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京都・寺町のレトロな洋菓子店「京都 村上開新堂」で、手みやげ&ふだんのおやつを

  • 2023年8月20日
  • ことりっぷ


京都・寺町通の「京都 村上開新堂」は、創業110余年、京都でいちばん古い歴史をもつ洋菓子店です。人気のロシアケーキ、柑橘系のゼリー、口あたりのなめらかな寺町バニラプリン、予約は1年待ち(!)の缶入りクッキーなどの洋菓子はもちろんのこと、映画のワンシーンに登場しそうなクラシカルなたたずまいも魅力的。手みやげや、大切な人への贈りもの、ふだんのおやつを求め、お店の扉をそっと開けてみませんか。
地下鉄東西線の京都市役所前駅から北へ徒歩4分ほど。和菓子、和文具、日本茶、工芸品などの老舗やアンティークショップが連なる寺町通にあります。通り側は、外壁に白漆喰をあしらった木造の洋館、奥が純和風という和洋折衷の珍しいつくりをしています。
扉を開けて店内に入ると、弧を描くガラスのショーケース、市松模様のフロアタイル、大理石の柱、照明器具など、長い時を経て風合いを増した美しい意匠が目に留まります。
江戸時代の終わりまでは代々宮中で饗膳の料理人をつとめていた村上家。東京遷都にともなって東京に住まいを移したのちの1874(明治7)年、村上光保氏が日本ではじめての洋菓子店「村上開新堂」を開きました。その光保氏から西洋菓子を学んだ甥の清太郎氏が、村上家発祥地の京都に戻って1907(明治40)年に開いたのが京都「村上開新堂」です。以来、元祖とは異なる独自のレシピや商品を生み出し、地元京都で永く愛されてきました。
代名詞的存在の「ロシアケーキ」は、アプリコット、チョコレート、レーズン、ぶどう、ゆずの計5種。バターはフレッシュな国産無塩バターを、砂糖はきめ細かな粉砂糖を使用しています。アプリコット、チョコレート、レーズンのクッキー生地は2層になっていて、少量の粉にバターを多めに練り込んでつくる生地を、サクサクの生地の上に絞りだしています。ジャムやブランデー漬けレーズンなど水分を多く含むものを上の層にのせて焼き上げるため、しっとりとソフトな食感になるのだそう。
たとえばゆずジャムサンドなら、ゆずの名産地・高知県馬路村のゆずジャムを2種ブレンドして炊き直し、粘度や水分量を調節するといったように、4代目曰く「100年後もこの形で受け継がれていくように」ひとつひとつ工夫を凝らしています。
紀州のみかんをまるごと器に見立てた大正時代からの看板商品「好事福盧(こうずぶくろ)」は11~3月限定ですが、4~9月には「オレンジゼリー」がお目見えします。フレッシュなサンキストオレンジの果肉をくり抜いて手搾りした果汁を、気候によってゼラチンの量を微調整しながらゼリーに仕立てた涼菓。スプーンですくって口に入れるとちゅるんとすべり込み、爽やかなオレンジの風味が広がります。
4代目の村上彰一さんが店を任されるようになって以降、マドレーヌやダックワーズなど“36年ぶり”の商品が誕生し、話題に。そのうちのひとつがこちらの「寺町バニラプリン」です。卵は卵黄のみ、牛乳のほかに生クリームをたっぷり使っているため、口当たりはとろりとなめらか。ゼリーのようにあっさりとした洋菓子が多いため、あえて濃厚な味わいに仕上げたそう。バニラビーンズの香りがほどよく効いていて、後味の良さにうっとりさせられます。
ほかに、贈りものにぴったりの缶入りクッキー(小缶6480円、大缶8424円)も。現在は予約後1年待ちとのこと。記念日に合わせてオーダーするのもおすすめです。
「昔のままを変えず、過度に味を足さず、あくまでもシンプルに。添加物や香料はなるべく使わないように」。そんな「村上開新堂らしさ」を大切にしながら手づくりにこだわった洋菓子の数々は、これから次の50年、100年先へと受け継がれていくことでしょう。
唯一無二の空間で、笑顔をたたえる店員さんと会話を楽しみながら商品を選ぶ……そんな時間が、何気ない日常に心豊かなひとときをもたらしてくれそうです。

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