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京都・下鴨の「茶寮 宝泉」で、極上のわらび餅や小豆を使った甘味にうっとり♪

  • 2023年10月9日
  • ことりっぷ


小豆や黒豆を炊く匠として名高い京都・下鴨の「宝泉堂」は、1952(昭和27)年創業、世界遺産・下鴨神社の御用達としても知られる名店です。本店のほど近くにたたずむ築100年を超える邸宅カフェ「茶寮 宝泉」では、趣深い数寄屋造りの空間でとっておきの和の甘味が味わえます。端正な庭の眺めや、部屋のしつらい、飾られた草花がそっと教えてくれる一期一会の季節の風趣を感じながら、ゆったりとした時間を過ごしませんか。
下鴨神社から歩くと12分ほど要しますが、市バスで行くなら、徒歩2分でアクセスできる下鴨東本町のバス停が最寄り。閑静な住宅街のなかに「宝泉」の暖簾を掲げる凛とした邸宅が現れます。
数寄屋造りの建物は、財界人の元住居。20年ほど前に宝泉堂が受け継ぎ、「丹波大納言小豆のおいしさを知ってもらえる場所にしたい」と開いたのが「茶寮 宝泉」です。
靴をぬいで上がる店内には、お庭を望める座敷席が用意されています。夏は通気性のあるすだれや簀戸(すど)、網代で涼しげに、秋には襖や障子へとしつらいが替わり、京都らしい趣が漂います。
「わらび餅」は本蕨粉、砂糖、水だけというきわめてシンプルな素材を合わせ、注文を受けてから丹念に練り上げたもの。「本蕨粉は、山菜の一種であるわらびの根にわずかに含まれるでんぷん質を精製したもので、根っこが100kgあるとすれば3kgしかとれない希少な素材。風味やねばりのいいもの国産の本蕨粉を厳選しています」と、専務取締役の古田智史さん。
琥珀色に潤むわらび餅は、とろけるような口あたりでありながら、舌で押すとはねかえる弾力も感じます。素朴で奥ゆかしい風味のなかにやさしい甘さが広がっていき、その余韻にうっとり。
丹波大納言小豆と、備中産白小豆のいずれかを選べるぜんざいは、暑い季節は白玉を添えた冷製、秋になると焼き餅を添えた温製に替わります。宝泉堂のぜんざいは、炊き上げる工程で皮が破れることなく、小豆の粒ひとつひとつの形がきれいに整ったままなので、汁も澄んでいます。
「小豆を炊くのには、豆の状態、炊きはじめから炊き上げるまでの温度、湿度、なにより熟練の職人の“勘”が欠かせません。白小豆は丹波大納言小豆に比べて、香りが控えめでさっぱりとした味が特徴。茶の湯の都・京都では古くからお茶の味を損なわないとして白小豆が重宝されてきたんですよ」と古田さん。「父から引き継いだ技を、今度は息子に伝えていきたい」と話してくれました。
季節の移ろいに合わせて変わる上生菓子は、常時5種前後がそろいます。訪れた日は、桔梗の花がモチーフの「おとずれ」や、「菊寿」、「虫の音」など、秋の訪れを感じさせる銘の上生菓子が並んでいました。選んだのは、粒あん入りのきんとん「こぼれ萩」。丁寧にきめ細かに点てられた抹茶は、絹のようになめらかな口あたりです。
販売コーナーには、大粒で品質の高いものだけを選りすぐった丹波黒大豆をゆっくりと炊き上げた代表銘菓「しぼり豆丹波黒大寿」をはじめとした和菓子がそろいます。おすすめは下鴨神社の例祭「葵祭」のシンボルであり、神紋でもある「葵」の文様をかたどった「賀茂葵」。ほっくりと炊き上げた丹波大納言小豆にシャリッとした砂糖の衣をまとわせた逸品です。
和の風情が香る上質な空間で、手入れの行き届いた美しいお庭を眺めながらゆったり過ごすひとときは、京都旅の醍醐味です。下鴨神社のお参り後に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

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