「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、新しい文化をつくり続けている〈HERALBONY(ヘラルボニー)〉。岩手県盛岡市に本社機能を置きながら、国内外の主に知的障害のある作家の描く2000点以上のアートデータのライセンスを管理し、企業や自治体とのコラボさまざまなビジネスへ展開しています。
そのHERALBONYが今年3月、東京・銀座レンガ通りに〈HERALBONY LABORATORY GINZA(ヘラルボニー ラボラトリー ギンザ)〉、本社拠点のある盛岡を代表する老舗デパート〈カワトク〉内に複合施設〈HERALBONY ISAI PARK(ヘラルボニー イサイ パーク)〉を相次いでオープンします。
都内初の常設店舗。銀座で価値観が変わる体験を提供HERALBONY LABORATORY GINZAは銀座一丁目駅から徒歩1分ほどの場所にオープン。
HERALBONY LABORATORY GINZAは、2025年3月15日(土)にオープン予定。HERALBONYにとっては都内初の常設店舗です。ショップとギャラリーが併設され、訪れる人が異彩を放つ作家やその作品と出会うことで、障害に関する価値観が変わる体験を提供します。
ショップ内に契約作家が創作活動を行うスペースを常設。
ショップ内には作家のアトリエスペースを常設。作家による色鮮やかなグッズが販売されるだけでなく、HERALBONY契約作家が創作活動を行う様子を直接目にすることができます。
ギャラリーでは、アートの展示販売はもちろん、新しい文化をつくっていく運動体としてのHERALBONYによるさまざまな展示企画が予定されています。
HERALBONYの共同代表である双子の兄弟、松田崇弥さんと松田文登さんは、「小さな地方発ブランドによる大きなリスクを背負った挑戦です。異彩を放つ作家と共にド真ん中で勝負する意思表明です」とコメントしています。
盛岡〈カワトク〉にブランド初、カフェ併設の旗艦店誕生HERALBONY ISAI PARKは、ショップ、ギャラリー、カフェを併設します。
HERALBONY ISAI PARKは、ヘラルボニーの旗艦店として2025年3月29日にオープンが予定されています。ショップ、ギャラリー、カフェを併設した複合型の施設です。
HERALBONY ISAI PARKができるカワトクは慶応2(1866)年創業。岩手の人に、買い物以上の特別な体験を提供し続けている老舗百貨店です。
カワトクでは異彩作家の作品を屋外広告にも起用してきました。
HERALBONYにとっては、ブランド初の常設店を開いた場所で2020年7月に3階に店舗をオープンしたのち、2022年4月からはデパートの顔、1階フロアの一画に店舗を展開してきました。
HERALBONY ISAI PARKは、百貨店店舗としては広く、約220平方メートルもあります。
HERALBONY ISAI PARKは、これまでのカワトクでの店舗と比較すると面積は5倍。盛岡の中心で、公園のように、たくさんの人が行き交い、くつろぐことができる空間を目指しています。
オープンにあたっては、クラウドファンディングが行われ、1222人から目標額の2.3倍以上に当たる2300万円余りの支援が集まりました。岩手の人たちにとって歴史ある特別な場所であるカワトクに、盛岡発のグローバルブランド、HERALBONYの店舗がこれまで以上に広く、複数の顔を持つことへの期待の大きさがうかがえます。
カフェのメニューイメージ。ランチやコーヒーブレイクにもぴったり。
HERALBONY初のカフェでは、岩手の食材にこだわった料理やお酒が提供され、一部はヴィーガン対応のメニューも用意されます。
カフェでは季節の食材を使ったサンドイッチやカレーの他、NYタイムズでも紹介された盛岡のロースタリーNagasawa COFFEE監修オリジナルブレンドのコーヒーメニューが取り揃えられる予定です。
ショップスペースには特別なエリアも設けられ、東北や岩手などの地域性のあるプロダクト、全国の異彩を放つ作家の強烈なアイデンティティから生まれたプロダクトなど、HERALBONYの意志と共鳴した商品をセレクト。盛岡を訪れる人にとっても、滞在中に立ち寄りたいスポットのひとつになりそうです。
誰もが『そこにいていい』HERALBONY的世界観の当たり前店舗ではHERALBONYが考える誰にでも開いた場所を体験することができます。
HERALBONYは、これまで全国の主要百貨店とコラボレーションイベントを何度も開催してきました。そのたびに目にされてきたのが、障害のある人たちが家族と一緒に会場に足を運び、時間を過ごす姿です。一般的なお店ではその振る舞いが迷惑に感じられることもある人たちが、“HERALBONY的世界観”のなかではあたりまえに存在しています。
「本当の意味で誰にでもに開いた場所をつくるというのは、バリアフリーにすればOKという話ではなくて、『そこにいていいんだ』という帰属意識をつくっていくということ」と盛岡のHERALBONY ISAI PARKオープンに際して文登さんがコメントしています。
地元岩手では、150年の歴史を持つカワトクとともに「100年先に続く文化を作りたい」とスタートするHERALBONY ISAI PARK。そして、高級ブランドが軒を連ねるまち、銀座で人びとの価値観を変える挑戦をするHERALBONY LABORATORY GINZA。
盛岡と銀座、ふたつの象徴的な店舗は、それぞれのまちにどのように馴染み、そして訪れる人の価値観に影響していくのかが楽しみです。
information
HERALBONY LABORATORY GINZA
住所:東京都中央区銀座2-5-16 銀冨ビル1F
オープン予定日:2025年3月15日(土)
営業時間:11:00〜19:00
定休日:火曜
information
HERALBONY ISAI PARK
住所:岩手県盛岡市菜園1-10-1 パルクアベニュー・カワトク1F
オープン予定日:2025年3月29日(土)
TEL:019-651-1111(カワトク代表)
営業時間:10:00〜19:00
定休日:不定(カワトクの営業日に準ずる)
Web:HERALBONY公式サイト
writer profile
Saori Nozaki
野崎さおり
のざき・さおり●富山県生まれ、転勤族育ち。非正規雇用の会社員などを経てライターになり、人見知りを克服。とにかくよく食べる。趣味の現代アート鑑賞のため各地を旅するうちに、郷土料理好きに。