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「梅の花」を蒸留すると……? 手づくりアロマウォーター&化粧水

  • 2024年3月4日
  • コロカル

春が近づいてきましたね。庭に出ると、ふわりと梅の香りが漂う季節になりました。

よい香りに出合うと「この香りをいつでも楽しめるように、閉じ込めておけないだろうか……」とよくばってしまう私が、ついにガラス製の蒸留器を手に入れました。

ガラスのビーカーやさまざまな器具が合わさった、ガラスの蒸留器の写真。

ちょっと高価なので、買うのに数年迷いました(笑)。使い勝手がよくて気軽にできるので買ってよかった!

今まで10リットル以上の大型蒸留器や手づくり蒸留器を使ってきたのですが、子どもが生まれてから圧倒的に時間が足りなくなったこと、準備やあと片づけが大変なこともあり、なかなか蒸留ができなくなっていました。

そこで、ついに手軽に蒸留できるガラス製蒸留器を購入! これから野山にあるいろんな素材を蒸留してご紹介していきたいと思うので楽しみにしていてください。

香り高い「梅の花」を蒸留してみる

摘んだ梅の花を手にしている写真。

庭の梅の木をバッサリと剪定。花がついたままでもったいなかったので蒸留することに。

さて、この蒸留器でつくったのは「梅の花」の蒸留水。ちょうど庭の梅の木を剪定したので、切った枝から花を採取しました。

剪定した枝から梅の花を摘んでいる写真。

梅の花は、開きかけの蕾が一番香りが強い気がしました。開ききってしまった花は、きれいだけれど香りは弱め。

摘んだ花を集めただけで、もうすでにいい香り。ボウルを覗き込んで大きく息を吸うとあまりの芳香に天国に来たような気持ちになります。たまらない……!!! 

ボウルいっぱいに摘んだ、薄いピンク色の梅の花の写真。

集めた花を見ているだけで、幸せな気持ちになれます。

さっそく梅の花の香りを閉じ込めた蒸留水をつくっていきます。

梅の花を加熱すると、花の香りやエキスが蒸気として蒸発。それを急激に冷却することにより、芳香成分を含んだ液体、つまり蒸留水ができあがります。

蒸留器に梅の花を詰めた写真。

梅の花を蒸留すると桜餅のような甘い香りが部屋いっぱいに広がり、思わず顔がほころんでしまいます。

蒸留器に入るだけの花を敷き詰め、200ミリリットルの水で40分ほど蒸留すると、120ミリリットルほどの蒸留水ができあがりました。

この梅の花のアロマウォーターは杏仁豆腐のような、深く甘い香り。いつまでも嗅いでいたくなる、ほろ苦い春の香りがしました。

小さなビーカーになみなみと溜まった透明な蒸留水の写真。

ビーカーになみなみと溜まった蒸留水。

私が使っているガラス製蒸留器では、IHヒーターで水を沸騰させて花を蒸し、立ち上った蒸気を氷水で冷やし、ポタポタと落ちる蒸留水をビーカーに溜めていきます。

蒸留器がない方は、蒸し器を活用してつくることもできます。

まずは蒸し器の蓋の空気穴をアルミホイルなどで塞ぎ、蓋を逆さにして、漏斗状になった蓋に氷水を入れます。

蒸し器に水を入れ、蒸し目皿の真ん中にコップやボウルを置きます。周りに蒸留したい素材を敷き詰めて火にかけ、滴り落ちる蒸留水を集めます。

「柚子の種」で化粧水づくり

柚子を包丁で切っている写真。

種の周りのヌルッとした部分がペクチンです。

梅の花の蒸留水で何かつくれないかな? と考えていたときにたまたまお土産で柚子をいただきました。せっかくなので、この柚子の種で化粧水をつくり梅の花で香りづけしてみたらどうだろう? と思いつきました。

