サイト内
ウェブ

多くの文豪に愛されたホテルで過ごすひととき「山の上ホテル」

  • 2023年3月3日
  • ことりっぷ


東京お茶の水、駿河台の丘の上に建つ山の上ホテルは、アール・デコ様式の建物がシンボルのクラシックホテル。出版社がある神田・神保町に近い立地から、多くの文豪が定宿として愛したことで知られています。客室数35室の小さなホテルながら飲食施設が充実しているのも特徴で、作家・池波正太郎が好んだというてんぷら、洋食ランチやケーキが楽しめるコーヒーパーラーなど、本格的なレストランとバーが7カ所。文豪も食した伝統のメニューを味わうのも楽しみのひとつです。
ホテルの地下1階にあるコーヒーパーラーヒルトップ。坂に面した大きな窓から心地よい光が射し込み、明るく落ち着いた雰囲気の喫茶室です。創業当時のメニューをペストリーシェフが磨きあげ復刻したプリンアラモードは、ほろ苦いカラメルソースが絶品のプリンに、バニラをさやごと使ったアイスクリーム、スワンのシュークリーム、旬のフルーツをあしらった、見た目も麗しいごちそうスイーツ。レースのランチョンマットがクラシックな気分を盛り上げてくれます。
店内の調度品もクラシカル。ピンクのバラが愛らしいシャンデリアと壁のランプは、おそろいのデザインです。壁には、この場所で多くの時間を過ごした池波正太郎が描いた絵画が飾られています。ホテルオリジナルの自家製スイーツのほか、12時間以上かけて抽出する水出しコーヒーや、小海老のロングマカロニグラタンをはじめとする洋食もそろい、ティータイムから食事まで利用できる、使い勝手のよさも魅力です。
立体的な塔をあしらったファザードが特徴の建物は、ウィリアム・メレル・ヴォーリズによる設計で、1937(昭和12)年に建設されたもの。戦後GHQに接収された時代を経て、1954(昭和29)年にホテルとしての営業を開始しました。2019年に行われた大規模リニューアルでは、竣工当時の図面をもとにデザインを復元。床・階段・天井にアール・デコの装飾をまとった、建設当初の姿に生まれ変わりました。
最上階まで吹き抜けになった階段室は見どころのひとつ。金、黒、赤で彩られた螺旋階段が美しく、見上げると、天井にはステンドグラスが貼られています。階段側面や壁の足元のタイルは設計図面から復元されたもの。クラシックでありながらモダンな雰囲気も併せ持つ、アール・デコ様式の美しさを堪能することができます。
35室ある客室はすべて異なるレイアウト。日本庭園付きのスイートルームや畳にベッドを置いた和洋折衷の部屋は、しばしば文豪たちの執筆の場所として利用されていたそう。どの部屋にも書斎机があり、ホテルからのおもてなしの心を表現した赤いバラが一輪飾られています。
デラックスシングルの客室は、グラスグリーンのカーペットとサクラの木の家具が落ち着いた雰囲気。木々の緑が見える窓からは、明るい光が射し込みます。手書きフォントとイラストがかわいい「起こさないで下さい」のサインプレートをドアにかけ、日々の喧騒を忘れて、手紙や日記を書いたり、読書を楽しんだり……。自分だけの静かな時間を過ごすことができます。
ロビーにあるホテルショップ ヒルトップでは、ホテルオリジナルのケーキや焼き菓子、ホテルグッズを販売しています。
山の上ホテルのパティシエが手がけるケーキは、家族や友人への手みやげにおすすめ。農林水産大臣賞を受賞したレシピをさらにおいしく改良したという山の上ロール(486円)や、山の上チーズケーキ(594円)、山の上ショート(756円)など、ホテル自慢の味をテイクアウトで楽しむことができます。
菓子ギフトのパッケージは、佐藤オオキ氏率いるデザインオフィスnendoとのコラボレーションで、「書斎」をイメージしたデザイン。インクボトルをイメージした容器に入ったチョコレートや、本の形の箱に詰め合わせた焼き菓子などがそろいます。
ホテルの意匠があしらわれた蛇腹便箋レターセットは、日本橋の老舗和紙店・榛原とのコラボレーション。おみやげ品のデザインにも、ホテルのセンスがあふれていて、あれもこれもと欲しくなってしまいます。

あわせて読みたい

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright (c) 1996- 2024 Shobunsha Publications All Rights Reserved.