると、昔はとにかくライドに乗ることしか考えていなかったので、施設の様子などろくに見ていなかったのです。あんなに何度も乗ったのに……、と反省しきり。


「FINAL」の文字が掲げられた「スペース・マウンテン」。

 せめて最後に思い出として写真に残そうとスマホを取り出すと、「撮影禁止」の注意書きが。機械に頼らず、目と頭でしっかり記憶に残しながら宇宙船へと向かいました。

文=相澤洋美
写真=佐藤 亘

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