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「PM2.5」 詳細解説

英名:
Particulate Matter 2.5

環境中にある粒子状物質(PM)は、目に見えないほど細かく、鉛などの有害物質を含むこともあるため、大気環境や人の健康への影響を防ぐための規制が行われている。PMのうち、大気中に浮遊しているものを浮遊粒子状物質(SPM)という。国は環境基本法に基づき、粒径10μm以下(マイクロメートル:1μm=100万分の1m、ミクロンとも)の粒子について環境基準を定めている。1時間値の1日平均値が0.10mg/立法m以下で、かつ、1時間値が0.20mg/立法m以下であることだ。

一方、粒径が2.5μm以下の微小粒子物質であるPM2.5による健康への影響が指摘されている。PM2.5はSPMよりも小さく、その粒径は髪の毛の太さと比べても数十分の1ほどしかない。気管を通り抜けて気管支や肺の奥深くまで入りこむと、気管支炎やぜんそく、肺がんなど、呼吸器や循環器の疾患を引き起こす場合がある。このため、国は2009年にPM2.5の環境基準を定め、1年平均値で15μg/立法m以下、かつ、1日平均値が35μg/立法m以下であることとした。

PM2.5をはじめとする粒子状物質が生成する過程には、いくつかの種類がある。工場や自動車における燃料や物の燃焼などに伴って排出されるものを1次粒子と呼び、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)、VOC(揮発性有機化合物)などの汚染物質が大気中で光化学反応を起こして生成されるものを2次粒子という。このほかに、黄砂や、火山の噴火に伴って発生する自然由来のものもある。

環境省の集計によると、2010年度におけるPM2.5の環境基準達成率は、一般局で32.4%、自排局で8.3%となっている。また、34あった非達成局のうち黄砂の影響で達成できなかったものが5局だった。全国における年平均値は、一般局で15.1μg/立法m、自排局で17.2μg/立法mだ。このように、多くの地点で環境基準が達成されていないのが現状だ。

近年、西日本をはじめとする日本国内の各地でPM2.5の測定値が高くなる現象が観測されている。その原因としては、工業化が進む中国から飛来した大気汚染物質の影響が大きい。国は、PM2.5に関する自治体連絡会を2013年2月に立ち上げ、関係する自治体と観測データの共有を図るとともに、情報提供についての連携を強化している。また、PM2.5関連の情報を国民に提供するための専用ホームページを開設した。さらに、東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)におけるPM2.5の観測地点を拡充するなど、中国に対する環境技術協力の強化を図っている。

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