
吹田市の静かな住宅街に、2025年2月にオープンしたガレットとクレープのお店「Crêperie Onze(クレープリーオーンズ)」と、そのすぐ隣にある、旬の野菜と果物が並ぶ「FARMAN KITCHEN MARKET(ファーマンキッチンマーケット)」。
ブランチタイムにぴったりな野菜たっぷりのサラダガレットと、日常に寄り添うあたたかな青果店。
美味しさとやさしさを届けてくれる、ふたつのお店を訪ねました。
阪急山田駅からのんびり歩いて約10分。住宅街の一角にたたずむ「クレープリーオーンズ」は、2025年2月にオープンしたガレットとクレープの専門店です。白い扉が目印の落ち着いた佇まいのなかに、どこかフランスの郊外を思わせる雰囲気。道中の緑を眺めながら向かえば、おなかもちょうどいい具合にすいてきます。
店内に一歩足を踏み入れると、静かに時が流れるような心地よさに包まれます。カウンターが3席、テーブル席が6卓と、ゆったりとした空間が広がり、おひとりでもグループでも気兼ねなく過ごせるのが魅力です。
イートインスペースの手前には、木の器や土鍋が美しく並び、まるで暮らしのギャラリーのよう。ゆくゆくはこのスペースでイベントなどもできたら・・とのこと。
お店の名前「onze(オーンズ)」は、フランス語で“11”の意味。朝でも昼でもない“11時”という、ゆるやかに気持ちがほどける時間が好きで、店主の一ノ上さんが名付けたそう。そんな優しさが、店内のすみずみにまで感じられます。
店内でいただけるのは、彩り豊かで見た目にも華やかなサラダガレット。1枚1枚心を込めて焼き上げるそば粉の生地に、たっぷりの野菜を合わせた一皿は、香ばしさと軽やかさが絶妙で、ぺろりと食べきってしまうおいしさです。
定番の「自家製ハムのコンプレ」は、卵・チーズ・ハムの組み合わせに、アボカドやオイルサーディンのトッピングを加えるのもおすすめ。季節ごとに登場する限定メニューも楽しみのひとつです。
使用している野菜はもちろん、自家製のローストビーフやオイルサーディンなどの食材も、すべてすぐ隣の青果店「ファーマン」から届いたもの。お皿の上には、つくる人と届ける人、両方の想いがしっかりと詰まっています。
すべてのメニューに、ドリンクとスープがセットになっているのもうれしいところ。
オーガニックティーやジンジャーエールなど、ドリンクは好みにあわせて選べます。
プラス料金で、ワインなどのアルコールを楽しむこともできるので、昼下がりのゆったり時間にもぴったりです。
ガレットが焼き上がるまでには、先に運ばれてくるあたたかいスープで、ひと息つけるのもうれしいポイント。
そんな小さな心くばりにも、お店のやさしいおもてなしが感じられます。
ガレットのあとは、クレープでちょっぴり甘いしあわせを。
この日の季節限定メニューは、いちごとラベンダーのミルクジェラート添え。お皿にそっとのせられたその姿に、思わずきゅんとしてしまいます。
定番の「エシレバター&シュガー」や「塩キャラメル&ホイップ」「はちみつレモン&ホイップ」も人気。アイスをトッピングして、自分好みにアレンジするのもおすすめです。
クレープは、ガレットとセットではなく単品でも注文できて、ドリンクも付いているので、カフェタイムのおともにもぴったりです。
京都の人気ガレット店で経験を積んだ、店主の一ノ上さん。
明るくあたたかな雰囲気で迎えてくれる彼女の存在が、このお店の空気をやさしく包み込んでくれます。
おだやかな声のトーンや、ていねいなしぐさからも、その人柄のやわらかさがそっと伝わってきます。
「今日はどんな人に食べてもらえるんだろう」
そんなふうに話す笑顔からは、ガレット1枚1枚に込めた想いや、食べる人へのやさしい気持ちがやさしく伝わってきて、思わず心がほぐれます。
ホールを担当するスタッフさんたちも、お客さんと会話を楽しみながら、自然体で接してくれるのが印象的。
この場所が好きで、ここに集う人たちとの時間を楽しんでいる、そんなあたたかさが感じられます。
初めて訪れても、ふっと肩の力が抜けて、気づけばすっかりくつろいでいる自分に気づくはず。
まるで誰かのおうちに招かれたような、やさしい時間が流れています。
クレープリーオーンズのすぐ隣にある「FARMAN KITCHEN MARKET」は、気軽に立ち寄れるあたたかな雰囲気の青果店。扉を開けると、全国の農家さんや市場から届いた新鮮な野菜や果物が整然と並び、見ているだけで心がときめきます。
「ファーマン」という名前には、“FARM(畑)”と“HUMAN(人)”をつなぐ存在になりたい、という想いが込められているそう。日々の暮らしに寄り添う食材たちを、もっと身近に、もっと大切に感じてほしい——そんなやさしい気持ちが伝わってきます。
店内に並ぶのは、有機野菜をはじめとした全国の生産者から届くこだわりの野菜や、旬の果物。近隣の産地には直接足を運び、新鮮なものを最短で届けてもらえるよう手配されており、毎朝市場で仕入れる定番野菜も合わせて、必要な食材がしっかり揃っています。
果物は、スタッフが自ら味を確かめて仕入れたものばかり。同じ品種でも、その時いちばんおいしいものを見極めて選んでいるそう。
また、調味料や加工品も見逃せません。化学調味料をなるべく使わず、体にやさしい、そして「ちゃんとおいしい」と感じられるものだけを厳選。素材そのものを活かしたアイテムがそろっています。
「これって、どうやって食べるのかな?」
そんな疑問も、ここではワクワクに変わります。
野菜や果物の知識が豊富なスタッフさんたちが、店頭に並ぶちょっと珍しい野菜たちの調理法や食べ方も、ぴったりのアイデアを教えてくれます。
「炒めてもおいしいですよ」「生でもシャキッとしてて甘みがあるんです」
そんな言葉に背中を押されて、普段は手に取らないような野菜にもチャレンジしたくなるはず。
お買い物をしながら、笑顔のスタッフさんとのやりとりも楽しめるのがこのお店の魅力。
「また来よう」と思える、そんなうれしい時間が待っています。
2025年10月に10周年を迎える「FARMAN KITCHEN MARKET」。 “畑と人をつなぐ”をテーマに、地域のみなさんに親しまれてきたお店が、いま新たなチャレンジに踏み出しています。
はじまったのは、島根県でのお米づくり〈FARMAN RICE PROJECT(仮)〉。島根は、オーナー・水津さんのふるさとでもあります。長年つながってきた生産者の想いを、今度は自分たちも“つくる側”として知るために。田んぼに立ち、自然と向き合う日々が始まりました。
「難しいけれど、おもしろい」。そんな言葉が、ファーマンらしい挑戦を物語っています。
「クレープリーオーンズ」でも、ファーマンの食材がたっぷり使われているように、この場所では“つくる人”と“届ける人”の距離がとても近く、行き交う想いに心があたたかくなります。
そして今は、毎年楽しみにしている方も多い、無添加ソフトクリームや季節のサンデー、オーガニックリキッドコーヒーを使ったコーヒーシェイクなど、ひと息つきたいときにぴったりのスイーツやドリンクも味わえます。
10周年の今も、進化を続けるファーマンさん。
そのやさしい歩みに、ちょっと会いに行ってみませんか?