SSP(日本自然科学写真協会)会員の原有正さんの本が28日の朝日夕刊に、紙面の1/4程度の大きさで大々的に紹介されていた。書評のページでなく社会.総合のページだから驚いた。実は本を見ていなかったので、アマゾンで「美しき小さな虫たちの図鑑」を注文した。
原さんは高野山大学密教学科卒業の僧侶である。「梵我一如、自分と宇宙は一つのものであるという世界観」があるそうだ。瞑想によって自分と自然が一体になる感覚を体験するのだが、小さな虫に集中すると瞑想のような感覚が再現されるのだという。一寸の虫にも無限の宇宙というわけである。
掲載写真は普通のマクロ撮影のものと深度合成技術を駆使した作品とで構成され、深度合成写真は大変美しい。技術的にも一流であると思う。約100種の身近な小さな虫の、細部の構造まで写し取った写真は秀逸である。身近ではあるが、撮影対象とあまりされないイシノミの顔、コカゲロウの顔、キジラミ、ミナミカマバエ、ナガコバチ、ウロコアリ、カニムシなどが特に良い。残念なのは本が小型であることだ。もっと大きい本だったらさらに素晴らしいと思う。
この本の良いところは虫の中に宇宙を感じられることだ。それは原さんの技術だけでなく、僧侶としての修行から生まれる思想のようなものが込められているからだと思う。SSP会員の中に、アマチュアでもこのように素晴らしい写真を撮られ、本にまとめられている方がおられるというのは、ssp会長として大変嬉しいことである。現在アマゾンの昆虫学売れ筋ランキング第一位だ。
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