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小豆島で「農業」を始めて10年。スキルもノウハウもなかった夫婦は今?

  • 2023年6月26日
  • コロカル
開業してついに10周年!

2023年6月17日、何事もなくいつも通りに過ぎていきましたが、実はその日は〈HOMEMAKERS(ホームメイカーズ)〉という事業を開業してからちょうど10年経った日でした。

事業を始めたばかりのころに販売していた野菜セット。「2013年秋オープン予定」と書いてあるショップカードとともに。

事業を始めたばかりのころに販売していた野菜セット。「2013年秋オープン予定」と書いてあるショップカードとともに。

HOMEMAKERS10歳です。おめでとう! 私たち(笑)。

10年前の2013年6月17日、インターネットの世界にHOMEMAKERSのホームとなる場所をつくって、私たちのことを紹介し、野菜の販売を始めました。小豆島に引っ越してきてから、約8か月後のことです。

畑を始めたばかりの三村家。この『小豆島日記』の連載第1回の最初の1枚です。

畑を始めたばかりの三村家。この『小豆島日記』の連載第1回の最初の1枚です。

2013年春に収穫した野菜たち。小豆島で自分たちが育てた最初の野菜。そら豆、ラディッシュ、絹さやえんどう、ルッコラ、ニンジン、レタス、玉ねぎ、いちご。さくらんぼの実はおまけ。

2013年春に収穫した野菜たち。小豆島で自分たちが育てた最初の野菜。そら豆、ラディッシュ、絹さやえんどう、ルッコラ、ニンジン、レタス、玉ねぎ、いちご。さくらんぼの実はおまけ。

名古屋で暮らしていた頃、私も夫のたくちゃんも、約10年間会社勤めをしていましたが、ほぼ同時にふたりとも会社を辞めて、無職の状態で小豆島にやってきました(汗)。もともと自分たちで起業しようと考えていたので、引っ越してきた直後から、自分たちのやりたいことを実現するために少しずつ準備をしていました。

そもそも私たちは小豆島で何をしようと考えていたのか?私たちは大学で建築を学んでいたものの、私はインターネットの会社で働き、たくちゃんはカフェで働いたのち造園会社で働いていました。建築家でもないし、webデザイナーでもないし、専門家として仕事を受けられるようなスキルもノウハウも持っていませんでした。ふたりともカフェという場が好きで、人が集える場を開き、運営することをしたいなぁと考えていました。

自宅の改修工事。工事中に友人たちが訪ねてきてくれることも。こんなふうに友人や地域の人たちが集える場所になるといいなぁと思っていました。 

自宅の改修工事。工事中に友人たちが訪ねてきてくれることも。こんなふうに友人や地域の人たちが集える場所になるといいなぁと思っていました。 

移住してちょうど1年経った頃。畑の面積は少しずつ広くなり、手伝いにきてくれる仲間も。

移住してちょうど1年経った頃。畑の面積は少しずつ広くなり、手伝いにきてくれる仲間も。

漠然と思い描いていたのは、自宅の一部をカフェとして開き、web制作や撮影の仕事をしながら、自分たちの食べる野菜を畑で育てるという暮らし。とにかく自分たちができることからやってみようと、じいちゃんが残してくれた畑に種をまき、家の改修工事を進め、島のいろんな人たちと関わりをつくりながら、ときどき知り合いの仕事(写真撮影やチラシの作成など)を手伝ったりしていました。

少しずつ自分たちのやりたいかたちが見えてきて、ようやく提出した個人事業の開業届出書。職業欄には「農業」と記入しました。

小豆島に引っ越してきて8か月後に提出した個人事業の開業届出書。

小豆島に引っ越してきて8か月後に提出した個人事業の開業届出書。

ん!? 農業?

まさか職業を「農業」として開業するとは思ってなかったのですが、小豆島の肥土山(ひとやま)という農村で暮らし、自分たちが食べる野菜を育て、地域の人たちと関わりながらその営みを見ていたら、農家としてがんばっていこう! という気持ちが自然と強くなっていったのでした。

うちの裏山から見渡した小豆島・肥土山(ひとやま)集落。集落のあちこちに小さな田んぼや畑が点在する農村です。

うちの裏山から見渡した小豆島・肥土山(ひとやま)集落。集落のあちこちに小さな田んぼや畑が点在する農村です。

親戚のお母さんに教えてもらいながら、見よう見まねで始めた農業。

親戚のお母さんに教えてもらいながら、見よう見まねで始めた農業。

積み重ねてきたHOMEMAKERSの風景

あれから10年経ち、ひとつずつひとつずつ積み重ねてきて今の私たちがあります。

みんなで農作業をする風景。農作業の合間にお茶休憩やお昼ごはん休憩をともにする風景。毎週土曜日にカフェが開いている風景。梅や柑橘などを収穫して梅干しやシロップをつくる風景。

積み重ねてきてできあがったHOMEMAKERSの風景です。私たちの歩みはゆっくりで、ここまでくるのに10年もかかってしまったけれど、ひとつひとつ自分の疑問を解決しながら、いいなと思うものを取り入れながらつくってきたこの働き方=生き方は自分たちオリジナルのものだなぁと思っています。

2021年秋の生姜収穫風景。この年は生姜が豊作で、みんなで一気に収穫しました。

2021年秋の生姜収穫風景。この年は生姜が豊作で、みんなで一気に収穫しました。

農作業の日のまかないごはんは野菜たっぷり。自分たちで育てた野菜をみんなで一緒に食べます。

農作業の日のまかないごはんは野菜たっぷり。自分たちで育てた野菜をみんなで一緒に食べます。

毎週土曜日はカフェをオープン。地元の人、観光客の人、いろんな人たちと出会い、話すのが楽しみ。

毎週土曜日はカフェをオープン。地元の人、観光客の人、いろんな人たちと出会い、話すのが楽しみ。

さて、じゃぁこれからどうするか?突然大きく変わるわけではなくて、基本的には今までと同じようにHOMEMAKERSを育てていきたいと思っています。ただ、少しだけ視点を「私」だけじゃなくて、「肥土山」「小豆島」に広げられたらなと。私がやりたいことじゃなくて、この地域にとってどんなことが起こると楽しくなるのか、幸せが続くのか。

ここ最近小豆島では、大きなホテルが廃業したり、フェリーの航路が休止になってしまったり、これからの小豆島がどうなっていくのか心配になる出来事が続いています。宿泊施設や飲食店が減っていけば、島に遊びに来る人も減り、観光業やそのまわりの産業が衰退していってしまう。フェリーの運航が減ると、島暮らしが少しずつ不便になっていってしまう。島外との行き来は、仕事、子どもたちの学校、学校外活動、レジャーなどすべてにおいて必要なので。

個人事業として開業して10年。まだまだひよっ子です(笑)。

個人事業として開業して10年。まだまだひよっ子です(笑)。

HOMEMAKERSとして活動することで、自分たちもうれしい、小豆島(=自分たちの活動する地域)もうれしい、そんなことをできるだけ考えていきたい。

そんな考えのもと、ちょうどこの10年の節目で挑戦しようとしていることがあるんです。また近々お知らせしますのでお楽しみに。きっと小豆島に遊びに行きたくなると思います!そういうワクワクを生み出し続けていきたいな。

information

HOMEMAKERS 

住所:香川県小豆郡土庄町肥土山甲466-1

営業時間:土曜のみ 11:00〜17:00(L.O. 16:00)*冬季休業

Web:HOMEMAKERS

writer profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島のなかでもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。https://homemakers.jp/

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