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小豆島の農家の自宅で営業する人気カフェが移転。10年目の新たな挑戦

  • 2023年12月25日
  • コロカル
自宅でのカフェ営業を終了して移転します!

2014年2月22日、ニャンニャンニャンの猫の日に〈HOMEMAKERSカフェ〉はオープンしました。あの日からもうすぐ10年が経とうとしています。

カフェ玄関を入ると目の前にカウンターがあって、そこで私たちが料理しています。

カフェ玄関を入ると目の前にカウンターがあって、そこで私たちが料理しています。

2023年12月16日のカレー&サラダ。収穫できる野菜は毎週違うので、サラダも毎週変わります。それが楽しみでもある。

2023年12月16日のカレー&サラダ。収穫できる野菜は毎週違うので、サラダも毎週変わります。それが楽しみでもある。

HOMEMAKERSの畑で育てた野菜を食べられる場所として、当初から6年間は週に2日、コロナ禍以降は週に1日、土曜日にオープン。農業も続けながら、よくカフェを続けてこられたなぁというのが今の本音です(笑)。週に1日しかやってないので、その1日を休むわけにはいかないと、体調不良や子どもの行事など、特別なことがない限り、冬季休業期間をのぞいた10か月間は毎週土曜日にカフェを開いてきました。

来年2024年2月で10周年を迎えます。ちょうどその節目となるタイミングで、今の場所でのHOMEMAKERSカフェの営業を終了し、新たな場所へ移転することに決めました。HOMEMAKERSカフェ、10周年のお引越しです!

どうして新たな場所に引っ越すことにしたのか?今の私たちの思いを書いておこうと思います。

カフェ玄関前にあるリュウゼツランが10年でずいぶん大きくなりました。「これなんですか?」とお客さんによく聞かれます。地下茎でつながって新しい株がどんどん増えているので、新しい場所にも植えたいなと思っています。

カフェ玄関前にあるリュウゼツランが10年でずいぶん大きくなりました。「これなんですか?」とお客さんによく聞かれます。地下茎でつながって新しい株がどんどん増えているので、新しい場所にも植えたいなと思っています。

自宅でカフェを始めた理由

そもそもなんで、自宅でカフェを始めたのか?小豆島日記vol.031「田舎でカフェを開く」に、当時の思いを書いています。

小豆島に移住する前から、こっちに来たら自宅を改修してカフェをやろうと決めていました。美味しいコーヒーが飲めて、ゆっくり本が読める。Wi-Fiを使えて、パソコンやiPadなどで仕事ができる。子どももお絵描きをしたり、庭や畑で遊んだり、大人と一緒に過ごせる。そんな場所を作りたいなと。

とにかく人が集える場所を作りたいと思った。だから、カフェをやりたいというより、カフェはその結果としてのかたちなのかもしれない。

アサダワタルさんの『住み開き:家から始めるコミュニティ』という本に、

自宅の一部を、カフェだったり、図書館だったり、ママたちの習いごとの場だったり、何かのワークショップをする場だったり、そんなふうにして、人が集まる場として外に開くこと。完全にパブリックな場とも違った、小さな公共。

とあるのですが、まさに私たちがやろうとしていることはこの「住み開き」なのかもしれません。自宅の一部をカフェとして住み開く。そこに美味しいものと、心地良い時間がある感じ。

家を開いて、人が集える場所をつくる。それが、私たちのしたかったことです。

カフェプレオープンの日。当時5歳だった娘も一緒に取材を受けました。

カフェプレオープンの日。当時5歳だった娘も一緒に取材を受けました。

引っ越してきて、暮らす場所となる自宅を改修して、さらにお店となる別の場所もつくるというのは、気持ち的にも金銭的にも無理でした。それとカフェを毎日開きたかったわけではなく、週に数日開くと考えていたので、そのために別の場所を用意するというのは、収益として見合わないなと。当時、娘のいろはは5歳で、できる限り子どもと近い距離で働きたいという思いもありました。

家の一部をカフェとして開くというのは、私たちにとって自然な流れでした。

築130年以上の我が家。もともとは夫の祖父の家。この家の一部をカフェとして開いてきました。

築130年以上の我が家。もともとは夫の祖父の家。この家の一部をカフェとして開いてきました。

集落のなかにあるので、近所のおばあちゃんたちも散歩がてらカフェに来てくれることがありました。

集落のなかにあるので、近所のおばあちゃんたちも散歩がてらカフェに来てくれることがありました。

2020年2月。カフェ6周年の頃。みんな今より少しずつ若いな(笑)。

2020年2月。カフェ6周年の頃。みんな今より少しずつ若いな(笑)。

カフェを家から離したいと思うように

10年という年月を重ね、小さかった子どもは高校生となり、HOMEMAKERSというチームもだいぶ力強いものに育ってきました。そんななかで、ふとひとつの思いが強くなっていきました。

「カフェを家から離したい」

もう少し広いスペースで、いろんな人が同時に来てもそれぞれが干渉しすぎず心地よくいられる場所にしたい。

飲食だけではなく、野菜や加工品の販売スペースをもっと広くとって、楽しく買いものできるようにしたい。

場所が自宅なので、そこで暮らす私たち夫婦がいないとカフェを営業しづらい体制になっているのですが、スタッフだけでもカフェを開けられるようにしたい。

一方で、私たちの暮らしそのものである場所に魅力を感じて来てくださるお客様もたくさんいると思し、移転するとなると当然お金もかかるし、家から離れた場所で営業するとなると働き方もいろいろ調整しないといけない、やっぱりカフェを違う場所に移すべきじゃないのかも、と考えたりもしました。

でも、この場所で10年、農業とカフェの営業をしてきて、いろんな経験をしてきて、今感じているこうしたい! という自分たちの思いを信じて、挑戦してみようかと。

集落のなかの細い坂道をのぼっていったところにカフェがあります。

集落のなかの細い坂道をのぼっていったところにカフェがあります。

カフェ横にある蔵の壁に描かれたHOMEMAKERSのロゴ。こういうひとつひとつつくり上げてきたものが愛おしい。

カフェ横にある蔵の壁に描かれたHOMEMAKERSのロゴ。こういうひとつひとつつくり上げてきたものが愛おしい。

今の場所でのHOMEMAKERSカフェの営業は2023年12月でいったん区切りをつけることにしました。そして、2024年春を目標に、新しい場所に移転オープン予定です。これまでのお客さまにも変わらず来てもらえるように、そして新しいお客さまにも来てもらえるような場所にしたいと思っています。

今ならできる!そう思えるのは、小豆島で10年暮らし、地域の人たちとつながりができ、頼もしい仲間ができたから。これはほんとにそう。5年前では絶対できなかったと思うし、挑戦しようとも思わなかった。

開かれている「場」であること、そこに行けばその土地の「人」に会えること。そんなカフェに育てていきたい。

2023年12月23日、今の場所での最後のカフェ営業日。スタッフとよく来てくれる友人たちと一緒に。

2023年12月23日、今の場所での最後のカフェ営業日。スタッフとよく来てくれる友人たちと一緒に。

writer profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島のなかでもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。https://homemakers.jp/

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