<柚子の種の化粧水のつくり方>

消毒した瓶に種を詰め、ひたひたになるまでホワイトリカーや焼酎などを入れます。

1週間ほど冷蔵庫で寝かせると、種子に含まれるペクチンというゼリー化作用を持つ成分が溶け出しとろっとしたテクスチャーの保湿化粧水になります。

その後、種をとり出して、完成。

種を洗うとペクチンが流れてしまうので、汚れはさっと落とす程度に。保存料などが入っていないため、冷蔵庫で保存してください。

肌が敏感な方はアルコールの代わりにお水でもつくれますが、日持ちがしないので数日で使い切るのがおすすめ。アルコールでつくった場合は1か月ほどもちます。

完成した柚子の種の化粧水の写真。トロッとした液体をスプーンですくっている様子。

一度にたくさんつくっても使いきれないという方は、種を乾燥させて保存し、使う前にアルコールに漬けて化粧水を仕込む方法がよさそうです。

ちなみに、柚子の外皮や実は調味料づくりに使用したのですが、白い薄皮の部分が残ってしまいました。

薄皮からも爽やかな柚子の香りがして、もったいなかったので、花弁をとったあとの梅の花の「がく」と合わせて、残り物同士で蒸留をしてみました。

梅の花のがくと柚子の薄皮を蒸留器に詰めた写真。

食べられないものや、処分するものから香りの成分だけとり出せるのも蒸留の魅力です。

特に期待しないでつくったのですが、予想以上に芳しい香り!

柚子の酸味が甘い梅の花の香りとマッチして奥行きのある、爽やかな香りに仕上がりました。

蒸留って、組み合わせることでこんなにも香りがパワーアップするのかと驚きもっといろんなもので試してみたい……と蒸留の沼にハマってしまいそうな予感がしました(笑)。

完成したふたつの香りの化粧水

スプレーボトルに詰めた化粧水の写真。

蒸留水と化粧水の配分は、香りの強さやとろみの強さなどに合わせてお好みで。水分量の多い蒸留水が多いほど痛みやすいので配分の参考にしてください。

せっかくなので、2種類の蒸留水に、柚子の化粧水を混ぜてふたつの化粧水をつくってみました。

「梅の花の化粧水」は、花の豊かな香りでリッチな気持ちになれる仕上がりに。

「柚子の薄皮と花のがくの化粧水」は爽やかな酸味のある香りで、リフレッシュできる化粧水になりました。

手の甲に化粧水が一滴乗っている写真。

好きな香りで化粧水をつくると、気分が上がります!

どちらもとろりとした質感で、手に伸ばすとスルッと肌に溶けこみ、しっとりもちもちに。

柚子の種の化粧水は、肌のバリア機能を高め、保湿効果も高いため、シワ対策にもよいといわれています。柑橘農家のお母さんたちは、昔はこの手づくり化粧水でお肌のケアをしていたそうです。

今回ご紹介した化粧水は、柚子だけでなく柑橘類なら大体OK。ダイダイの種でつくったときも、すごくトロトロした化粧水になりました。

種を触ると少しヌルッとしているものがおすすめです!身近な柑橘の種が手に入ったら、是非試してみてください。

※体質によっては肌に合わない場合もあります。心配な方は事前にパッチテストを行うことをおすすめします。

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いとしまシェアハウス

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CHIHARU HATAKEYAMA

畠山千春

はたけやま・ちはる●新米猟師兼ライター。3.11をきっかけに「自分の暮らしを自分でつくる」活動をスタート。2011年より鳥を絞めて食べるワークショップを開催。2013年狩猟免許取得、狩猟・皮なめしを行う。現在は福岡県にて食べもの、エネルギー、仕事を自分たちでつくる〈いとしまシェアハウス〉を運営。2014年『わたし、解体はじめました―狩猟女子の暮らしづくり』(木楽舎)。第9回ロハスデザイン大賞2014ヒト部門大賞受賞。ブログ:ちはるの森

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